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「ニシンとかぼちゃのパイ」を作る仕事をした話

先日、ニシンとかぼちゃのパイを作る仕事をした。
ニシンとかぼちゃのパイとは、ジブリ映画「魔女の宅急便」に登場する作中屈指の有名料理だ。

Webライターの私が料理を作る仕事をするとは思ってもみなかった。
しかも私にとって魔女の宅急便は、ジブリ映画のなかでも特に好きな作品だ。
大好きな映画に登場する憧れの料理を作れるなんて。
そんな夢のような仕事をした話を、今からしたいと思う。

ニシンとかぼちゃのパイを作る仕事、というのはWebメディアuzurea.netの書籍レビュー記事の仕事だ。
そこで3月に発売された「子どもりょうり絵本 ジブリの食卓 魔女の宅急便」の書籍レビュー記事を担当させてもらったのだ。

この書籍レビューは、アニメや漫画に出てくる料理を再現したレシピ本を、掲載されているレシピをもとに実際に作ってレビューをするという企画だ。
なので、今回紹介する「子どもりょうり絵本 ジブリの食卓 魔女の宅急便」から選んだ料理を実際調理することになる。
選ばれた料理は「ニシンとかぼちゃの包み焼き」。
そう、「ニシンとかぼちゃのパイ」だ。
こういった経緯で私はニシンとかぼちゃのパイを作ることになった。

記事の執筆直前、金曜ロードショーで魔女の宅急便が放映され、久しぶりに観た。
最後に観たのはいつだっただろう。
魔女の宅急便はジブリ映画の中でも特に好きな作品だ。
幼い頃に観て以来、何度も観返した。
幼い頃はキキに憧れてほうきにまたがってみたこともある。
作中のニシンとかぼちゃのパイはどんな味がするのだろうと想像を膨らませたこともある。

よく、「子どもの頃に観た映画を大人になってから観ると、感じ方が異なる」という。
数えきれないくらい観た魔女の宅急便だけれども、今回は今まで観た中で一番、主人公のキキに感情移入してしまった。
それは、私が昨年末で会社員を辞めて今年からフリーランスのライターとして活動しはじめたからだ。

魔女の宅急便は、主人公のキキが魔女の修行のために知らない街でさまざまな経験をするという成長物語だ。
実績ゼロの状態から新しいビジネスを始めるということ。
なかなか依頼に結び付かず、焦ったり不安になったりすること。
すごく苦労した仕事にもかかわらず、いまひとつ報われないこと。
スランプ。
思いがけない感謝。
作中で描かれているひとつひとつの出来事がどれも、駆け出しライターの自分に当てはまった。

今回の書籍レビューの仕事は、企画段階からuzurea.netの編集部の方と一緒に携わらせてもらった。
作品の選定段階では、「漫画を読むのも仕事のうち」といった状態の時もあった。
「漫画を読むのも仕事のうち」ときくと、「楽そう」「楽しそう」だと思われがちだ。
実際はどうだったかというと、「楽しいけれど楽ではない」のが本音だ。

たとえば企画段階でアイデア出しに参加させてもらったことのこと。
私が出したアイデアはどれも独りよがりなものばかりで、コンテンツを作る側の意識が足りていなかったなと猛省したことがあった。
いっぽうで、編集部の方が出したアイデアは、どうすれば読者の共感が得られるか、興味を持ってもらえるかの視点が明確だった。
コンテンツを作る側になったからには、視座を上げなければならない。
今回の仕事で、私はそれを学んだ。

魔女の宅急便のラストシーンは、キキからの手紙を両親が読んでいる様子を描いている。
そのなかでキキは「落ち込むこともあるけれど、私この街が好きです」とつづっている。
今の私もまさにそんな気持ちだ。
「落ち込むこともあるけれど、私この仕事が好きです」







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