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【シン・ウルトラマン考察】地球にウルトラマンは必要ない。我々はいつまでウルトラマンに好きでいてもらえるのか?初代ウルトラマン最終回からの考察。

どーも。ばぁどです。
GW中であり、シン・ウルトラマン公開間近ということで、色々と考察記事をあげていおこうと思います。


「さらばウルトラマン」とは

「さらばウルトラマン」は、初代ウルトラマンの最終回にあたる回です。
宇宙恐竜ゼットンの前に、ウルトラマンは敗北しウルトラマンが地球を去るというストーリーになっています。

この最終回が、2022年公開予定のシン・ウルトラマンにどのように関わっているかというと、ティーザービジュアルにある「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」の発言があったのは、この「さらばウルトラマン」になります。

ゼットンに敗北したウルトラマンを助けに、ゾフィーという宇宙警備隊の同僚が助けに来ます。そのゾフィーがウルトラマンとの会話の中で、上記の「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」という発言をすることになります。

「ウルトラマンは日米安保である」というこじつけ

筆者が学生時代に、とある大学院生に出会いました。
イスラエルから日本へ留学しにきており、研究テーマは「日米安保」でした。当時の筆者は特に何も考えておらず、非常に勉強熱心だなと他人事のように思っていましたが、日本とアメリカの条約について研究をしているのか今になっては非常に疑問です。

日米安保における日本と米国の関係性、非常にウルトラマンと地球という構図に似ていると筆者は考えています。日本は現在日本の力のみで日本を守り抜くことはできません。核兵器という核の傘という理論がある以上、核兵器を持つ某国との力関係を常に気にしておく必要があります。

ウルトラマンの中で描いている世界線でも同様に人類は人類のみの力で怪獣の脅威や宇宙人の侵略からなんとか地球を守ろうと試みますが、最後には銀色の巨人ウルトラマンが解決してくれます。
ウルトラマンは子供向けの番組なので「ウルトラマンが勝った!!ありがとう!」で良いのですが、ウルトラマン世界の地球人は地球人の力だけで地球を守ることができていません。
仮にウルトラマンの力なしであれば怪獣の脅威はさらに増大し街は壊され、宇宙人の侵略は成功していたかもしれません。

このように自らの土地や平和を自らの力だけで守り抜くことができないという点において、筆者はウルトラマンと日米安保は構造上とてもよく似通っているとこじつけをしております。


地球の平和は人間の手で掴み取ることに価値がある

ウルトラマンは最強の敵、ゼットンに破れ命がつきます。
そこにM78星雲から光の使者ゾフィーが現れます。
ゾフィーとウルトラマンは赤い球体の不思議な空間の中で下記のような会話をしています。

ゾフィー:「ウルトラマン、目を開け!私はM78星雲の宇宙警備隊員ゾフィー。さぁ、私と一緒に光の国へ帰ろう、ウルトラマン。」

ウルトラマン:「ゾフィー、私の体は私だけのものではない。私が帰ったら一人の地球人が死んでしまうのだ。」

ゾフィー:「ウルトラマン、お前は十分地球のために尽くしたのだ。地球人なら許してくれるだろう。」

ウルトラマン:「ハヤタは立派な人間だ。犠牲にはできない。私は地球に残る。」

ゾフィー:「地球の平和は人間の手で掴み取ることに価値があるのだ。ウルトラマン、いつまでも地球にいてはいかん。」

ウルトラマン:「ゾフィー、それならば私の命をハヤタにあげて地球を去りたい。」

ゾフィー:「お前は死んでもいいのか?」

ウルトラマン:「かまわない。私はもう2万年も生きたのだ。地球人の命は非常に短い。それにハヤタはまだ若い。彼を犠牲にはできない。」

ゾフィー:「ウルトラマン、そんなに地球人が好きになったのか。よし、私は命を二つ持ってきた。その一つをハヤタにやろう。」

ウルトラマン:「ありがとう、ゾフィー」

ゾフィー:「ではハヤタと君の体を分離するぞ。」

この会話の中でウルトラマンは20000歳なのか!とか色々な驚きはあるのですが、最重要なポイントとして「地球の平和は人間の手で掴み取ることに価値があるのだ。ウルトラマン、いつまでも地球にいてはいかん。」という部分になるかなと考えています。
この会話でゾフィーが発言したことこそが、初代ウルトラマン全39話を通して作者が最も伝えたかったメッセージなのかもしれません。

実際に物語の展開としても、初代ウルトラマンはこの会話の後にハヤタと分離し、ゾフィーと共にM78星雲光の国へと帰還しています。
また上記の会話を知ってか、知らずかムラマツキャップも「地球の平和は科特隊の手で守っていこう」と意思を新たにします。

ゾフィーが説いたように初代ウルトラマンにおいての最終的な結末、結論として「地球は地球人自らの手で守り抜くことに意味がある」という部分に帰結します。

【閑話休題】後の昭和ウルトラシリーズ+αで示された人類とウルトラマンのAnswer

初代ウルトラマンにおいての結末は「地球は地球人自らの手で守り抜くことに意味がある」というものでした。
では、後のウルトラシリーズではどのような結論を持っているのでしょうか。今回は昭和ウルトラシリーズの中からウルトラセブン(1967)、ウルトラマン80(1980)、および昭和ウルトラシリーズ直系の続編であるウルトラマンメビウス(2006)の最終回からさらに発展させて考えていきます。

ウルトラセブンは1967年に終了した初代ウルトラマンの半年後に開始した空想特撮シリーズの第二弾の作品です。
ウルトラセブンでは、主人公モロボシ・ダンはウルトラセブンが地球人の姿を借りた仮の姿。そのモロボシ・ダンが地球人との友情、愛を経験し、数多くの宇宙人の侵略から地球を守るというストーリーで一貫しています。
そんなウルトラセブンにおいても最終回ではウルトラ警備隊のキリヤマ隊長により「地球は我々人類、自らの手で守りぬかなければならないんだ!」と、ゾフィーと同じような発言を今度は地球人の立場から言っています。
ウルトラセブンにおいては初代ウルトラマンと同じ結末となっています。

次に1980年に作成された最後の昭和TVウルトラシリーズであるウルトラマン80では、初代ウルトラマン、ウルトラセブンとは違う形の結論が用意されています。
主人公ヤマト・タケシはウルトラマン80が地球で暮らすための仮の姿であり、地球人として中学校教師を生業としていました。その後地球防衛隊UGMにも所属し、ウルトラマン80は地球人としても地球防衛の任務についていました。ウルトラマン80の最終回では主人公の正体を見破ったキャプテンにより、「地球人だけで怪獣を倒せることを証明したい」と告げられ、ウルトラマン80は地球人の活躍を見届けた上で光の国へと帰還するという結末でした。
このウルトラマン80において、初代ウルトラマンおよびウルトラセブンで結論づけられた「地球は人類の手で守り抜かなければならない」という、悲願が成就されるのです。

最後に昭和ウルトラシリーズの意を汲んで、直系の続編として作成されたのが2006年のウルトラマンメビウスになります。
ウルトラマンメビウスにおいては初代ウルトラマンやウルトラセブンが訪れた地球が舞台となっており、ウルトラマン80が光の国へと帰還後四半世紀もの平和が訪れた地球が舞台となっています。
ウルトラマンメビウスはウルトラの父の命を受け、地球人ヒビノ・ミライとして四半世紀ぶりに地球へと降り立ち、地球人との友情を育みました。
そんなウルトラマンメビウスが最終回で出した結末は、人類とウルトラマンが共に並び立ち新たなる脅威を打ち砕くという、初代ウルトラマンでもウルトラマン80とも違う、新たな答えが描かれました。
また、ウルトラマンメビウスの中ではゾフィー人知れず地球を宇宙人の脅威から守っており、「人類がウルトラ一族と肩を並べるまで、ウルトラ一族が盾になろう」(意訳)と言っており、人類がいつかウルトラマンと同じような存在になることを示唆してくれています。
そんなウルトラマンメビウスにおける「人類とウルトラマンが共に並び立ち新たなる脅威を打ち砕く」という結論こそが「全人類が共に並び立ち地球の課題を解決していく」というような、今後の地球全人類の行く末であって欲しいと考えております。

我々はいつまでウルトラマンに好きでいてもらえるのか?

筆者が注目しているこの「さらばウルトラマン」で描かれているもう一つのポイントは、ウルトラマンが地球を守った理由です。
もちろん最初は初代ウルトラマンとハヤタ隊員の衝突事故がきっかけです。
しかし、その後もウルトラマンが地球のために、人類のために戦い続けた理由、それはゾフィーが言った通り「地球人が好きになったのか」。その一点に限ります。

シン・ウルトラマンのおいてもティーザービジュアルから分かる通り、ゾフィーの一言が元ネタとなっております。
そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。
筆者はこのティーザービジュアルを見たときに涙しました。
56年経った今でもウルトラマンは我々のことを見捨てずに好きでいてくれていた。50年以上も続く純粋な愛の形がそこにあったことに驚きを隠せませんでした。

初代ウルトラマンが無償の愛で地球を防衛してくれ地球を去りました。
その後のウルトラシリーズの作中で、地球人の愚かな行動がもたらした災害をウルトラマンが解決してくれた事例はいくつもあります。

ウルトラセブン第26話「超兵器R1号」では、数多く襲来する宇宙人に対抗して惑星を一発で仕留めるR1号が完成します。実験台として選ばれたギエロン星は跡形もなく宇宙の藻屑になりますが、実はギエロン星には生物が存在しており、恨みを込めてギエロン星獣として悍ましい姿となり地球へと舞い降ります。そのギエロン星獣はウルトラセブンにより撃退されるのですが、モロボシ・ダンが放った兵器開発の競争を皮肉ったセリフである「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」はとても有名です。

また、1990年に作成されたウルトラマンGの最終回「永遠なる勇者」(原題:nemesis(天罰))でも、人類の愚かな環境破壊から復活した二大怪獣を、満身創痍な状態のウルトラマンGが倒し、人類にやり直すチャンスを与えてM78星雲へと帰還しています。

しかし、そろそろ我々もウルトラマンに呆れられて見捨てられる頃かもしれません。人類による自然破壊は続き気候変動や海には海洋ゴミが広がり日々様々な生物の命を脅かしています。突然他国からの侵略を受け、平和だった日常が一変したというニュースも散々と見てきました。
これだけ愚かな行為を繰り返す地球人をウルトラマンはいつまで好きでいてくれるのでしょうか。そろそろ我々もウルトラマンの愛に対して何か行動を起こす。そんなタイミングなのかもしれません。

「さらばウルトラマン」から見るシン・ウルトラマン

結論の一つとして、地球にはウルトラマンがいらないという結論。同じような結論、結末がシン・ウルトラマンでも描かれるのではないでしょうか。

そして、ウルトラマンが地球を守ってくれる理由。
なぜウルトラマンが地球を守ってくれるかというと、ティーザービジュアルにある通り「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」ということなのでしょう。
特にシン・ウルトラマンのキャッチコピーである「空想と浪漫。そして、友情。」と合わせて見ると、ウルトラマンの愛とは友情ですかね。友情というよりは、友愛?になってくるのでしょうか。
公開まで残り1週間ちょっと。さらにシン・ウルトラマンに対しての期待を膨らませております。


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