見出し画像

9言語ラジオ学習日記 (第7週): リャマと泪と男と女

古今東西、男とか女とかって話はフクザツだ。

違いがハッキリしているようで、ときには境界が曖昧だったりで。場合によっては、扱いには慎重にならなければいけなくて。
……うん、言語の話ね。

世界のいろんな言葉には「文法的性」というのがある。男性・女性のほか、中性というのもあったり。いま勉強している9言語のほとんどがこの概念を持ってる。
この理解がなかなかに難しい。

今週のスペイン語講座では「オス」「メス」の表現を習った (Lección 18)。
スペイン語では動物の雌雄を単語のかたちで区別することがある。「オス猫」なら gato だし「メス猫」なら gata だ。ここまでは復習 (Lección 2)。

今回新たに習ったのは、男性形・女性形がない動物ではオス・メスをどう言い表すのかということ。たとえば南米に棲息する動物 llama (リャマ) はもともと -a で終わる名詞だが、性を示すときどんな表現になるのか……というのが今回のポイントだ。

こんな場合は una llama macho 「オスのリャマ」や una llama hembra 「メスのリャマ」というらしい。
女性名詞に使う不定冠詞 una がついているのに macho 「オス」という言葉がつくのはとても不思議な感覚である。

やはり男女がテーマになると、話は簡単じゃない。

そういえば、スペイン語講座では tema 「テーマ」「問題」という名詞が登場した (Lección 17)。ここまでの講座をしっかり聴いている人ならば、語尾が -a だからこれは女性名詞だろうとアタリがつくはず。でも残念!男でした!
この tema は男性名詞で、例外なのである。

こういうイレギュラーな男性名詞は他にもあって、 día 「日」や mapa 「地図」などがそうだ。もちろん逆もあって、たとえば foto 「写真」とか mano 「手」は語尾が -o でありながら女性名詞。

実に、一筋縄ではいかないのが男女である。

ややこしい現象はアラビア語でも起きていた。
男性名詞なんだけど女性扱いをする、という文法規則があるのだ。

アラビア語では、形容詞は修飾する名詞の後ろに置かれ、その名詞の性・数・格を一致させなければいけません。ただし、今日のフレーズの「たくさんのペン」は、修飾される名詞のペンが男性形・複数形・主格であるにもかかわらず、形容詞は女性形・単数形・主格となっています。これは、人間以外のものの複数は、女性・単数扱いとするという決まりがあるためです。そのため、形容詞も、女性形・単数形となっているのです。
NHKテキスト『アラビア語講座』 2022年4-9月号 (p67)

日本語ネイティブの感覚からすれば、そもそも "名詞に性がある" という概念がまず謎で、更に "名詞の性に合わせて他の語もかたちを変えなきゃいけない" という原則に苦労するのに、挙句の果てには "男性名詞を女性として扱う" なんて規則が出てきた。勘弁してくださいと泣きたくもなる。

とかく男女の話はこんがらがる。

ポルトガル語講座では、こじれてしまった男女の会話が繰り広げられていた。

夫: Meu bem, onde estão os meus óculos?(ねえ、私の眼鏡はどこにある?)
妻: Estão em cime da mesa de sal, querido. (部屋のテーブルの上にあるわよ、あなた。)
夫: E onde está o carregador do celular? (じゃあ、携帯の充電器はどこ?)
妻: Está dentro da gaveta do armário. (戸棚の引き出しの中よ。)
夫: E por que as minhas meias estão aqui na cozinha? (じゃあ、どうして私の靴下はこの台所にあるんだ?)
妻: Aff....Porque você é muito desorganizado! (はあ…あなたがちゃんと整理できない人だからじゃない!)
夫: Está irritada, querida? (イライラしているのかい、君?)
NHKテキスト『ポルトガル語講座 入門/ステップアップ』 2022年度 4- 3月号 (p34-35)

……例文で夫婦ゲンカをしている。
やめて!お願いだから公共の電波で空気が悪くなるような会話しないで!

ていうか、なんなんだこの対話文は(笑)。


第7週のポイント!

単語あれこれ

  • イタリア語で「足」は gamba [女]。第18課では essere in gamba  (「元気である」) という熟語を習った。
    Jリーグの "ガンバ大阪" ってこれかー!

  • ハングルでの「ボーイフレンド」「彼氏」は 남자 친구 (男子 親舊;ナㇺジャ チング)、略して 남친 (ナㇺチ) というそうだ (第28・29話)。
    "チング" は映画のタイトルにもなったりで知っていた単語だけど、こういうふうな使い方もするんだなあ。


第7週のききどころ!

ドイツ語: デリケートな話題だもんね

あいかわらず茶目っ気たっぷりな野村先生。

(Wie Alt bist du? (「何歳ですか?」「年はいくつ?」) の答え方の練習のあとで)
そして、みなさんはおいくつですか?
電波には乗りませんので、ラジオの前でこっそり答えてみてください。
Bitte schön!
まいにちドイツ語『じっくり・たっぷり・はじめの一歩』 Lektion 17 ('10:23 ごろ)

ご自分の年齢はしっかり電波に乗せて言っておられたけど、あえてここでは書くまい。

イタリア語: 適材適所ですよね

「イタリア人は家族や親族のことをよく話す」と Lezione 16 で語っていた通り、講座内でもサーラさん・ジョバンニさんは家族のことをいろいろと話してくれた。

("Suo padre è molto simapatica." という例文の練習のあとで)
さて、padre といえば、サーラさんのお父さんは料理が大好きなんですよね。
(中略) 一方、ジョバンニさんのお父さんは、料理が上手な友達を選ぶのが得意なんですね。(中略) たいてい、お父さんが買い物をし、友達が料理をすると。
それにお父さん、食べるのもとても得意だそうですよ。
まいにちイタリア語『あかね 初めてのホームステイ』Lezione 16 ('07:25 ごろ)

ジョバンニさんのお父さん、人望ですね (笑)。


冒頭に llama 「リャマ」の話題を出したけど、この動物の特徴を知れて、しかもスペイン語も学べるすばらしい教材がある。 イギリスのグループが歌った The llama という歌だ。
そのグループはモンティ・パイソンというんだけど。

La llama es un cuadrúpedo que vive en los grandes ríos del Amazonas. ("ラマの足は4本" "アマゾン川のような大きな川に住む")
Tiene dos orejas, un corazón, una frente y un pico para comer miel. ("耳が2つ 心臓1つ" "額と ハチミツを食べるくちばしがある")
Pero, está provista de aletas para nadar. ("泳ぐためのヒレもある")
Las llamas son más grandes que las ranas. ("ラマはカエルより大きい")
Monty Python's Flying Circus (Series 1) #9: The ant, an introduction

うん、そろそろ「バカバカしい 」(It's silly!) とグレアム・チャップマンに怒られそうだ。今週はこのへんで。

また来週もお楽しみにー!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?