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ドラマ『ホームルーム』で山田裕貴に震えてほしい

このnoteはドラマ、ホームルームの話をしながら山田裕貴さんってすごいねって言いたい内容です。原作はまだ未読です。

カメレオン俳優:山田裕貴

「HiGH&LOW THE WORST」で2019年に終盤になってまさかの村山良樹と山田裕貴さんの感謝の気持ちだらけになってしまった山王連合会のオタクこと私。ゴーカイブルーの人がこんな演技も出来るんだなぁとドラマのハイローを観ていたときの私に言ってもおそらく信じられないだろう。そんな私とって2020年の初旬から山田裕貴さん主演のドラマが二つも存在していたのは僥倖だったとしか言いようがなかった。

私はそのうちのひとつ学園サイコラブコメ「ホームルーム」に打ち震えてしまった。

爽やかイケメン教師・愛田凛太郎が担任するクラスでは、女子生徒の桜井幸子に対して毎日不快なイジメが続いていた。
犯人は不明。しかし、幸子はそんな日々もあまり苦ではない。
なぜならいつだって憧れの愛田先生が助けてくれるから…!
皆の人気者で、正義感の強い先生は、イジメられっ子の幸子にとって特別なヒーロー。でも実は、そんな愛田先生がイタズラを仕掛けた張本人で…。

山田裕貴さん演じる美術教師、ラブリンこと愛田凛太郎は学生でありながら家庭の事情で孤独に過ごしながら天然素材のように純粋な桜井の姿に涙を流し、彼女のヒーローにならなくてはいけない。なので彼女は不幸でなければならない。というイカれた理屈のもと彼女へのイジメ行為をでっちあげ、それを救うというマッチポンプを繰り返す日々を送っていた。
ラブリンの部屋にはいたるところに存在する彼女の写真。
ある日、自分の関与していないところで桜井へのイジメ事件が発生する。桜井を不幸にしていいのは俺だけだと倒錯した感情を抱え犯人への報復に燃えるラブリン。
しかし桜井もまた倒錯した感情を抱えていた。桜井はこのイジメを受ける日々を「自身の光である先生が助けてくれるから」という理由で内心むしろ歓迎していたのだ。ラブリンの関与していない事件の犯人は、ほかでもない桜井の自作自演だった。
つまり互いに互いを神聖視する両片思いの状況なのだ。この作品のラブコメたる所以だ。さっさと付き合え。

あの村山さん(村山さんではない。オタクは心に残ったキャラクターを演じられるとしばらくその演者とキャラクターだけでなく別の作品のキャラクターをも同一視がちである)が教師をやってる!とニヤニヤしていた私の顔は1話で凍り付いた。ラブリンの気持ち悪い笑顔は決してオーバーな演技ではない。だからこそ怖いのだ。体の毛を剃り、全裸で桜井のベッドの下のスペースに忍び込むラブリンには、毎週寝る前に自分のベッドの下を確認させてしまう恐ろしさがある。
睡眠薬入りの紅茶を渡し、彼女が眠りについたあと、毎晩全裸で彼女の髪をとかし、歯をみがき、カーズのように彼女の脚をなで彼女を中世の絵画になぞられ愛の授業を行う。

皆の愛され教師ラブリンを演じる姿と、全裸になり建物の屋上で「俺を出し抜きやがって………!!桜井を不幸にしていいのは、俺だけだーーー!!!!!!」と愛を叫ぶ愛田の姿は、豪快な変身をしていた男の姿も、スカジャンを着てトラックに乗り突撃していたアタマの男の姿でもない、カメレオン俳優と言われるだけある山田裕貴の新たな姿に毎週ゾッとしながら観ていた。

――オファーがあったときの心境をお聞かせください。
山田:今、活躍されている俳優の方たちは、絶対やらないような役ですよね(笑)。僕自身は、制限をかけず、どんな役でも飛び込んでいけることが強みだと思っているし、面白い役をやりたいという気持ちは強くて。最近は朝ドラや舞台で“いい子”のイメージがついていたので、そこからおもいっきり脱却できると思って楽しみでした。ただ一つ、汐梨ちゃんにいろいろなことをしてしまうので、嫌われないかが心配でしたね(苦笑)。

村山さんのオタクになってしまい、山田裕貴さんに興味を持ったら、彼のカメレオン俳優たる一面をこのドラマでのぞいてほしい。


ネタバレ:原作とは異なる結末


原作は最近完結したとのことだが、原作は読めていないのであしからず。
不良グループに狙われる桜井、ラブリンをターゲットにし桜井を出し抜こうとするセクシー教師など、様々な状況が絡み合いついに桜井に愛されていることを知ってしまったラブリン。だが彼女に毎夜していることを告げられるのか。告げられぬまま毎夜ベッドの下に潜む日常を繰り替えす。
そして、桜井はある日気の迷いから毎夜必ず飲んでいた睡眠薬入りの紅茶を飲まなかった。目を覚ましてしまう桜井。全てをラブリンは告白するが桜井には拒絶されてしまう。
クラスメイトたちにも自身の行いが発覚し、追い詰められたラブリンは最期のホームルームを行うと宣言する。全ては桜井に会うために。


「愛は人をおかしくしてしまう」とある人物が言うシーンがある。
この作品の登場人物はみんなが皆「愛」におかしくされてしまい振り回されてたのだ。山田裕貴さんの強烈な演技が毒のように観ている私の胸を締め付ける。1人の女性のためにヒーローになろうとする男を(やり方が間違っていたとしても、)その姿を怖いとは思っても私は笑えなかった。

最終回後半、最後のホームルームから5年経った光景が描かれるのだが、ラブリンは学校から消え、土木現場で働きながら漫然と日々を過ごす、ラブリンとしての面影はどこにもない愛田のあまりにもその痛々しい姿に観ていられなくなった。
何の因果か美術教師となった桜井とは二度と会えず、死んだように過ごしている愛田。スーパーで桜井に渡していた紅茶の瓶を抱え、子供が落とした変身玩具(なんとモバイレーツ!!)を拾うが子供に渡せず彼女の親に渡してしまうシーンは、作品としての作劇もそうだが、かつてヒーローを演じた男が、ヒーローになれなかった男を演じるという光景にこれを演じた山田裕貴さんのことを考えると眠れなくなる。今夜は紅茶でも飲んで寝ようと思う






「桜井とはあの日以来会えていない。あいつを想い俺の心はずっとうずいている。当然夜は眠れない。睡眠薬入りのカモミールティーを飲む。俺は無理やり眠りに落ちる。そして俺は夢を見る。そう遠くない未来、桜井と再び出会い、愛を確かめ合う。そんな夢を……」

ラスト、誰もいない部屋に帰り、愛田の孤独な夜がはじまる。彼女の写真で埋め尽くされていた部屋にはドライフラワーと花の絵が飾られている。ベッドでの愛田のモノローグとともにカメラが下がっていく、ベッドの下を映すとそこにはあの桜井がいる。制服を着て。

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