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営業の美学(13)接待

あらゆるジャンルに通用する営業の手引き=営業の美学。
営業に携わる方に少しでも参考になれば幸いです。


第13回 接待

コロナ禍による対面の制限も少なくなり、各地でリアルのイベントも増えてきました。
ビジネスシーンでいうと、接待や会食。こちらも徐々に増えてきているのではないでしょうか。

社会人経験の浅い方は、そもそも接待の経験も無い方も少なくないでしょう。
接待は、相手の時間を少なくとも1時間は拘束できるツールですが、その分、相手にとって快適な時間を提供する必要があります。
円滑に相手の心を掴む接待について、解説していきます。

1.事前準備

接待は事前準備が成否を分けます。前もって、緻密に準備しましょう。準備の事項を箇条書きで挙げていきます。
1)お店の決め方
①お店の場所
 ・相手が接待終了後にそのまま帰宅することが想定される場合、帰宅ルートも考えて決めましょう。帰宅に時間がかかる場所を選ばないように。(場所によって感覚が違うと思うので、土地勘が無い場合は、周囲の人に確認するのがベスト)

②お店の座席
 ・意図が無い限り、個室にしましょう。また、靴を脱ぐ必要のないテーブル席が無難です。特に女性が参加される場合は、足を崩せない座敷はやめましょう。せめて掘りごたつ形式。

③食事のジャンル
 ・相手の食べられないもの、好き嫌いを確認します。接待相手が上席の方などで直接確認できない場合は、秘書や関係者に確認しましょう。
 ・料理は、取り分けやすいメニューにしておくと当日も落ち着いて接待できると思います。完全に個別に提供されるコースが一番安心です(足りなければ追加も出来ますし)。その場で注文する場合は、ポーション(どれくらいの量か)の確認やメニューのチョイスのセンスが試されますので、やや上級者向けです。
 ・相手によりますが、相手が接待が多い方の場合、秘書や関係者にその前後(特に前)の接待場所をヒアリングしましょう。どんなに良いお店でも、万が一重なってしまったり、同じジャンルが続くとその魅力は半減します。「最近、○○が続いているなぁ」と思わせないようにしましょう。

④喫煙/禁煙
 ・相手が喫煙される場合は、喫煙可がベストですが、最近は喫煙可のお店も減っていますので、最低喫煙できるスペースがあるお店にしましょう。その場合も、喫煙スペースがあれば十分なのかどうかを事前にヒアリングしておけると安心です。
 ・逆に喫煙されない方の場合は、禁煙のお店、または禁煙の個室を選びましょう。

2)案内状
 
・日時、お店の場所、参加者を記載し、お時間を割いて頂くことへの感謝の一言を添えて送付しましょう。
 ・メールでの案内が主流ですが、ワードなどで添付するのが無難です。ただし、相手のスタイルに合わせて、文面での直接記載でも良いと思います。

3)お土産
 
・接待のレベル感(カジュアルなのか、どんな相手か)によっても用意する必要がある場合と不要な場合がありますが、用意する場合の話です。
 ・重くなく、かさばらないものにしましょう。
 ・内容は、相手次第ではありますが、私は相手にご家族がいる場合、ご家族向けのものを用意するようにしていました。相手の家族との時間を頂戴しているわけですから、ご家族への配慮という気持ちと、あわよくばご家族からも気が利く人だねと言ってもらう邪な気持ち半々で考えています。

2.当日
①お迎え
 ・少なくとも約束の時間の15分前には着くようにしましょう。相手が時間前に到着しようが、とにかく待たせないこと。いつも早く着くような方の場合は、要注意です。
 ・お店の場所がわかりにくい場合などは、お店の前でお待ちするようにすると丁寧です。

②着席
 ・席次はしっかり覚え、スマートにご案内すること。
 ・季節によって、上着の着脱がある場合は、速やかにお預かりしてハンガーにかけましょう。

③乾杯
 ・主催者側の最も役位の高い人が声をかけます。事前にお願いしておきましょう。

④注文
 ・コースではない場合、相手の好き嫌いを前提に、チョイスしていきます。
 ・スピードと量、料理のバランスを考えて注文してください。時間のかからないものを必ず数品オーダーすることをお忘れなく。また、品数を頼み過ぎて食べきれないという事態に陥らないようにも注意が必要です。

④取り分け
 ・取り分けが必要な料理が運ばれてきたら、即取り分けます(一番役位の低い人)。基本的には、一度で全てを取り分けて、大皿に残らないようにしておくのが良いです(どんどん溜まっていくので)。相手の食事のペースを見ながら、量などは調整しましょう(普通の量でお取り分けして宜しいですか?などお声がけもする)。
 ・取り皿、取り箸にも目を配り、適宜交換してもらいしょう。

⑤お酌
 ・グラスに残りが無くなりそうなタイミングで声をかけます。相手のペースを見ておくことが大事です。
 ・ビール、日本酒は両手で手を添えて。ビールはラベルが上を向くようにお酌します。ワインは、グラスをテーブルに置いたまま注ぎます(相手が手にもってしまったら、そのまま注ぎましょう)。注ぐ量は、日本酒はお猪口の8分目くらい、ワインはグラスの1/3くらいが目安です。

⑥会話
 ・これも相手次第にはなりますが、基本的には込み入った仕事の話はしない方が良いです。少なくとも約束事はしないようにしてください。何か見返りを求めてはいけません。
 ・相手にとって、時間を共有出来て良かったと思ってもらうことがゴールです。

⑥忘れ物チェック
 ・忘れ物が無いか席を必ず確認を。

⑦傘
 ・さっきまで降っていなかったのに、お店を出ると雨がザーザー。なんていうこともあります。当日の天気予報をチェックし、雨が降りそうなときは、お渡し用の折りたたみ傘を鞄に忍ばせておくと、いざという時にお渡し出来て、気が利く人の称号を得ることが出来るかもしれません。

3.翌日
①御礼
 ・昼間の接待の場合は、終了後すぐに御礼を。基本的にはメールでOKです。
 ・夜間の接待の場合は、翌朝御礼を。相手から御礼を頂くこともありますが、必ず自分が先にするように時間には留意しましょう。

②履歴
 ・いつ、どのお店で、どのメンバーで、など履歴に残しておきましょう。特に、社内での引継ぎ時などに有効です。


接待のルールに「絶対」はありません。業界や会社、地区、個々の相手によって慣習も異なります。したがって、繰り返しになりますが、事前に情報をきちんと集め、準備をすることが大切です。

ここまでの長文となると、接待が億劫に感じるかもしれませんが、健全な接待は、お互いのことを良く知り、関係を深めることが出来ます。
接待に限らず、人との関係を大切にすることは営業パーソンに重要なマインドだと思うのです。

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