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携帯小説『消毒』


右手に持ったスポンジを浴槽に強く擦り付ける。
殴りつけるように風呂場を磨いていく。
若い女とはいえ全裸で風呂掃除をする姿は滑稽であろうと思う。
しかし、幸いにも誰も見ていない。
早く汚れを落としたい。
シャボン玉が頭の中で弾けた気がする。
気がつくと視界には泡。
溢れた溜息を肺に戻すと、清潔な香りが鼻をつく。



壁、床のタイル、天井にまでも蠢くそれをシャワーで溶かしていく。
次は自分の番だ。
ボディソープを手のひらに何度も荒く押し出す。
風呂場と同様、強く擦り殴りつけるように身体を磨く。
ふと、口内の不快感を思い出すと、唇や口の中にも泡を突っ込む。
嗚咽がして空っぽの胃が疼いた。
摩擦で今にも血が滲みそうなほどに赤みを帯びた皮膚。
そこにシャワーをあてると熱と帯びていき、火傷のような痛みに安心する。


冷房の効いた空気に晒された肌をバスタオルで包む。
鏡の前に映る自分の“若い女の身体”を眺める。
「これはただの容器だ」と言い聞かせるほど、じんじんと皮膚を打つ痛みが「これはお前の身体だ」と唸る。


私はいつまでこの身体に頼り、守られて、傷つけられていくのだろうか。
君が私を純粋だと名付けるたびに私は穢れている気がしてならない。


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❤️‍🔥2022年9月5日(月)❤️‍🔥
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