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カーステとiPhone

最近友達の運転する車に乗せてもらって遠くに買い物ことが増えた。

車は15年以上前のもの。カーステレオも古く、ラジオと、かろうじてCDプレイヤーがあったかな。
だからBluetoothでカーステとスマホを繋げられる機材が付いている。

FMトランスミッターというらしい。シガーソケットにさすことで電気を供給する。便利〜〜。
音楽の視聴環境を振り返ると、自分がかなり幼い時とは大違いで、ラジオの選曲を待たずに好きな音楽を、しかもCDを持っていなくても聴けるというのはかなり便利になったと思う。サブスク最高。


車に乗って聴いていると最近の音楽の特徴に気づく。車が古いこともあって走行音がかなり大きく、聞こえにくいものがある。
今話題のビリー・アイリッシュのほぼ囁きみたいな歌声(ディスってないです)なんかは高速道路運転中の爆音の中に溶けて消えてしまうこと必須。最近は繊細な音を扱ったものが多いなと気づく。

車が古いともちろんカーステも古く、繊細な音は外の轟音・技術的なもの・劣化したスピーカーといういくつものふるいにかけられる。再生すると自動的にスピーカーという物理のフィルターがかかるので流行りのlo-fi hiphopじゃんみたいな感じにもなるが、曲によってはノスタルジーを感じるよりも聴きづらいの方が勝ってしまう。最近のゆるいhiphopとかソウル系のchill outできそうなものはあまり良さが出てなかった。

せっかく上がる音楽を聴いてるのに下がるのは何事だ。逆にどんな音が聴きやすいのかと思って試すと、ロックやポップス(ひと昔前)とか音が極端にドンツクしてるものだった。
「は〜久々に聴いたけどこれええやん やっぱロックええわ〜」みたいな感覚が結構あった。

hiphopが主流となり以前と比べて流行からは消えつつあるロック。
自分自身、オルタナメロコアパンクを青春時代に聴いていたので最近のチャートを見ると寂しく感じることが多くあった。
けれどロック自体が若い人にウケなくなったとか、流行から廃れたとかいいバンドが出ないとか言われているが、単にそれが問題ではないという気が、古いカーステで再生したことでなんとなくの実感を帯びた。
多分おそらく視聴環境も要因の1つだろうなと思う。

30年間でずいぶん変わっていった音楽視聴環境。記録媒体によってリスニング環境は大きく左右されている。
レコードが主流の時代には家やジュークボックスで再生する。場に集まってみんなで聴く感じ。

CD・カセットテープが主流になるとウォークマンやカーステレオなど、リスニング環境も発展して移動と音楽が結びついた。より日常のBGMみたいな感じになったのかな。

そして現在では音楽を持ち歩くことは当たり前になったしリスニング媒体の性能も格段に上がった。性能が上がったから立体感のある音を使った曲も多いし心地よい打ち込み系の音楽が増えた気がする。
以前ラジオで「hiphop系の音楽が流行している理由の1つで最近(レコーディング時に)エンジニアはiPoneチェックとかやるらしい」という話を聴いた。iPhoneで聴いた時にどう聴こえるかを調整するらしい。
現在の音楽のリスニング環境に一番最適であり、一番良さげに聴こえる、実験・制作しがいのあるジャンルがhiphopなんだとわかった。

考えると打ち込み系はコンピュータで音作ってそのまま配信できるから今のインターネットでの視聴環境には一番スムーズだし最適なんだろう。
ロックは録音が必須だからデジタル処理で聞き取れない音域はカットされるし、丸々録音できるレコードの方が音質が良いから再燃しているんだろう。

その時代その時代の再生環境によって流行のジャンルも変化していくし、そうやって技術も表現も変化していく。iPhoneがよくてカーステ古くて悪いってわけでなくて、それぞれの時代の技術とそれぞれの時代のコンテンツを合わせることでバチっとハマるリスニング環境が生まれる。それぞれに最高の視聴環境。win-win。
しかも当たり前だけれど今は今の最先端だから昔の視聴環境に戻って当時のハイレゾを体験できる。なんて贅沢。

と、一個人として思った。
もう少し掘れる気がするのでぼちぼちと調べたい。


そのほか見た参考サイト


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