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ご挨拶

はじめまして、ume,yamazoeのオーナーをしている梅守志歩と言います。

春は桜の咲き乱れる道路を横切り、
夏は人里よりも少し涼しい風が頬をなでる。
秋は庭に大きな柚子と柿がみのり、
冬は満天の星空に包まれる。

そんな奈良県山添村に、2020年3月「ume,」はオープンしました。

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この施設を「古民家を改修したホテル事業」や、「地域活性化のプロジェクト」「いま流行りのフィンランド式サウナのあるホテル」と位置付けていただくことが多くあります。

これらはどれも正解であり、どれも少しだけ違和感をもっていて。

そんな一言では語り尽くせないume,への想いや、これから創っていこうとしている未来についてを、多くの人と共有するためにnoteを始めることにしました。

ただ恥ずかしながら、まだ自分の中でしっくりくる「○○○○」のことばが自分の中に定まっていません。わかりやすくことばを決めないほうが、私たちらしいのかも、とさえ思っていますが、その言葉を発信を通じて探していけたらいいな、と思っています。

言葉にしにくくて、カテゴライズしづらくて。
でも、心地良くて、大切で、大事にしたい感覚。

きっと数年後、この「○○○○」の中に、未来の日本の価値観や文化を構成する感覚が詰まっていることを願って。

・・・

誰もが予期しなかった、コロナウィルスによる生活習慣や価値観、消費傾向の変化の波が、いまも世界を包んでいます。ume,はコロナウィルス流行の真っ最中の、2020年3月にオープンしました。5月末までは営業自粛をしていて、6月1日より本格的な営業を開始できたところです。

そんなume,に訪れたお客様から一番聞かれるのが「なんでこういう場所をつくろうと思ったんですか?」ということです。今日はそのことについて、お話をしようと思います。

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ume, をつくろうと思った理由

このume, をつくろうと思った理由。それは、

“ないもの” が “ある”からしあわせなのではなく、
“ないもの” が “ある”ことに気を留めてみてほしい

という気持ちが根底にあります。

ume,は訪れるまでの道のりはとても険しいです。
何度も電波が途切れ、
小高い集落のいちばん上まで細い道をくねくねと登り、
はぁはぁと息を切らした先にたどり着く。

ちょっと不便な、宿泊業をやるには全く適していなさそうな集落のど真ん中にあります。

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こんな不便で不自由な場所では街での生活では気づけないことに、たくさん出会えると思います。

頬をなでる柔らかい風、
すぐそばの山から大音量で聞こえる鳥の声、
揺れる木々の隙間からこぼれる日差し、
お部屋に迷い込む大きなトンボ、
窓から見える腰の曲がったおばあちゃんの畑に向かう姿。

これらは、山添村にある特別なものではなくて、みなさんの周りにもあるもの。

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ものや刺激に溢れる街では、そういうものにすぐに気づけないように思います。そんな“ない”と思っていたものが実は身近に“ある”ことに気がつくと、この不自由な場所での体験が、あなたの人生ときちんと繋がっていていると、体感できると私は思います。

“ない”と思っていたものは、自分がすでに持っていたという感覚に近いかもしれません。

自分以外の環境や人のことをume,を通じて感じることで、日々の生活を優しく、穏やかに、そして強く生きていこうという気持ちがふっと湧き出る場所になればいいなぁとこの場所の構想を膨らませ続けていました。

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なぜ、このような感覚を大切にしたいと思っているのか

こういった感覚を大切にしたいと思う気持ちは、私の姉妹の存在が大きく影響しています。私が20歳の頃、3歳年上の姉が突発的な精神疾患になり重度精神障がいに。22歳の頃には、8歳年下の妹が急性白血病を発病しました。

就職活動や人生の選択を考える、多感な時期に起こった姉妹の病気の発覚は、私自身の価値観を問うには十分すぎるきっかけでした。

病気や障がいをもった家族とともに生活をする中で、たくさんの納得できない現実や制度、どこに怒りを向けたらいいのかわからない社会システムに直面してきました。

悲しくて、悔しくて。泣きながら病院を出てきた数は数えきれません。

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悔しさを携えて日々を過ごす中で、営業職をしたことしか経験のない私にできることは、社会のルールを疑問視することだけでなのだろうか?と考えました。

『変えるべきは、制度やシステムではなく、個人の感覚なんじゃないだろうか』

“ない“と嘆くことは簡単です。でも”ない”ことに気がつくことができる人が増えたら、社会は良い方向に変わるのではないだろうか。もともと大好きだった自然に近い場所は、そんな思いを湧き出る環境であるはず。

自然の中で、そしてface to faceのコミュニケーションが取れる距離感で、感覚を共有していくこと。これならいまの私にもきっとできる。そう思ってできたのが、いまのume,なのです。

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ume,で実現したいこと

私がume,で実現したいことは、
障がい、病気をお持ちの人、
国籍、宗教、性別、年齢など、いろんなものを超えて、
みんながフラットになる時間をつくることです。

その先に感じるものは、人それぞれで正解も不正解もありません。

ただ、自分という存在の輪郭を感じその他の存在にも想いを馳せられるようになれば、いまより少し優しくなることができて、自分以外のもので成り立つこの世界をもう少しだけ愛せるようになるはずです。

そんな感覚が芽生えるきっかけになる時間をご用意しています。

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スタートしたばかりのume,ですが、自分たちが想像していた以上に、この場所の価値を感じてくださり、たくさんのご紹介や、ご指導、応援をいただきながら日々理想の状態を模索しています。

言葉にならない。けど、どこか懐かしい。
この感覚をぜひume,にお越しいただき、感じていただければと願っています。

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ume, yamazoe HP
ume,の写真をたくさん掲載しています!ぜひこちらも覗いてみてくださいね。ご予約もHPから承っています。
https://www.ume-yamazoe.com

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