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【前編】<えの木てい>横浜文化と人を紡ぐ山手のサロン

NEW PORTが地元横浜で愛される有名店を取材するインタビュー企画、第2回目は、山手の高台にたたずむ純英国式洋館で営まれる洋菓子店「えの木てい」へ。横浜銘菓として地元民に広く名を知られた老舗です。創業から今に至るまで、ファンの心をひきつけてやまないその秘密をのぞいてきました。

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教会や洋館などが立ち並ぶ山手本通りでひときわ目をひく洋館、「えの木てい」。横浜流星主演の映画「LDK」のロケ地やゲーム「金色のコルダ」の舞台になっています。1979年創業より40年以上続く同店にて、現オーナーの安藤美穂さんにお話を伺いました。

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すべてのはじまりは“おもてなし”から

--高台からのぞむ海、アメリカ山公園、横浜外国人墓地など横浜らしい景色に、えの木ていの洋館はひときわ映えていて、いつ見ても素敵で見とれてしまいます。歴史ある洋館でお店をはじめられたのはどのような経緯ですか?

「以前住んでいた山手にまた住みたいと願っていた父が、この洋館が売りに出ていたことを知り、自宅として購入し住むことになりました。当時父は馬車道で「珈琲屋」という名の喫茶店を営んでおり、母はもともと料理好き。外国人が多く住んでいた土地柄、クリスマスにターキーを焼くような西洋文化が自然に日常にありましたし、料理をつくって人を招くという慣習もありました。

ある冬の日に洋館を見に来た女学生2人が寒そうにしているのを見かねて、母が招き入れてケーキを振る舞ったことがありました。そんな環境や母の気質が重なり、ある日母が庭に面するリビングをお店にしたいと言い出して、ひとりで開業したんです。」

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--お母様おひとりで…!安藤さんが受け継ぐことになったのは自然な流れだったのでしょうか?

「開業した当時は大学生で、友人と一緒に手伝っていました。時には泊まり込みで合宿のようになることも(笑)長らくひとりで切り盛りしてきた母ですが、15年ぐらい経ったころかな、『お店手伝ってくれない?手伝ってくれなかったらやめようかな』と漏らしたんです。そんな言葉を聞いたら、私がやらないわけにいかないなって。

それからはイギリス式洋館ということで紅茶インストラクターの資格を取得したり、個室を設けたり、アフタヌーンティーを始めたりしてきました。」


--洋館は当時からそのままですか?外にあるガーデン席も当時はめずらしかったのではないでしょうか?

「一時外壁の一部を水色に塗装したことがあるのですが、この辺りは景観条例が厳しく、すぐもとに戻したことは今では思い出です(笑)1階には、元老院で使用されていたイスや当時の暖炉が健在。ガーデン席は20年以上前につくったのですが、当時はとてもめずらしかったです。もとは庭だったのですが、外国人の方は外で楽しみたいという声が多くガーデン席を設えました。」


--今や山手に残る貴重な建物ですよね。全国から見学に来る方も多いのだとか。

「洋館は当時の横浜の面影を残しているため遠方からもいらっしゃる方も多いのですが、近所の方にも多く訪れていただいています。邸宅を社交場とするサロン文化のように生活にとけこんでいるのかなと思います。」

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【後編】では、人気メニュー、4.1万いいね(!)を獲得した応援ツイートの裏話、デリバリーの楽しみ方をお届けします。

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「えの木てい 」の洋食を自宅にいながら楽しめるデリバリーはNEW PORTのこちらのページから注文可能です。

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