見出し画像

島田紳助はダウンタウンの漫才をどう見ていたか?

前回は、ビートたけしがダウンタウンの漫才を「進化だ」といって評価した。今回は島田紳助によるダウンタウン評を見てみましょう。たぶん、これ自体は以前に書いたと思うが、あらためて取り上げよう。

第4回:最近、ダウンタウンの活動を振り返る番組、多くないですか?②

NHK総合『アナザーストーリーズ 運命の分岐点 笑いの革命者たち~吉本NSC の挑戦~』(2022年4月22日放送)で紹介されたラジオの音源(ラジオ大阪の番組『心斎橋 わしらはお笑い探検隊』(1985))より。

島田紳助のダウンタウン評「ダウンタウンなんかおるやん。あいつら、おもろいねん。めちゃめちゃおもろいねんけどね、今はやらへんのよ。ああゆうもんははやらへんねん。だから今、お酒でいうたらね、ほんまみんなが焼酎、「焼酎の時代や、焼酎の時代や」いうてんのにね、一生懸命おいしいワイン作ってんのと一緒でね。確かにうまいんよ、そのワインは。うまいねんけど、飲むやつがおらへん。買うやつがおらへんかったら、そら商売として成り立たへんわけでしょ?」

DJ というような紳助さんのお話だったんですが、率直に今このお話聞いてどうでしょうか。

松本 僕ら、ごっつい漫才に固定してると思ってはるでしょ? 今の話聞いとったら。漫才にすごく力を入れて、おもろい漫才をやろうとしてると思ってるでしょ? 僕らそこまで漫才もうやってません。というか、僕らの中でもう漫才は答え出てますから。もうおもろいんや。もう、まぁほっとっても、まぁまぁ絶対負けへんわという。

浜田 下手にならんように練習さえすりゃ…。

松本 そうです。それだけのもんで、もう、それはもうはっきり言って課題から外れて、もう置いてますから。今度また違うところへもう行ってますから。ええ。もう、僕らの漫才はもうほとんど完璧です。

大﨑 まああのー、その、若い子が言うにはね、非常に自信過剰な言葉で、聞いてはる人はムッとする、というところはあるかもわからないけども、ネタをやっておもしろいのはダウンタウンやと。僕はほんまにそれは心の底からそう思うから。ずっとワインを作り続けて売れるっていう方法も僕はあると思う。

NHK総合『笑いの革命者たち~よしもとNSCの挑戦~』(2022年4月22日放送)
原典はラジオ大阪『心斎橋 わしらはお笑い探検隊』(1985年放送)
テーマは「ダウンタウンはなぜ売れないのか」

これを聞くと、島田紳助は、ビートたけしと同じように、ダウンタウンの漫才は「進化だ」と考えていたかどうかわからない。面白いと思っているのは間違いないと思うが。
 
ただ、1985年当時は、紳助・竜介のようなスピード感のある漫才が主流であって、ダウンタウンの漫才はワイン造りのように渋い「職人技」みたいなもんと考えていたかもね。これは主流でないから売れないんじゃないか、ということなんだろうね。
 
ただ、それはあくまでも表面的というか、テクニカルな部分なんだろう。ダウンタウンには、そもそも「ハイスピード」は合わないし。松本さんって、昔はもっとモゴモゴしゃべっていたし。
 
ビートたけしの評価と島田紳助の評価、これらふたつを比べてみるだけで、ダウンタウンの漫才がけっこう立体的にみえてくるはずだ。私がこれからやりたいことって、いろんな方向から見つめてみたいってこと。分析ってそういうことだよね。
 
では、また次回。(梅)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?