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本棚と青空とトリケラトプス

4月9日。
新社会人として迎える初の日曜日。

正直にいえばこの1週間はくたくただった。
仕事量や運動量は別に多くないにも関わらず、慣れない環境への緊張のためか、頭も体も疲労困憊。
おかげで昨日は深海魚のごとく最低限の動きしかしていない、なんとも自堕落な一日を過ごしてしまった。

しかし、今日はひと味違う。

なんてったって新しい本棚がやってくるのだ。

1ヶ月ほど前に引っ越しをした私は、大方の本やマンガはすでに本棚に仕舞い終えていたのだが、それでも収まりきれずにいくつかの本をダンボールの中に封印しっぱなしの状態になっていた。

これでは日の目を見ない本たちがあまりにも気の毒なので、遅ればせながら先週ニトリで新しい本棚を購入し、取り寄せの手続きを行ったのである。

そうして本日やってきたのは、深みのあるダークブラウンのスライド本棚。

スライド式で奥と手前にそれぞれ書棚をつけられるため、収納力はバツグン。
四六判は飛び出してしまうが文庫本やコミックスならなんなく入るサイズ感である。

この本棚をえっちらおっちら組み立てる午前中。
説明書とにらみあいを繰り広げながらなんとか完成に近づけていった。

それにしても本というのは、油断しているとどうしてこうも増えていくのだろう。
こちらが見ていない隙に卵を産んで本が勝手に増えているのではないのかしらん。
でもそれならそれで本を買いに行かずに新しい作品をゲットできるからありがたいのか…?

こんな取り止めもないことを考えながらも、なんとか板をはめ込み、ネジをドライバーでぐるぐると回し込む。
ようやく完成した書棚に、未整理だった本を整理しながら次々と差し込むのは清々しい気分だった。


この気分のまま、パパッと出かける準備を済ませる。
少し前に届いた郵便物を引っ掴んで、玄関からよーいドンで飛び出す。
雲ひとつない快晴のもと、向かう先は小学校。

卒業して十数年が経つこの場所に向かったのは、今日が選挙の投票日だから。
母校である小学校が投票所になっているので、選挙があるたびに幼少期を思い出すことになる。

久しぶりに小学校に足を踏み入れると、変わっていないところと変わったところが混在していて、なんだか妙な気持ちになる。

なかでも不思議とずっと変わらずにあるのがトリケラトプスの像。
駐車場と中庭の間の、木々が生い茂る謎の空間に彼はずっと鎮座している。

なんの案内も看板もなく、ただ四本の足でドンと構えているだけ。
一体彼はいつからここにいて、どれだけの児童を見送ってきたのだろう。

新しく部屋に迎え入れたもの。
昔から変わらずずっとあるもの。

この2つとお目見えした今日は、なんだかちょっと特別な一日だったような気がする。

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