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これからの治療院論

これから求められる治療院とは。

一つ言えるのは、治療は治りさえすればいいというものではなくなるだろうということです。

もちろん、これは一つの考え方であり、
すべてではありません。

でも、これが今の私がひっそりと考えている本当のこと。日々、治療をしていてひしひしと感じていることです。

よろしければお付き合いください。

さて、

利用者は、結果よりもむしろどんな人にどんなふうに治療され、どんな気持ちになるのかに意識を向けるようになっていきます。

昔は、レストランでも美味しい料理さえ提供していればよかった。店主が少々無愛想でも、衛生的に疑わしくてもやっていけました。

しかし、今はそうはいきません。

これと同じです。

最近、NHK朝ドラでこんなシーンがありました。

「お母ちゃんは悪いことして得た金なら要らんで。はよう返してきなさい!」

靴磨きの仕事の売上げが思いのほかあって、病気の母にやっと治療を受けさせてあげられると喜んで帰った息子。

それがあまりに大金ゆえに母が勘違いして息子に怒るシーンでした。

同じお金でも、それを得るプロセスが何より大事であることをお母ちゃんは息子に教えたかったのです。

結果よりもプロセスの時代。

治療院、サロンの中はどんな雰囲気なのか、どんな音がしていてどんな香りがしているのか。

治療者はどんな声のトーンで、どんな言葉を使って、どんな考えを持っているのか。

利用者はそんなことを冷静に見ています。

陰は木の根っこの部分。
陽は枝葉の部分。

結果は見えている陽、
プロセスは見えにくい陰にあたります。

陰は見えないけれど、とても大切なものが隠れていて、私たちはそれを扱います。

とても繊細な世界にいるのです。

時々、こんなお話を耳にします。

「治療院なのに60分、90分と時間で区切って料金を設定するのはおかしい。これでは治せないと言っているようなもの。」

という意見。

なるほど、わかります。

わかりますが、これは結果だけにこだわっている者の理論。

勝負の厳しさや効率を重んじる陽の性質の理論です。

しかし、治療は勝ち負けでも合理性でもありません。

プロセスを大切に思う利用者の立場からすれば、1分1秒でも長くその心地いい場にいたい、その先生の施術に接していたいと願うのがむしろ自然なのです。

だから料金は時間で区切っていい。

当院もそうしています。

そして、

プロセスを大切にすることに慣れてくると身体の診方が変わります。

症状のある場所だけでなく、なぜそうなってしまったのかの原因に関心がいくように。

狭い視野は広い視野へと変わり、

相手を攻略しようとするのではなく、相手を理解しようという視点に変わります。

いかがでしょうか。
ピンときますでしょうか。

今回はこの辺りにして、
この先のお話はまた別の機会にしたいと思います。

ありがとうございました。

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