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占星術、四エレメントについて 、映画「怪物」を見て思ったこと

数日前に「怪物」を見た。今までに何本か是枝監督の映画を見ているけど。見た後、必ずしばらくの間「考えさせられる」。今回もまた、答えの出ない問いが浮かび上がり、それが、ひとつではなく、あれも、これもと…

後味が悪いけど、世の中の、隠されたもののヴェールをひっぺがえしてくれているようで、映画を見た人は、その人なりの「考え」を持つだろう。

そういう面では、良い…というかすごい映画だと思うし、すごい監督だと思った。

占星術の視点でこの作品を見てみようと思う…



火、土、風、水、すべてのエレメントが過激に働いた状態に見えた。
古くから人間含め万物はこの四つのエレメントで成り立っているという考えられていて、四元素は、地球上の自然の「元素」でもあり、人間に置き換えてみれば、四つの心の機能に当てはまる。

☆火
映画はビルの火災から始まる…
火は情熱であり、先の見えない世界への冒険を照らす、心の松明
未来に希望を持つ力
暴走すると怒り、暴力、そして火は、意外とすぐに消えてしまう
情熱をなくし、勇気をなくす

☆土
土は現実、私たちの身体、安定を表し,
現実をしっかり見つめる力、生命の器、いのちをはぐくむ力
暴走すると組織として守り固め、個人の力を奪う、
土は圧迫する、映画では土砂崩れが起きたり、泥が象徴的に使われている
囲い込む愛、組織も母親も圧迫させる息ができなくなる

☆風
風は知性、思考、人と人、人とものをつなぎ関係性を作る。
風はあらゆるところに流れる空気そのもの、音や熱を伝える媒体(メディア)あらゆるものを見聞きし、覚え、伝える。
誤った情報が流れ、拡散してゆく、人と人の間のコミュニケーションはその場しのぎのものになってゆく、
「平等」へと導くのも、真実を明らかにするのも風

☆水
水は流動的で形をもたない、液体のような…感情、情緒、ムード、フィーリング
感受性、情緒性、お互いに共感しあい、溶け合うような一体感を求めあうばかりに好き嫌いに振り回されやすい、親切心の押し付け、相手を思いの中に閉じ込めてしまうこともある

大雨、すべてのものを飲み込んでしまうような大きな湖、氾濫しそうな川
この映画を通して、水のイメージが強い。


舞台になった諏訪湖


通常、それぞれのエレメントは、補いあい、調和的に働きあっているのだけれど
こころのエレメントが暴走した姿と自然の暴走が重なり合うように描かれていて、見ている私たちの胸に、さらに、深く、強く、一つ一つの出来事が刻まれたように思う。


エレメントとは関係ないけれど、もうひとつ、圧倒的に欠如していたのは
「父性」だと思った。

男らしく…
という言葉何度か出てきたけど、男らしくって…どういう状態のことを言うんだっけ…って考えてしまった。


映画同様、今の世の中、母性、女性性が、強すぎる傾向もあるかもしれない。男性は、心理学でいう「グレートマザー」に飲み込まれてしまったんじゃないだろうか…そう考えると、女性の愛情が原因かもしれない。

男性性はどこに行ってしまったのだろうか…父親的、男性的な守る力ってどんな感じなのだろうか…

そこに関しては、もう少し、私自身見つめてみたいと思った。よくわからなくなってしまった。

映画の良いところは、「お持ち帰り」ができるところ。あくまで、映画は映画の世界の中のことであり、私たちが生きる、この現実の世界はいったい、どうなっているだろうか、自分の中のエレメントは今どうなっているか、見つめなおしてみる、調和をとるきっかけになる。



坂本龍一さんの奏でる「AQUA」

水は…
すべてを洗い流してくれる


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