IPO銘柄のロックアップ解除：株価チャートなどから8社を分析+今後解除される3社

12月に入り、IPOラッシュです。先月は多数のIPO承認を受けて個別IPO分析を書きましたが、今回は趣向を変えたIPOの解説です。まずIPO初心者の方は下記の無料記事をご覧になってから、本稿を読んでください。

ロックアップ解除についての一般論

今回扱うテーマは「ロックアップ解除」です。

IPOを投資観点で見る際に、IPO分析記事でも毎回最後の「上場後の株価」の項目で「需給」について触れる際に「ロックアップ条件」を紹介しています。

ロックアップとは、既存株主がIPO後にいきなり持ち株を全部売らないための紳士協定のようなものであり、国内IPOの場合「90日ないしは公募価格の1.5倍」でロックアップ解除となるのが最も多いように見受けられます。

次に多いのは「180日のみ」か「180日1.5倍解除」です。

経営陣と外部株主で条件を統一している場合もありますし、そうでない場合もあります。統一ではない場合、経営陣の方が重めのロックアップが付くのが一般的です。「経営陣180日、外部株主90日1.5倍」などもよくあります。

IPO後に投資を検討する機関投資家、個人投資家にとって、この「ロックアップ解除条件」は気をつけておく必要があります。

ロックアップ解除により、既存株主が大量に株を売り出し、株価が暴落する可能性があります。

特に外部株主の持ち分比率が高い場合、ロックアップ解除を恐れて、ロックアップ解除前に買いがあまり集まらない場合もあるようです。

ロックアップ解除期間が過ぎ、一定の既存株主の売り出しが出た後で、そこがチャートのボトムとなり、株価が浮上していくケースもあります。既存株主の売り出しがあれば、需給面での懸念がなくなり、業績に期待が持てる銘柄の場合、人気化していく可能性があります。

ロックアップ解除による株価下落は、買いのチャンスになる場合があるのです。一方で、公募で取得してそのままホールドしている場合、ロックアップ解除で公募割れに陥るケースもあり、ロックアップ解除のロジックを知らないと、あたふたしてしまうでしょう。

ただし、ロックアップが解除されたからといって、既存株主が一気に売り出してくるとは限りません。むしろ一気に売り出すことは稀であり、チョロチョロと売り出してくることの方が多いでしょう。

厳密に見ていくと、既存株主の性質を見極める。VCなのか事業会社なのか。どのラウンドで入っていて、どれくらいのリターンなら納得して売り切りそうか。など、ロックアップ解除後にどのタイミングで売却するかという予測も立てた上で判断できると、ベターでしょう。

今回は2018年以降の国内ネットIPO銘柄で大きめの案件8社の事例を、公募時価総額が大きい順に紹介します。（注記：初値でロックアップ解除条件が発動してしまっている銘柄は割愛）最後には「今後ロックアップ解除が発生する3社」についての考察もご紹介。

今回は本文部分でいうと8,500文字程度です。重めですが、多少ロックアップ解除についての理解が進むのではないでしょうか。私も調査して、多少理解が進みました。

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