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ひとり出版社創業日記①立ち上げのきっかけと初期の気づき

こんにちは、UMA(ゆま)です。「来年、ひとり出版社を立ち上げることが目標です」と昨年、2023年の春に宣言して、いよいよその来年、2024年になりました。自分に言い聞かせるように周囲に伝えてきたのがよかったのか、年明けからわりにせっせと動き始めました。その経緯を記録しておこうと思います。


出版社を立ち上げようと思ったきっかけ

ずっと美しい本が好きでした。美しい本は、手にしていると宝物のように思えてきます。そんな本づくりをしてみたい気持ちは、長く自分の中にありました。

そういう本を生み出す人たちを追っているあいだに、私は「人の手で丁寧に本を作ること」を大切にする「本づくり協会」というところにたどりつき、その協会が運営している学校で本づくりを学び始めます。それが昨年の春のことです。

そして、美しい本を作りたいという気持ちを、出版社を立ち上げようという決意にまで突き動かしたのは、甥っ子アーティスト、木下晃希の存在です。彼は重い障がいを持ち、幼少のころから独特の絵を描いいます。この数年、作品がまとまってきて評価される機会が増え、応援してくださる方も多くなっています。私自身、彼の絵の大ファンです。

昨年は東京松坂屋上野店で個展を開催しました。

晃希の絵で美しい本を。これが、私が出版社を立ち上げようと思った最大の動機です。

(ほかにも諸事情はあるのですが、それはそのうちおのずと滲み出てくると思うので、きょうはここまでに……)

「TOKYO創業ステーション」のセミナーで聞いた耳の痛いハナシ

起業に向けて情報収集を始めて、「TOKYO創業ステーション」というものがあることを知りました。東京都中小企業振興公社が提供している創業支援サービスです。

じつは私はかつて、有限会社で制作会社を作ったことがあります。その設立の時は自分で全部手続きをしたので、創業そのものにそれほど不安はありませんでした。「定款」とか「法人印設立3本セット」とか言われても「はいはいあれね」という感じだったのです。

なので、創業支援といっても、手続き的なことは問題ないかな、ネットでいくらでも情報はあるし、と思っていました。

でも、何気なく無料のオンラインセミナーをいくつか受講して、思わぬ盲点に気づいて、はっとしました。

それは、自分が「作る」ばかり考えていて、「売る」を意識していなかったことです。

私はこれまで翻訳者、ライター、写真家など、本づくりには長年、さまざまな立場で関わってきました。企画を出版社に持ち込んで、本にしたこともあります。校正や編集に関わったこともあります。オンデマンドで冊子を作ったこともあります。

その経験から、本を「作る」ことは、できそうな気がしていました。「中身ぜんぶ作れるんですね」と言われたりして、その気になっていました。でも、そこまでだったのです。

売った経験がない。

かつて立ち上げた制作会社は、クライアントが求めるウェブサイトや動画などを仲間と一緒に作って納めて終わり、だったので、自ら売る努力をしたことはありませんでした。

でも本はちがう。1000部作ったら、1000人の人に届けなければならない。

「作りたい」気持ちが先走って、そんなあたりまえのことが抜け落ちていました。あるいは、抜け落ちてはいないまでも、「いいもの作っていれば、なんとかなるでしょ」みたいな気持ちだったのです。

大事なことに気づかせてくれたのは、東京の下町で中小企業のコンサルティングをしていらっしゃる五十嵐勉さんの「小さな会社が勝ち続けるために必要な戦略」というセミナーです。

その時に唸りながらメモした2点をここにも残しておきます(自分の心の壁にも貼っておきたいと思います)。

・中小の企業の社長は勘と経験を頼りにしている。経営を勉強していない。

・経営を構成する要因で最大のものは「営業力」「お客作り」
 「商品が良ければ売れる」わけではない。

TOKYO創業ステーションオンラインセミナー
五十嵐勉氏「小さな会社が勝ち続けるために必要な戦略」

まったくもっておっしゃるとおり。

本を売る方法については、まだいろいろ調べているところです。出版社で編集者として経験を積んでから、ひとり出版社を始めた方にはあたりまえのことかもしれないのですが、ひたすら中身を作っていた立場にとっては、知らなかったことがたくさんあります。

そんなことはまた、やりながら書いていければと思います。

今日もここまでお読みいただきありがとうございました。次回は会社の社名を決めた話などを続けたいと思います。

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