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「わかった気にさせる」より「よくわからない」と感じさせる方が大事、という話。

ABC予想が話題だったため、門外漢ながら次のような記事を昨日書いた。

Twitterを見ていたところ、普段から拝見させていただいている数学者のY.Watanabe(@YohsukeW)さんが次のようなツイートをしていた。

うん。僕も完全に同意。新型コロナウィルスに関わらずだけど、有識者()やコメンテーター()やアーティスト()みたいな人たちが素人発言しまくりで混乱させてるから。しまいにはこんな事件も起こった。

ではなぜ、門外漢の僕が自分なりのABC予想の記事を書いたか、の思考の経緯を説明する。大別すると、2つの理由である。

「わかった気になっている」状態でいることの怖さ

有識者()やコメンテーター()やアーティスト()のような人がワイドショーでコメントすると、大多数の視聴者は「へーそうなんだー。」と思う。ABC予想もそのように見えた。だから僕は、一見解説しているようで全く解説になっていない記事を書いた。

僕が数学の院に行っていたこともあり、母から「ABC予想解明されたんだってー」とLINEが来てから、記事を書き母に見せた。すると母の反応はこうだった。

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「わからなくなった」と言った。狙い通りだった。

Twitterをみていたら、ニュースの解説を聞いて「なんだかわかったような気になっている」人が多かった。Wikipediaのリンクを貼って解説している風であったり、ね。Y.Watanabe(@YohsukeW)さんのいうように

「現代数学」って甘くない

のである。そこを履き違えて、「わかった気」になっているのは数学的な問題というよりも情報リテラシーの意味で怖いことである。

僕の記事は数学ではなく「数学史」

望月先生の今回の功績は確実に「数学史」における「大事件」である。数学って積み重なってできている。実験系の分野のように、過去の理論が大きく覆ることがまずない。そんなものを数学的な解説をし始めたら2000年くらいさかのぼって勉強しないといけないくらい、本当に時間がかかるし難しい。

だから僕は「ABC予想」ではなく「IUT理論」という大事件にフォーカスしたのである。単に「解明された」のではなく、「既存の理論とはまったく異なる理論が新たに作られた」。これが、事件なのである。

まとめ

なんだかいいわけがましくなったけど、僕が記事を書いた経緯はこんな感じである。一般に広めるというより、勘違いしていそうな母向けの記事であった。

フリーランスをしていますが病気で働けないことがあります。記事がなにか琴線に触れたら支援いただけるととてもうれしいです。