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茶わん蒸し。「す」がないできあがりを決めるのはフタ

実習の献立で茶わん蒸しを作った。

茶わん蒸しを作ったのも還暦人生初だと思う。
調理実習室にある蒸し器を見て「立派だな」と思ったので、これまで蒸し器という道具を実際に手にしたことがなかったようだった。
そもそも蒸し器を使って料理を作った覚えがないし、肉まんもシュウマイも電子レンジだし(これは蒸すというより温め)、蒸す調理はいたってレンチンで済んでいる。
よって、今回の調理実習も記念すべき(?)初茶わん蒸しになった。

天ぷらと同じく、実習の前に実験を行っていた。今回の実験は卵液が加熱によって凝固する特性を観察と考察する。
実験では卵の固まり具合を「塩とだしのペア」と「砂糖と牛乳のペア」を使った。
実験結果は、簡単に言うと、卵液は塩で固まり、砂糖で緩くなる(つまり固まりずらい)。
実際の料理になると、塩とだしの組み合わせが「茶わん蒸し」で、砂糖と牛乳は「カスタードプリン」になるのであった。

グルタミン酸とイノシン酸のだしにも塩分が含まれているので、塩とだしペアの卵液はよく固まることになる。
茶わん蒸しがうまくできない話は「す」もしくは「すだち」ができてしまうことほとんどだ。
美味しくつくるコツは「す」をつくらない。「す」を作らない工夫が多くのレシピにも登場する。

実習で学んだ美味しい茶碗蒸しの作りかたはというと、、
茶わん蒸しをつくる調理機器には蒸し器を使う。この蒸し器の「フタ」を上手く使うことで「す」がない、つるんとした茶わん蒸しを作ることができるのである。

蒸し器に入れた水が沸騰したら、卵液や具が入った茶わん蒸しの容器を蒸し器に入れる。言い換えると、蒸し器の中に置く。
茶わん蒸しの容器にもフタをする。フタがなければアルミホイルで覆う。

そして、強火のまま15分蒸す。ずっと強火のままだから、途中で湯が少なくなったらを湯を足す。
温度を下げないために水ではなく、湯を足す。そのために、蒸し器の隣でやかんで湯を沸かしておく。

そして、蒸し器の「フタ」は斜めに置いて、二つの角から蒸気を逃す
これで「す」ができない。実験と実習2回の3回ともこの方法で作って、「す」がない滑らかな茶わん蒸しができた。ビギナーズラックではないと信じている。
火加減は気にしなくてよくて、ずっと強火。気にかけるのはお湯の量。空焚きにならないよう気をつける。
あとは、茶わん蒸しは通常は3つ、4つ、5つを同時につくるので、茶わん蒸しの器によって加熱のむらができないように、蒸し器内の蒸気がまんべんなくどの茶わん蒸しにもあたるようにする。それには、数回フタを置き直して、蒸気が逃げるすき間の角の場所を変える。
それから、フタは布巾でくるんでフタから水滴が落ちないようにする。

茶わん蒸しのおいしさのコツは加熱の温度である。蒸し器の中の温度を95℃くらいに一定に保つには、フタをしてしまっては強火で蒸し続けるので高温になりすぎて、その結果「す」ができてしまう。温度計があれば別だが、火を調節するのは難しい。
蒸気を逃がせば、100℃より少し温度が下がる。15分経って竹串をさして卵液の固まり具合をみて、まだ固まりが足りないようであれば、もう一度火にかける。「す」ができてしまうと冷ましても「す」は消えてくれないので、様子を見ながら加熱を続ける。

つるんとしたなめらかな茶わん蒸しのこつは「蒸気を逃がすフタの位置」にあり。

茶わん蒸しの器の蓋を開けて、だしで蒸しあがった卵の、つやがあってぷるとろとしたクリーム色の中から姿を見せた、海老の赤や、しいたけの茶色、三つ葉の緑、日本料理はかくも美しい。底には鶏肉がいて、動物性たんぱく質もあり、野菜もきのこもあり、栄養バランスもよい。

茶わん蒸しを作るには、蒸し器が要る。学校にあるような立派な蒸し器はない。先生に相談したところ、深めのフライパンの底に布巾を敷いて、その上に茶わん蒸しの器を置く。そして茶わん蒸しの器の高さの半分まで水を入れる。茶わん蒸しの器には蓋はないのでアルミホイルをかぶせる。これで後は、蒸気が逃げる隙間を開けてフライパンにフタをして火をつける。これはなかなかよさそうだ。

暑い季節は、冷たく冷やしておいしい茶わん蒸し。いただきます。

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