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台湾問題について半導体をめぐる米中の覇権争いについて解説

半導体と台湾との関係性及び、米中の覇権争いとは?

2019年の中国の武漢において、新型コロナウイルス感染症による厳しい封鎖が行われた。

そんな中、中国国内では、対外的に国内封鎖を行っているとアピールをしておきながら、高速鉄道は半導体の製造を開始したばかりの240億ドルの工場の従業員を輸送し続けました。

このことは、米国や欧州の技術に依存しない高度な半導体の製造を追求する中国の主力企業の1つである長江記憶技術公司 (YMTC)に関して調査されたことです。

※     YMTC:中国の武漢にある半導体製造企業

しかし、半導体チップの製造は、半導体をめぐる、技術開発やサプライチェーンなど、すべての活動のほんの一部にすぎません。

半導体チップを製造するということは、何千ものテクノロジー、複雑な精密機器、非常に洗練されたプロセス、およびすべての関係者間の緊密なネットワークを含む複雑なビジネスを意味します。

半導体の製造工程は、電子設計自動化 (EDA)ソフトウェアから始まり、実際の設計、製造、最後にパッケージ化とテストが続きます。


つまり、半導体チップの製造プロセスでは、極めて精密な機器、最も純粋な形の化学物質、亜原子レベルでの取り扱いが必要です。

このプロセスでは、数千の特許、知的財産権、設備、および複雑なコラボレーションが関与しています。

半導体製造プロセスを担うプレイヤーのほとんどは米国、日本、ヨーロッパ、韓国、台湾から来ており、中国からも参加者が増えています。

しかし、米国の制裁により、中国企業が10ナノメートル(nm)未満の最先端チップの製造に必要な技術にアクセスすることが困難になっています。

中国政府はこれまでローエンド市場で事業を展開してきたが、この状況を変えたいと考えています。
※ローエンド市場:必要最低限の機能を備えた製品で、金額重視のユーザーを対象にしている市場のこと。



中国におけるYMTCを中心とした半導体の製造状況


YMTCが製造の先頭に立っている一方で、上海のAdvanced Micro-fabrication Equipment (AMEC) は、高度なエッチング・マシンを開発しています。

天津に本拠を置くHwatsing Technologyは、最先端の化学機械平坦化装置を製造しています。

半導体製造活動のあらゆるセグメントにおいて、中国政府はその能力を積極的に構築しようとしています。

これらはすべて、ハイテク設計と生産ノウハウを向上させる、中国政府の2015年の「中国製造」産業政策の一環となっています。

「中国製造」産業政策では、2025年までに半導体の自給率70%という目標を設定しています。

そして、この政策の中心となっているのが台湾であります。

このように、台湾は、米中の半導体の覇権争いにおいて、とても重要な意味がある場所となっているのです。



台湾の半導体製造企業体が世界に及ぼしている影響について


台湾の製造工場、半導体製造に関するインフラやすべての活動において、世界シャアをかなり確保しており、世界の収益の60%以上を稼いでいます。

そして、台湾において、最先端のチップの世界シェアはなんと92%です。

この台湾の最先端のチップは、最も洗練された防衛およびその他のハイテク電子機器に技術的優位性を与えるチップです。

これらの工場のうち、有力な工場は台湾積体電路製造会社(TSMC)で、一流のハイテク企業や防衛企業にチップを供給する世界最大の企業体です。

TSMCだけで世界の半導体市場収益の50%以上を稼いでいます。

台湾の地理的な理由により、すべての鋳造工場は中国の福建省沿岸から約170キロメートル離れた島の西海岸にあります。



半導体におけるナノメートル単位の意味について


チップ製造におけるナノメートル単位の意味を理解してみましょう。

1ナノメートルは10億分の1メートルです。

人間の髪の毛の直径は約75,000nmです。

人間の赤血球は直径6,000~8,000nmで、エボラウイルスは長さが約1,500nm、幅が約50nmです。

Sars-CoV-2ウイルスの大きさは50~140nmです。

一方で、高度な半導体では、複雑な回路やトランジスタをわずか5nmの間隔で詰め込むことができます。

1平方ミリメートルのチップには数百億個の回路が収容されており、携帯電話から精密誘導ミサイルに至るまであらゆるものを動かす電子発電所となっています。



半導体の製造工程について


半導体の製造プロセスは気が遠くなるような工程があるのが基本です。

これには、レーザー噴射で溶融錫の液滴を蒸発させることが含まれます。

結果として生じるプラズマは極端紫外線を放射します。

ミラー技術で、光が反射することにより、光をシリコンウェーハに導き、5nm以下(わずか数個の原子のサイズ)にわたる回路を描くことができるようになります。

現在、最先端の5nmチップを製造できる工場はTSMCとそのライバルである韓国のサムスンだけです。

台湾のTSMS、韓国のサムソンのどちらの企業も、今後、生産開始される可能性のある3nmチップの技術開発を行っていいます。



台湾の半導体が中国と米国にとって重要な理由


これまでの解説で述べてきたことを踏まえて、台湾は中国にとっても米国にとっても非常に重要であると認識できることだと思います。

米国政府の懸念は、中国政府が台湾の工場を制圧すれば、中国がすべての軍事ハードウェアを動かし、経済を動かす先端チップの供給が米国企業から遮断されることになるということです。

一つ確かなことは、米国が台湾の工場を管理できなくなってしまうと、世界のネットワークから台湾の工場が切り離されてしまうということなのです。

もし、最先端の半導体技術が無くなれば、アメリカ経済と防衛生産は停止してしまうことになってしまうと言われています。

実際、台湾の半導体を得るということは、軍事的および技術的優位性は、あらゆる経済、軍事活動の限界まで影響を及ぼすものだと言えます。

たとえば、ウクライナで非常に有用であることが証明されているジャベリン・ミサイルの製造には200個を超える半導体が必要です。

中国の軍隊は、米国にとって非常に重要な工場からすぐにでも軍事力を展開できる位置に、配備されているのです。

これを懸念して、アメリカは最近制定されたCHIPS法を通じて、米国国内での半導体製造を着々と進めようとしています。



中国の北京における状況と中国の思惑について


中国の首都である、北京も不安定な状況にあるのです。

実は、中国経済は、世界の半導体生産量の60パーセントを消費しており、その90パーセント以上は海外または中国に拠点を置く外国企業によるものなのです。

世界のトップ半導体企業のほとんどは米国のもので、次にヨーロッパ、韓国、台湾、日本が続きます。

中国では、世界で有数とも言える半導体企業というものが存在しません。

このことが中国に対して、世界のどこにいても敵を倒す「世界クラス」の軍隊を構築するという中国の計画にとって大きな障害となっているのです。



このような状況下でも台湾有事が起こってしまったら?


もし、このような状況下において、台湾有事が起こってしまった場合、どんなに米国に優位な戦時状況になったとしても、大きな問題は、台湾の工場は無傷で残るのかということなのです。

現在明らかになっているように、双方とも半導体を生産し続けるためには、米中のどちらにとっても、台湾を中心とした半導体企業を必要としていることです。

ただし、この状況は、米中ともに、自国で最先端の半導体チップを製造できないという条件のみに限り、存続することなのです。

台湾が世界の半導体の最先端を伴わなくなったとしたら、台湾有事が米国にとって、脅威ではなくなってしまう可能性もあります。

今後の台湾有事における米中戦争の行方は予想だにできないことですが、現在において、台湾問題は、第三次世界大戦を巻き起こす可能性は十分にある懸念材料と言えるでしょう。


今回の記事は以上になります。


ここまで読み進めていただきありがとうございました。

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