その瓶をあける日まで
梅雨がきた。先日、天神橋を渡っていると、前方から傘をさしながら、大きな瓶を抱えている人が近づいてきた。僕は心の中で暑い暑いと呟きながら(声を出していたかもしれない…)ジメジメと汗をかいて、あぁ梅雨は苦手だなぁと、モノクロの街をとぼとぼと歩いていた。でも、すれ違う瞬間、ハッとした。その瓶の中には、少し色づいた梅と砂糖が重なり合い、じっと次の季節を待ちながら、こちらを見ているような気がした。まだ、瓶の中では、梅と砂糖が出会ったばかり。はじめましてと言わんばかりの、なんにも起きてな