『明星』に生かされている
暗いことばかり言うと気持ちが暗い言葉に引っ張られるからあまり暗いことは言わないようにしてるがそれでも限界はある。
何やかんやライブも復活し、まぁ疫病を避けつつやっていけるだろうというこの時に再びの緊急事態宣言だ。正直気が滅入る。
そんな時届いた1枚のアルバムに生かされているような、そんな気がしている。
MUCCのベストアルバム『明星』だ。
MUCCで20年以上続けてきたドラマー、SATOちが脱退するということで彼への記念碑として彼が作曲、または作詞した曲を集めた楽曲のみで構成されている。私は長年来のMUCCのファンと言うわけではないしライブも片手で数えるくらいしか行っていないのだけれど、それでも身につまされる気持ちにはなる。
4人のMUCCのラストツアーはここまで感染者も出さずになんとかやっていき、残り数箇所というところでかの宣言により延期が発表された。
最後は無観客にしたくないという気持ちは当然あるだろう。まだMUCCが4人でいる期間が少しだけ延びたことに胸中は複雑だが下校の帰り道、友達に「もうちょっとついていくわ」と別れを少し遅らせたころの記憶が思い出した。
このアルバムはMUCCのパブリックイメージからするとびっくりするほど明るい。「いや二曲目から『君を中絶することに決めたよ』とか歌ってるんですが!?」と言われると何も言えなくなるけど。
前へ、フライト、謡声、My Worldはライブの盛り上がりところに差し込まれる楽曲だし、陰陽の激しいMUCCの中だと陽寄りのアルバムだろう。
MUCCの世界観がコロナという世界で不思議な噛み合い方をしている。いやひょっとしたらヴィジュアル系の非日常性が非日常が日常になってしまった世界とギアが噛み合うようになったのか。
と先日放送していた「マツコの知らないヴィジュアル系バンドの世界」を見ながら考えたりもした
次第におかしくなっていく世界で、いやもうとっくにおかしくなっていることの世界、異様に疲れることが増えた。ライブ、いやライブに限らず色んなことが延期になったり中止になったり、いっそのこと行くことをやめてしまえばと思うときもある。全てを諦め生きていくことは簡単だと思うけれど、このアルバムを聴いているとまだ擦り切れてられないし、生きていたいなと思う。
「死んだように生きることに 不感症気味の日々」
〜前へ it's true light〜
「希望あふれる朝焼けはまるで世界の終わりかのように」~ぬけがら~
「君は何を抱え 何を捨てて大人になった?
擦り切れてやつれた心 見たくないし、見せられないな」 〜昔子供だった人達へ〜
「何度も諦めて でも少しでも前を向かなきゃいけないって作り笑い でもまだ死にたくなるほど泣いて」~夕紅~
「さよなら悲しみ また会う日まで」 ~茜空~
「こんなんじゃ消えらんねえ」~My World~
「謡え 笑え」 ~明星~
明星とは明るく輝く金星のことだ。
今の世は、まだいつ明るくなるかもわからない暗闇の中だ。その中で表題通り輝きを放つこのアルバムを私は心に抱いていたい。
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