PresenceI(feat.KID FRESINO)
広島でも福岡でも東京でも雪が降り、その度にCoincidenceごっこをしています。令和ロマンのくるまさんとフレシノの動画でくるまさんもCoincidenceごっこしてるとのことなので、やっぱりみんなもしてますよね。
でもやっぱり、フレシノで大衆的に聞かれているといえば、STUTS&松たか子の「PresenceI(feat.KID FRESINO)」だと思います。
ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」のエンディング曲の1つで1話と6話を担当しています。このドラマは別れや出会いをテーマにした作品ですが、コミカルな作風で松たか子さん演じる大豆田とわ子と三人の元夫や娘、親友との掛け合いはコミカルで、明るく進みながらもどこか寂しさがあるドラマです。めちゃくちゃ名作ですのでみんな見てください。見ろ。
そして、主題歌であるPresenceも明るい曲調で、イントロでは時計の針がチクタクと鳴り、これまでとこれからを聞くことができ、それに対してアウトロでは、パーティーの後片付けやお祭りからの帰り道のような余韻を残しながらも終わっていく寂しさが聞こえます。そして、KID FRESINOも我々が知ることができるような大きな出会いと別れを経験しています。
今回話したいのは歌詞とその裏に勝手に想像している事情です。
歌詞と解釈
訳すと、
日本語で「振り返る」には内省するという意味と物理的に後ろを向くという2つがあります。ここで言えばlook backとswitching sideです。
濡れた洗濯物は時が経てば乾くように湿ったり濡れたりした気持ちは時間が過ぎれば元に戻っていく。日常の些細な風景と重ね合わせたものです。好きです。
訳すと
この肩と手と耳、君に貸すためのものって表現ものすごい好きです。フレシノは曲を通して優しく口説いてきます。好きになります。
ここはドラマの説明になっています。暗い真夜中から新しい朝を迎えようとする中、誰と結ばれるのか。この日常が続いていくのかが分からないことへのどこか心許ない気持ち。そして、離婚を繰り返しながらもより良い幸せを探す。そのためにこのドラマは始まっていきます。
第1話冒頭で「離婚は幸せのためにするもの」という言葉がかなり印象的です。人生というものに対してある種のアンサー、具体例を出すこのドラマ。人は幸せになるために生きているのかもと
思わせるこの台詞、ぜひ皆さんNetflixで見てください。
ここから松たか子さんの歌唱になります。静かながらも芯のある歌声で歌い上げます。朝に点てたコーヒーの苦さはかなり人それぞれ解釈が別れる曖昧な表現だとは思いますが、私は「慣れてしまったものや大人になって気づかなくなったものを気づくことで知った本質」だと思います。皆さんも教えてくださると嬉しいです。
「あの日のあなたはとても輝いて見えた 夢はもう醒めた」これ新しい蛙化現象の名前にしましょう。
訳すと
人生に余裕がない時ただ1人で孤独に向き合う時間ってありますよね。誰とも話さず、自分だけを見つめ直す時間。自分自身と第三者視点の自分と対話する時間。第三者視点の自分は自分から見た他人が見た自分です。余裕が無い時はそんな自分さえも自分を責めているような気がします。現実はそんな自分を心配して優しくしてくれる人だっているのに、敵に見えてしまって怒りをぶつけてしまいます。頭が冷めてから1人帰る道の中、ただ孤独で悲しみだけが影からも見えます。きっとこれを一生続けていくのです。何も学びたくないし振り返りたくないから。
また後で記述しますが、多分ここの「知ったフリをして」はSTUTSの「Changes feat. JJJ」のサンプリングだと勝手に思っています。でも、知らないことに恐れるより全て知ったフリをして虚勢はって生きるしかないと思うのです。目の前の相手のことも知らないことの方が多くて、それを知るためには一生かかると思います。知ってもらうために、分かってもらうためには一緒に居なきゃいけないから。
訳すと、
月は太陽の光を受けて明るく見えます。誰かの影響ばかり受けていては、自分自身が何者かも分からなくなってしまいます。月は恒星では無いから光は出ませんが、それでも輝いているはずでその些細な光は強い光で分からなくなってしまいます。自分が何者か分からなくなった時は楽園に逃げ出そうという感じです。
「Escape to the paradise」はゆるふわギャングの「Escape To The Paradise」から来ていると勝手に思ってます。これもまた記述します。
訳すと、
駅には各停すらももう止まらないって、後戻りは出来ないし、歳を重ねるごとに時間の感覚が段々と早くなることだと思います。段々と現実の擦り合わせができてきて、それでも思うように人生は上手くいかなくて自分が社会で大事な人間では無いことに気づいた大人に寄り添うのは歌で。多分そこに音楽やテレビや映画もある人はあるんでしょうけど、疲弊して体力が無くなった人間が1番手っ取り早く癒えるためには音楽を聴くことだと思うんです。
このドラマにおいて立ち止まる人はいません。執着したり忘れられなかったりして手を伸ばそうとする人は沢山いるけれど、それでも最後は前を向きます。
時は過ぎていき、日は沈み影も伸びていきます。これから何も見えなくなるような暗い夜だけれども、そこに幸せで明るい景色が見えていればそこに向かって人は歩けると思うんです。
悪夢やフラッシュバック、たまに思い出す自分の恥ずかしい過去や傷つけた罪悪感、ふと蘇る記憶が、自分を作り上げる一部となっていて、自分を大切に思うとはその苦しみも優しく抱きしめてあげることです。もう抱いていた幻想や夢は現実に変わっていきますがそれも受け入れられて頭の中は醒めていくのです。
思い出せないけど身体の一部になっているもの、言わなかったけどいつか伝えられる言葉、移り変わる心と景色、それを踏まえてこのドラマは進んでいきます。
これほど、このドラマを美しくかつ的確に表現出来ている言葉はありません。この真意を知りたくば全員ドラマを見てください。
考察、想像
ここからは考察、想像なので根拠はありません。自信はあります。
まずは、この曲の客演に入っているKID FRESINOは曲中に死生観や厭世観がよく出てきています。
例えば、C.O.S.A.さんとの楽曲である、LOVEでは「フレッシュなライムにビーツメイクするようで死ねない理由探してるだけ」同じくC.O.S.A.さんの曲に客演で入ったMikiura feat. KID FRESINOでは、「We livin' a fast lane(私たちは生き急ぐ) 放送コードを抜く車輪 降りられないgambleの中はじめから1人」のようにどこか達観したような視点を持っています。そして、KID FRESINOの中で大きな転機として、盟友Febbが関わっています。Febb、JJJ、KID FRESINOが所属していたクルー、Fla$hBackSからKID FRESINOが脱退します。その際に出した楽曲がEazy breezyです。
ここでは「two way street(別れ道)下らない 人の縁ってのは儚い シネマのようにはいかない」「Lifeは短くないぜ ただそんなに長くもないって」。それぞれ人との出会いと別れを繰り返して、これからまた歩き出していきます。私も節目節目に聴く大切な曲です。
そして、Febbが死にました。恐らく、Febbのことについて歌った曲はway too niceとRetardedです。
way too niceでは、「Living to suffer way too nice(人生は苦しむためには良すぎる)」「rest in piece but it's not nice(どうか安らかに、でもそんなの似合わない)」、Retardedでは、「I'm stereotype(典型例の私)周りは変えることをやめない」「Last nightからこのLifeは変わったようには思えない」「Young boy cute girl big city big dream be fame be down(どんな人もどんな街もどんな夢も輝きは廃れていく)」「忘れた方が楽なことは多いよな」苦しみの中からは誰も逃れられずただその度に人生というものを知る、それはKID FRESINOも例外ではなくどこまで行っても苦しみは消えません。Fla$hBackSに所属しているJJJも同じくFebbの死に触れて曲を出しています。例えば、STUTSの「Changes feat. JJJ」です。
歌詞を抜粋すると全ての歌詞を書くことになるのですみませんが今回は書きません。ですが、この曲の中でPresenceI(feat.KID FRESINO)と同じ言葉があります。それは、
曲の前後で言えばChangesの方が早いです。だから、JJJに対してKID FRESINOからの意見の相違の提示だと思います。でも、どちらも人生に対しての生き方の提示です。全て知ったフリをしてられないとやっていられない、それとも、それで事実と違った時に苦しむくらいなら知ったフリなんかしない、このどちらかです。みなさんはどちらですか、それでも人生を歩むならどれも素晴らしいものだと思います。
また、Eazy breezyの中で「Ryugo Ishidaのlineに救われた おれも大丈夫だと思った」という歌詞があります。これはEscape To The Paradiseを歌ったゆるふわギャングの1人、Ryugo Ishidaのことです。Escape To The Paradiseは「この腐りきった世の中 彼女とぶっ飛んでいたいのさ」「彼と今日は月の上を歩く」のように嫌な日常は誰かといれば嬉しいものに変わっていく、そんな曲です。このドラマも別れた三人の元夫と出会うことでまたみんなの人生が変わり始めていく、そんなドラマにこの曲を引用できるの最適というか最高というか。
終わり
みんな、ドラマ見てください。そしてPresenceのアルバムを聞いてください。全て最高です。
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