緊急番外編『ワイルド７』望月三起也

「渋いマンガが読みたい」緊急のお知らせです。

今月（２０年５/３１まで）！『ワイルド７』ebookjapanにて無料読み放題になっています。なんてこったい（^^）。

ワイルド７　1巻 | 望月三起也 | 無料まんが・試し読みが豊富！ebookjapan｜まんが（漫画）・電子書籍をお得に買うなら、無料で読むならebookjapan

基本的に「ネットで無料読み放題」マンガを紹介する当マガジンでは号外になりますが、これはチャンスです。未見の方におかれましては、速やかにサイトへ『突撃ラーメン』（望月三起也・双葉社）してください。あ、一応申しますが当方、いかなるサイトの回し者でもありませんのでその点、ご安心ください。無料マンガの博愛主義者なだけです。

あと「急いでるからってヘッダ、模写の手を抜いたな」と思われた方、誤解です、望月三起也先生はホントにああいう閉じてない線でキャラを描かれるお方なのです。こんな人ほかにいませんｗ。たまにどこまでキャラでどっから背景だかわかんないことがあるんですから。

無料マンガサイトには過去の名作も多く掲載されていますが、知名度が高くまだ紙の本の収益が十分に見込めるものは、なかなか掲載されません（まあ当然だ）。期間限定とはいえ望月先生ほどのビッグネームが無料になるのは貴重です、ちょっとした緊急事態です。教養のため、後学のため、何でもヨロシイ。今月も残り半分、お仕事がお休みの方は『蹴球七日』（望月三起也・リイド社）で読みふけりましょう。

…望月先生のご紹介なぞ当方がしなくてももう皆知ってると思いますがｗ、まあ「知ってるけどまだ読んだことがない」という方のために。

作風はスピード感のあるジェットコースター・ムービーを思い起こしていただければだいたい合ってます。スパイものや戦場ドラマ、サッカーを中心としたスポーツものなど、とにかく息もつかせぬアクションアクションまたアクションの連打連撃。…ふと挟まれる人情ドラマがかえって印象深い。そういう感じですが。

当方にはとにかく「ベタのお見事な先生」という印象です。

画面を黒く塗るのが本当に上手いお方。

…今はもうあたりまえ過ぎて誰も気にしませんが、昔マンガに「トーン」というものがなかった時代。絵は白と黒で手描きするものでした。今も基本的にはそうなんですが、中間色（トーン）ガラ（模様のトーン）はては背景までトーン全盛の時代で、使う人はいっぱい使いますので一概に「手描き」とも言い切れません。

あ、トーンってのはこういうものです。

小さい点々で中間色を表すものですね（↑これは業界用語で65番といいます）、手書きの場合シール状になってまして、これを絵の上に貼るわけです。たとえば今ちょうどパソコンの中にあった梅沢富美男の模写イラストにこの６５番を貼ってみますと、

こうなる、と。夢芝居。

この大変便利な「トーン」ですが、頼りすぎると画面がぼやけてしまいます。けっこう使いどころが難しい。そこはアシスタントの腕の見せ所なのですが。

当方アシスタント時代に一時期トーンに頼りすぎ、特に夜景などが上手くいかない症状に苦しみました。ついこう描いてしまう↓自分の過去原稿。

まあ…悪くはないのですが、ホントに夜の街景ってこれでいいんだろうか…なんかもっと描きようがありそうだ、とずっと悩んでいたんですね。そんなときふと手にしたのが望月先生のマンガでした。

で、望月先生のマンガ見ると、夜ってただ単に真っ暗なんですｗ。黒一色。

照明や窓の明かりを白く抜いて、その反射をちょっと描くだけ、みたいな。（著作権で作中の画像を載せられないのが残念ですが、どうぞサイトで見てください。潔いくらい真っ黒です）

で、夜実際によく見て歩いてみると、実際建物って真っ黒に見えるんですよねｗ光ってるところ以外。今窓から外を撮ると…↓。

当方これに気づいたとき、「節穴か、俺は」とつぶやきましたですｗ。技術以前に観察力不足だったわけです。建物はこうだ、という思い込みでモノ見てるもんだから、見えないものまでわざわざ描いてしまうんですね。

で、翌日から黒いものは黒く描くようになりました。こんな感じ。

余計なもの描かないほうがそれっぽいし早いｗ。

『ワイルド７』は当方にとって、マンガ絵は白と黒、と、大事なことを改めて教えてくれた作品です。

…その薬が効きすぎて、以来、極力トーンを使わない方向へ進むようになって…もともと古臭い当方の絵柄がさらに地味になっていくのですが…まあこれは他人のせいではないｗ

ムダ話が過ぎました。

どうぞ『ワイルド７』で硬質なハイコントラストをお楽しみください<(_ _)>

…あと当節なら修正が入るようなパワフルなセリフにも酔ってください。

『悪党に生きる資格はねえ！』だそうです。