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#ジブン製茶 2020春

 タイトルはカッコいいタグを使っている方がいたので、私も使用させてもらうことにしました。響きがいいですよね。
 ジブン製茶…何じゃそりゃ?って言う方の方が大多数だと思われます。
しかし、お茶が好き過ぎるや故に買ってきた茶葉を美味しく飲むだけでは満足できず製茶したくなる人種がいます。そう私です。
 ここ10年ぐらいはほぼ毎年行ってたけど、今年は茶摘みに行けないなぁと諦めてましたがそんな時に偉大なる茶農家の友だちから茶葉送ろうか?と言ってもらい、ちゃっかり甘えてお願いしてしまいました。(ほんま新茶の忙しい時期にすみませんでした。全て私の毎年の発作が悪いのです。不治の病を患ったかわいそうな奴だと思ってください。)


 そんな訳で、2020年春自分でお茶を作ったジブン製茶の成果をざっくりと紹介させてもらいます。

①4/11 プランター新茶:釜炒り煎茶

 自宅のプランターで育てているチャノキから新芽を摘み取り、今年は釜炒り茶にしました。

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 約20gの生葉の茶摘みから開始しました。品種は5種類ぐらいいろいろあるのですが何故かやぶきたがありません。

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 さっそく釜炒り開始。これで殺青(さっせい)して、酸化酵素を失活させます。ここで失活させることで、緑色のままの緑茶となります。

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 炒っては揉んで、炒っては揉んでを繰り返していきます。私は柔捻が弱いのでこれでもかっというほど揉んでいるつもり。でも、茎の水分が抜けにくい~。(植物細胞の細胞壁を恨みつつ・・・)

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 だいぶ水分が抜けて、ヒジキっぽくなってきました。手の感触でカラカラになってきたな―ぐらいで終了しました。

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 出来上がりをパチリ。色ムラは品種のせいとシロウトの仕上げのせいです。ムラなく仕上げるのは、やはりプロじゃないと難しいですよね…

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 せっかくなのでくるみっ子と一緒に飲んでみました。水色(すいしょく)は非常に薄くそれに比例してお味も薄いです。釜炒り製法と柔捻が足りてないせいですかね。でも、自分でお茶を作ったぞっていう満足感でいっぱいです。

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 茶殻はこんな感じ。んー、賑やかな色合い。でも、あれだけ揉んで潰れてぐちゃぐちゃになってるだろうなと思ってたのに、ちゃんと葉っぱの形状に戻るのはさすが。

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②4/26 A家からの新芽:釜炒り煎茶、烏龍茶

 偉大なるお茶友達からたんまりと新芽が届きました。感謝感激。もう気軽に買い物などで外にも行けない期間だったのでめっちゃ嬉しかったです。たくさん頂いたので釜炒り茶を2種類作る事にしました。

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②-1 攻め過ぎた釜炒り茶
 例のごとく釜でがさっと殺青。ちょっと入れ過ぎたので後悔しました。

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 火を入れるとくたっとしてきました。茎がくたっとしてきたら概ね火が入ったと判断してます。シロウト的には。

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 柔捻してます。量が多いと辛い・・・やはり茎との闘いとなるジブン製茶。ジブン製茶あるあるだと思ってるんですけど、柔捻に疲れてくると高温の鍋の縁に手首が当たって火傷しちゃいますよねー。

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 このぐらいで勘弁してください。ってな感じで終えました。気付くと焙じ茶に近いくらいの香りがしていたが・・・

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 早速、淹れてみました。お湯を注ぐとわっさ~と茶葉が開く!この瞬間は見てていつも楽しいです。いつまでも見てられる。
 肝心のお味なのですが・・・新茶のグリーン感がなく、ほうじ茶に近いほっこり感がする。新芽よスマン。炒り過ぎました。

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②-2 一晩萎凋させた釜炒り茶(なんちゃって烏龍茶)
 
茶葉がたくさん届いていたので、萎凋(いちょう)させてみました。
 萎凋って聞き慣れない方が多いかもしれません。が、烏龍茶や紅茶が好きな方は知ってて損はないと思います。萎凋とは、摘み取った葉を酸化発酵(大部分の反応が加水分解:水の重合反応)させてやることで、葉の中の成分を変化させる作業です。緑茶では殺青の工程で酸化酵素を失活させて酸化発酵させないようにします。
 一言でザックリ説明すると「わざと萎れさせて、いい香りに変化させる」という工程です。
 今回、風通しのいいベランダに葉がなるべく重ならないように広げて一晩置きました。時々混ぜて、水分量が均一になるように心掛けましたが、シロウトなのでかなり適当です。

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 ちらほら茶色くなったかな~って言うタイミングがこちら。めっちゃいい香り♪ ジブン製茶してる人の特権ですね。
 ちなみに、茶葉の香りなんですが刻々と変わっていきます。自分の感覚だと「グリーンな葉っぱ→花の香り→青リンゴ→高級な花の香り→バナナの渋」みたいな感じ。
 今回のなんちゃって烏龍茶は青リンゴの一歩手前ぐらいで殺青しました。

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 柔捻と乾燥を繰り返しこんな感じで仕上げました。今度は焙じ茶の香りはしてないので多分攻めすぎてないから大丈夫。でも、釜炒り難しいですね。茎の膨れとか温度にムラがあったんでしょう・・・
 前日の製茶で筋肉痛なのに再度同じような事やるのはなかなか辛い・・・もうマジで修行です。

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 できたてのなんちゃって烏龍茶を一つまみ湯呑に入れてお湯を注いでみました。ちゃんとほのかに甘い萎凋香(いちょうか)がして、明らかに緑茶とは違う感じで完成!!発酵度の違いでお茶を作り分けできて満足満足。

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③5/2 B家のいろんな品種の新芽たち:蒸し製煎茶、紅茶

 これはヤバい。在来やら紅茶向けの品種が来た…これは紅茶作らにゃ~いや、作らないわけにはっ!

③-1 レンチン煎茶(蒸し製煎茶的なもの)
 そういえば今回、蒸し製で煎茶作って無かったな・・・と言う事で、レンチン製茶で蒸し製相当の煎茶を作りましょう♪ この時、蒸し器を出すのがめんどくさかったのは内緒です。

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 レンジでチンして柔捻、レンジでチンして柔捻、レンジでチンして柔捻、レンジでチンして柔捻、レンジでチンして柔捻、レンジでチンして柔捻、レンジでチンして柔捻、レンジでチンして柔捻・・・
 そうしてできたのはこちらです。(絵は釜炒りとそんなに変わらないのでだいぶ省略)

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 例のごとく出来たての茶葉を急須に入れて飲んでみました。ちゃんとしっかり煎茶やん!在来だけあってその土地の味がするような気がする力強いお茶やん(自画自賛)。そして、新茶の証し毛茸(もうじ)がすごいっ!

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③-2  思い出しながら作った和紅茶

 届いた茶葉にべに系があったので紅茶を作ろう!!新芽部分がすでに赤い・・・

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 先日の烏龍茶と同様に萎凋。割としっかりめに1.5日間ほど萎凋させてみたので、緑色の葉の方が少ない感じ。香りがムンムンといい感じっ!やる気しか感じないっ!!

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柔捻してみました~。紅茶っぽくハンドロールな絵をパチリ。

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ザックリと柔捻した後はこちら。くたっとしててまだ緑の部分がありますね。

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柔捻していたら、バナナの渋の香りを感じ始めたので、酸化発酵2回目を開始。ちょいと水をかけてから、ぬくぬくの環境に放置してみました。

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 2~3時間ほど酸化発酵させると緑色部分がなくなってすっかり紅茶の様相に!そして、ちゃんと紅茶の香りがするっ!!

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 しっとりしたまま放置はさすがに腐りそうだと思って、かるーくだけ釜炒りして水分飛ばして乾燥させて仕上がったお茶がこちら。シルバーチップもりもりないいお茶だ!(見た目と香りでは!)

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 出来たてのお茶をさっそく淹れてみました。香りよし!クリアな水色!
味は薄い優しい渋さが無い・・・悪くないけど弱い。2煎目を淹れるとなかなかいける! あぁ、また柔捻が弱かったんだなと気付く。

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 茶殻はめっちゃキレイ!ぴんぴんの新芽の形がしっかりと!!
香りもいい感じ!新茶の和紅茶です!感がすっごいする!!

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最後に

 ジブン製茶で出来た4種類のお茶をなんちゃって鑑定してみました。2gづつ茶葉を入れて熱湯をざーーーっと。

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 どれもこれも個性が際立ついいお茶でした。何より自分で作ったので、楽しかったです。
 ジブン製茶するといつも思う事があります。肉体的にも大変で、ちょっとした条件を管理する繊細な工程が多い事に思い知らされます。「やっぱプロはすごい」と。
 買ってきたお茶を家で飲むまでには、土作り、茶畑の管理、茶摘み、製茶、パッケージング、販売、淹れ方などジャンルの細分化はされてて、どこまで誰がやるのかという違いはあれ、やはりプロの仕事によって成り立っている所が大きいです。その一部を体験することで、ますますプロの方へのありがたさと「毎年おいしいお茶をありがとう」という感謝の気持ちが生まれる気がします。

 機会があればぜひ体験してみてくださいね。

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