『薩摩義士伝』 平田弘史
「絵が上手い」マンガ家先生はたくさーんおられますね。「画」の字を頂く職業のこと、上手くて当然…というか、ウマイのヘタだの言うのは若干失礼だとは思うのですがw俗にそういいます。
でもマンガの絵はなんでもありですから、ウマいヘタを語っているようで実は「好き嫌い」のお話になっていることもしばしば。
本来の「絵が上手い」はやはり「デッサン力がある」という意味でしょう。
見たものを正確に、見たまま描ける能力。ただそれだけではカメラですからw、その上で好きなように形を崩して自分の絵柄を作っていく…のが理想だと愚考する当方です。
そういう意味で、絵を描く人はみんな一度は「すごいデッサン力の持ち主」に憧れるものです。たとえばこういう人↓。
この本は師匠の本棚にもありましたが、見てもため息がでるばかりでなんの参考にもなりませんでしたwレベルが違いすぎて。同じ白黒、ペンだけで描いた絵で…こんなにウマイ人がこの世にいるのかいなと思うくらい。(余談ですがこの伊藤彦造さんはあの剣豪「伊藤一刀斉」のご子孫だそうで、話が出来すぎだろと思いますwペン豪)
「でもまあ、これはイラストだからな」「マンガで動かすなんて夢だな」
と、ショックの自分をごまかしていたwのですが…実際あったのです、このレベルの絵が動くマンガが。
正直言って前回の望月先生といい、あまりビッグネームをご紹介するのはこのマガジンの趣旨から離れるかもしれませんが。
無料であったんだからしょうがない。
平田先生のマンガは真剣に話すと「説くものも聞くものも血を吐いて死ぬ」と(私に)言われていますので、ごくザッとのご紹介。
あらすじは薩摩(鹿児島)の侍が濃尾(岐阜)の治水・土木工事にいくお話しです。どうしてサムライが土木工事?なんでわざわざ鹿児島から?などの事情に、泣くに泣けない封建時代の激渋が潜んでします。当note「渋いってどんな味?」で定義した「貧乏・モテない・褒められない」を地でいった末に、待つのは切腹の嵐。もう渋いというより苦いです。ただ歴史的事実ではあるので心の芯に迫るものがあります。
いままで他に紹介した渋いマンガはホロ苦、言うなればお茶やビールのようなテイストですが。この『薩摩義士伝』は芋焼酎のストレート。用法用量を守って、適度な休憩をとりながらお読みになられるようお勧めいたします。
実は別の作品ではけっこうオチャメな一面もある平田作品なのですが、いま無料で読めるのがこれだけなのが残念ですね。まあもっと苦いのもあるんですけどw。
マメ知識として、平田先生は非常に字の達者な方でもありまして。あの大友克洋『AKIRA』の題字を手掛けた書家でもある。ほかにもたくさんの書、マンガの題字など手掛けておられます。なので皆さん、知らないうちに平田作品を所持しているかもしれませんよw…。
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たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)