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98冊目:ROUTE END/中川海二

こんばんは、Umenogummiです。

今日はこちらの作品です。



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ROUTE END/中川海二 作


特殊清掃業者(事件や孤独死など、遺体の発見が遅れたため、遺体が腐敗しダメージを負った室内の原状回復などをする)の青年がある連続殺人事件にかかわりを持ったことで自身の過去や人生と向き合う、生と死の物語です。


END事件」と呼ばれる連続猟奇殺人事件が起こるとある県が舞台です。遺体をバラバラにし、「END」という文字をその遺体で表現するという異常な事件で、警察は犯人の目星をつけられないまま、すでに4人が犠牲になっています。


特殊清掃業者・アウンで働く春野太慈(たじ)は、ある日アウンの社長・橘から、同僚の柳女と加藤と共にEND事件の現場の清掃に行くよう頼まれます。
その中で春野は「お前が後継者」「終わる」という謎めいた社長の言葉を耳にします。

春野らが現場で作業を始めて間もなく、床板の下から白骨遺体を発見し、春野は現場に駆け付けた捜査一課の刑事・五十嵐秋奈と知り合います。春野は橘に連絡を取ろうと何度も電話を掛けますが、橘はその後行方が分からなくなります。また、白骨が見つかった部屋をかつて清掃したのが橘ということもわかり、警察は橘の行方を追い始めます。

春野が橘の部屋に向かうと、五十嵐が部屋の前で張り込んでいました。春野の母は幼いころに自殺しており、その話を五十嵐にしたところ、五十嵐の弟もまた現在春野が住んでいる部屋で自殺をしたと告げます。

翌朝、五十嵐は上司から橘がEND事件の被害者となって発見されたと連絡を受けます。

橘の葬儀に訪れた五十嵐は、自分を救ってくれた橘の死に打ちひしがれる春野に「必ずENDを捕まえる」と宣言します。葬儀後、春野はアウンを継ぎ、橘が殺された現場の清掃を請け負います。その現場での作業中、春野は橘と最初に言った清掃の現場を思い出し、涙し、ENDを捕まえることを決意します。


主人公の職業と、事件のせいか、「死」というものがあらゆる角度からたびたび登場します。メインの春野と五十嵐は家族を自殺という形で失い、アウンの同僚である柳女・加藤も重い過去を背負い、それがきっかけで事件に巻き込まれていきます。

終盤は不可思議な展開になっていき、賛否両論ありますが、私は全体を通して好きです。「死」というテーマが付きまとい終始重たい雰囲気なのですが、生きている人たちの足掻いているさまが、なんというのか、とても胸を打つと言いますか。「死」が身近にあるのに、「生」を力強く感じるんですね。
このマンガが連載されていたジャンプ+の紹介文には「生と死の在り方を問うサイコサスペンス」とあります。なるほどなぁ。

サスペンスとしてみるよりは、人間ドラマとしてみると良いのかもしれません(サスペンスというには結末が不可思議すぎるというのか…)


モザイク処理はされていますがグロテスクな表現が出てきますので、苦手な方はご注意ください。

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