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小麦の価格が高騰!?注目される「米粉」

みなさん、こんにちは!
福島県天栄村で「う米めん」というグルテンフリーの米粉麺を製造している樽川千香子と申します。
早速ですが、皆さんは今年4月から輸入小麦の価格が引き上げられたことをご存知でしょうか?

穀物国際相場の推移
穀物国際相場の推移
農林水産省「輸入小麦の政府売渡価格について」令和4年3月より

今年3月9日に農林水産省より輸入小麦の価格引き上げについて発表され、多くのメディアによって取り上げられました。
どのくらい引き上げられたのかというと、過去2番目の高値とのことです。

今回はなぜ輸入小麦の価格が高騰しているのか、またそれによって現在注目されている米粉についてお話していきます!

輸入小麦の高騰、ナゼ?

様々な場面で登場する小麦。お菓子やパン、パスタなどの小麦製品の定番は勿論、天ぷらの衣やカレーなどのルゥにも使用したりします。
家庭には必ずある食材ですよね。
その輸入小麦の価格が今年4月に引き上げられることを農林水産省が発表しました。

上記記事内でも色々な理由について触れられていますが、輸入小麦の価格高騰は大きく分けて4つの影響を受けていることがわかりました。

①不作による影響

今回の輸入小麦の価格高騰に大きく影響を与えているのが、小麦の主な産地である北米での不作によるものです。
小麦の輸出量が多い国1位はロシア、次いでアメリカ、EU、カナダです。
(ロシアはこの後の③に関連してきますが)その中でも、日本で輸入される小麦の多くはアメリカ産やカナダ産です。
ところが、アメリカとカナダでは昨年夏の高温や乾燥が小麦に影響し不作に……。そのため、小麦の国際価格は高水準で推移しました。またアメリカ、カナダに加えオーストラリアの日本向け産地における品質低下などにより、日本が求める高品質小麦の調達価格帯が上昇したことも影響しているようです。
一般に販売される多くの小麦は一等級の小麦です。不作に加え高品質を求められれば、当然希少になり価格が高騰したことも頷けますよね。

小麦粉百科「小麦・小麦粉の価格のしくみ」より

②新型コロナウイルスによる影響

不作に次いで、2020年から私たちの生活を脅かしている新型コロナウイルスも輸入小麦の価格高騰に関係しています。
世界的に物流が停滞していること、それにより輸送コストが高騰したために小麦もその影響を受けているようです。
国内で販売されている小麦のうち約9割が輸入小麦だと言われていますので、遠路はるばる輸送すると考えると、新型コロナウイルスによる影響も大きいですよね。

海上運賃の推移
農林水産省「輸入小麦の政府売渡価格について」令和4年3月より

③ウクライナ情勢による影響

「①不作による影響」の部分でも触れましたが、日本で輸入される小麦の多くはアメリカ産やカナダ産です。
では、ウクライナとかは一見影響はないのでは?と思いますが、輸出国1位であるロシアはウクライナ情勢の関係で輸出制限をかけていますよね。輸出も行ってはいるのですが、規定の枠を超える輸出には50%の関税をかけることを発表しています。
また、2007年からは輸入小麦の売渡価格について、年間を通じて固定的な価格で売り渡される「標準売渡価格制度」ではなく、小麦の国際相場等の動向を輸入小麦や小麦粉及び小麦粉を使用した製品の国内価格に、適切かつ迅速に反映されること等を目的として「相場連動制」が導入されました。
日本に対して直接的な影響はないのですが、この「相場連動制」により輸入小麦の価格が世界的な規模で高騰しているようです。

④円安による影響

小麦は輸入品なので仮に小麦の相場が同じ価格だとすると、円高になれば輸入価格は安く、円安になれば輸入価格は高くなります。

小麦粉百科「小麦・小麦粉の価格のしくみ」より

現在の日本は円安。当然輸入小麦の価格は高くなります。
「③ウクライナ情勢による影響」でも国際相場の動向により……と書いたように、国際相場や為替相場等の影響が自動的に小麦の売渡価格に影響されるようになりました。
①〜③の影響が相まって、輸入小麦の価格が高騰しているんですね。

為替の推移
農林水産省「輸入小麦の政府売渡価格について」令和4年3月より

大注目の“米粉”が家計を救う!

輸入小麦が高騰している中、注目をされているのが「米粉」なんです!
以前の記事でも触れましたが、日本はお米の食料自給率が97%ととても高いですが、そのお米の消費量が低下しています。

「米粉と小麦、味も食感も全く違うのでは?」と苦手意識を抱いている方もいらっしゃるかもしれません。
具体的な小麦粉と米粉の違いとしては、

  • グルテンが含まれていない

  • 小麦と比較して油の給油率が低い

  • ひとに必要なアミノ酸のバランスが優れている

  • もっちり食感!だけどダマになりづらい

などが挙げられます。
2018年からは「薄力」「中力」「強力」と小麦が分かれているように、米粉においても「菓子・料理用」「パン用」「麺用」のように用途別の表記が開始されました。
一概に「米粉」だけではわかりづらいかもしれませんが、用途別の表記があると安心してお料理にも活用できますよね!
他にも、最近は米粉料理の研究も進み、米粉独自の特性を生かした製品も多く販売されるようになりました。
もちろん、う米めんに関してもお米の持つ特性を科学的な面から最大限に引き出した米粉麺になっています。

お米はほとんど輸入に頼っていないので輸送リスクも低く、また食の安全面についても安心できます。
また、輸入小麦と異なり価格の変動が小さく、海外情勢の影響を受けにくい、という強みがあります。
今回の輸入小麦の価格高騰を機に日本のお米を食べれば、日本の米離れ問題の解消や食料自給率のアップも見込めます!

小麦もいいけれど、「米粉」という選択もこれからの社会では必要になってきそうです。
ぜひ一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

参考文献


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