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本づくりの仕事がしたくて製本の学校に通い始めました③「美しい本」にあこがれて

こんにちは、UMA(ゆま)です。この春から製本学校に通っています。目標は来年、ひとり出版社を立ち上げることです!

……とかいう書き出しで、自分にエールを送るシリーズ(?)3回目です。まだ挫折せずに絶賛精進中!今回は、最近作った『木から紙ができるまで』の本を見ていただきたいと思います。

じつは私は紙、とくに和紙が好きで、これまでの手製写真集にも使ってきました。時々、紙漉きを習いに行ったりしています。それがご縁で、紙漉きワークショップのお手伝いをすることもあり、その時に私の紙漉きの師匠が、楮の刈り取りから紙ができるまでの工程を追った「和紙ができるまで」のポスターを使っているのを見て、「これ、本にしましょう」とご提案しました。

文章と写真は師匠にいただき、そこに英文を入れ、私が撮った写真もいくつか追加して、編集しました。紙は表紙、本文紙、函とも師匠の手漉きです。

手染めの繊維を漉き込んだ紙がなんとも儚げでうっとりするほど美しい。その雰囲気を残したくて、水の中でたゆたう紙料のイメージでふんわり仕上げました。

もうひとつ、同じ内容で蛇腹本も作りました。これも紙は、表紙、本文紙、帙(ちつ)という形のケースとも師匠の手によるもの。糸も紙糸(しいと)という、和紙をよったものです。

表紙とケース裏に貼った葉っぱは、昨年、プランターに植えたトロロアオイ(和紙作りに欠かせないネリを根っこからとるのに使います)を間引きした時に間引かれちゃったコたち。かわいかったので、そのまま押し葉にしていました。枝は冬に刈り取りを手伝わせてもらった楮の残り。なにげに取っておいたものが使えると地味にうれしいものがあります。


最初に書いたように、来年出版社を立ち上げるつもりですが、そこでは、美しい本を作りたいと思っています。消費される本ではなく、プロダクトとして美しいもの。

今年の春のはじめに神奈川県立近代美術館鎌倉別館で『美しい本―湯川書房の書物と版画』という展示を観ました。湯川書房とは、湯川成一さんが1969年に大阪で設立した出版社(のちに京都に移り、2008年まで存続)。意匠を凝らした装幀の限定本を出版、工芸品のような本を送り出し、「湯川本」として多くの作家、芸術家に愛されました。

展示パネルにあった「かわいいて、かわいいてしゃあない本を作りたいんや」という言葉が、その声を聞いたことがない私にも、切ないほど優しい響きで脳に染み入りました。

今回の本は、そんなことを思いながら作りました。


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