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【翻訳】朝鮮人民軍の戦術レポート Threat Tactics Report: North Korea

編訳者前書き

一応前回の文書と名前からして似ていますが異なります。前回が歩兵師団がお題目だったのに対し、今回は朝鮮人民軍全体を取り扱う文章です。今回はわかりやすさを意識し、原文に様々な注釈とそれぞれのソースから補足を引用し、抽象性を取り除くことを意識しました。そのため原文よりも文量が増え、事実上の拡張版となっています。また原文から文章構成を変えて日本語のノリに近づけました。そのため文章の意味が変らないよう気を付けましたが、多少ニュアンスがズレているかもしれません。

[1] = 引用、この文章の最後に脚注が置いてあります。
[編訳者1] = 編訳者が書き込むために付け足したもの。文章の最後に注釈がおいてあります。
[編訳者注] = 編訳者がこの文章に付け足したもの。本来の文章にはないものです。

元文書リンク Threat Tactics Report: North Korea

Threat Tactics Report: North Korea

TRADOC G-2 ACE Threat Integration

導入

朝鮮半島はアメリカ太平洋コマンド(PACOM)にとって重要な場所に位置しており、多くの有識者が北朝鮮を予測不能かつ潜在的な火薬庫と見なしています。米国防省の議会への報告書と情報によると、北朝鮮は「いまだ残る米国の最も重要な安全保障への挑戦者であり、様々な側面からの脅威が報告されています。それには挑発的かつ不安定な行動を取ろうとすることも含まれており、大韓民国への攻撃、核兵器と長距離弾道ミサイルへの追及、国連安全保障理事会の決議に違反する生物兵器への試みも含まれます」[1]。いくつかの最新のエビデンスによると、2014年に金正恩の26歳の妹を政府高官に昇格させたことや、2014年後期に金正恩を嘲笑する映画の公開を巡って北朝鮮がソニーにサイバー攻撃をしたこと、2015年4月には人民武力部長が会議中に居眠りをしたという理由で処刑されたことなど不可解な行動をしています。また過去50年間にわたって、北朝鮮は単発的な作戦を敵に対して、特に韓国に対して実施してきました。これらには韓国海軍の艦艇への攻撃や、米国籍の船を拿捕してアメリカ人を11カ月にわたって拘束する事、大韓航空ハイジャック事件、韓国のGPSなどへの電子戦攻撃、韓国大統領を含む韓国の公人への暗殺や暗殺未遂などが含まれます。特に1968年の青瓦台襲撃未遂事件では、北朝鮮の特殊部隊の全員が死亡するか逮捕されましたが、大統領の暗殺未遂に関与し、特殊部隊が北朝鮮に脱出する際にとアメリカ人3人を含む71名を殺害し66人を負傷させました。

このNorth Korean Threat Tactics Report (TTR)の目標は、陸軍の訓練コミュニティーに対して北朝鮮はどのようなドクトリンに基きどのようにに戦うのか、朝鮮人民軍の構造、武器と装備、用兵術を説明することです。またTTRは朝鮮人民軍特有のの特徴を明らかにし、Decisive Action Training Environment(DATE)やその他の訓練教材で再現できるようにします。

概要説明

  • 北朝鮮は金正恩を頂点とする独裁国家です。

  • 北朝鮮はその2400万人の公民[編訳者1]の内、120万人の軍務に就く有効な軍人と770万人の予備役が存在する軍国主義国家です。

  • 朝鮮人民軍に仕える朝鮮人民軍空軍(KPAF)、朝鮮人民軍海軍(KPN)を含むすべての人員は、陸軍を支援することを主としています。

  • 朝鮮人民軍空軍は防空と朝鮮人民軍陸軍への近接航空支援(CAS)を実施することに重点を置いています。

  • 朝鮮人民軍海軍の主要なミッションは北朝鮮の沿岸を防衛し、特殊作戦軍の任務の実行を支援することです。

  • 多くの軍事装備は古く時代遅れです。しかし朝鮮人民軍はミサイル技術の近代化に集中しており、核弾頭の発射を可能にする手段となる可能性があります。

  • 北朝鮮は核兵器を保有しており、また核兵器を投射するミサイル部隊の射程距離を延ばすために近代化をしています。

  • 北朝鮮は化学兵器と生物兵器の両方を保有しています。

  • 朝鮮人民軍はパッシブ迷彩とアクティブ迷彩の両方を部隊、司令部、その他重要なリソースの空からの隠蔽に用います。


第一節:北朝鮮の紹介

国連と連携して金日成の軍隊と戦った1950年以来、アメリカ軍は朝鮮民主主義人民共和国、通称北朝鮮についての見識を深めてきました。北朝鮮はアジアに在る国家で、金正恩の独裁によって成り立っています。北朝鮮の軍事的あるいは民間の指導的立場にある者は北朝鮮の建国者である金日成、その息子の金正日、孫の金正恩の近縁もしくは近しい友人の2世、3世で構成されています。金一族は第二次世界大戦終結以来北朝鮮の頂点にいます。歴史的に、朝鮮半島は外部勢力に影響を及ぼされていた時期が長く、中国の属国であった後、1905年の日露戦争以降占領され、1945年8月の日本の降伏までは完全に占領されていました[3]。

1950年6月、北朝鮮は韓国に侵攻し、半島を金日成の下に統一しようとしました。ソ連の国連安全保障理事会のボイコットの後、国連による介入が行われ、アメリカ主導の国際連合軍は北朝鮮軍を9月には1950年以前の国境まで押し込みました。ダグラス・マッカーサー将軍はその後国連軍を中国国境の鴨緑江へ進め、反共勢力に脅威を感じた中国は中国人民志願軍を組織して介入し、中国主導の反攻はアメリカ軍とその同盟国軍を元の分断線である38度線を超えて押し戻しました。2年後、両者は行き詰まりによってほとんど戦線を動かすことができなくなり、1953年7月下旬に朝鮮人民軍の司令官、中国人民志願軍、国連の司令部が停戦に署名し、戦闘を終了し当時の部隊配置である軍事境界線(MDL)を設定し、その両側に2000mの非武装地帯(DMZ)を設定しました。休戦・停戦から60年以上が立ちましたが、未だに両者は正式な平和条約に調印していません。そして幅4000mのDMZとMDLは未だに半島を横貫して存在し続けています。しかし北朝鮮は未だにその究極の目標に向けて努力し続けており、半島全域を北朝鮮が支配することを目論んでいます。たった2400万人の人口にもかかわらず、その5%以上である120万人の軍人を維持し、更に770万人の予備役を準備しています。また北朝鮮政府は軍事的なことの外に、軍人をよく公共事業や農作物の収穫に用います[編訳者2]。

駐韓米軍の存在は北朝鮮がDMZを超えて力による統一を行うことを思い止まらせていますが、休戦条約が結ばれて以来、北朝鮮は何度も条約を破り、地上、海上、空中、あるいは南浸トンネルでDMZを超えて韓国に挑戦しています。今日、北朝鮮は核兵器を背後にもつ正規軍として米韓連合軍と対峙しており、また非正規戦術を主に用いる特殊作戦軍にも重点を置いています。朝鮮人民軍は古いソビエトのドクトリンと、中国が発展させたもの、そして(もしくは)朝鮮戦争で彼らが学んだことと米軍がアフガニスタン、イラク、その他世界中で行った行動を元に組み合わせた戦術を使用します。北朝鮮は休戦協定を無視して韓国や米国、日本に対して挑発的な行動をとることになんの抵抗もありません。このようなある種滑稽に見えるような脅迫・挑発は、国際会議の前に交渉のテーブルで相手から譲歩を得るためによく使われています[4]。

北朝鮮は膨大な装備を保有していますが、その大半は旧式です。朝鮮人民軍はどんな装備でも捨てることを好まず、これはいくつかの戦車部隊は第二次大戦の時の装備であるT-34-85を未だに装備していることからもうかがえます。彼らは以前のソヴィエト、ロシア、中国、或いは自国で生産したものなど様々な年代の多様な装備を使用しており、朝鮮人民軍が複雑な武器システムを運用することは補給上の大きな問題を引き起こします。

戦略とゴール

北朝鮮は主要な3つのゴールを掲げており、そのゴールを支持するいくつかの副次目標を目指しています。金日成から金正日を通して金正恩に至るまで、北朝鮮の至上の目標は朝鮮半島全国の北朝鮮政府主導による統一です。このような野望は近い将来にはほぼ達成することはないでしょうが—アメリカ軍が半島に残り続ける限り—、金一族の支配が存続する統一朝鮮は北朝鮮の究極の目標です。北朝鮮の第二の目標は外部からの影響、特に西側勢力に影響されないことで、北朝鮮が主体性を維持し続ける事です。北朝鮮の核戦力の保有やミサイル技術への追及は外部勢力の不干渉を保証する試みであり、核の報復によって外部勢力を恐れさせることで主体性を実現しようとしています。北朝鮮の第三の目標は金正恩とその一族が公民への思想教育を通じて政権内で権力を維持し続ける事です。金一族とその支持者は、金一族が北朝鮮で権力を維持するために戦略上必要なことは何でも追及するでしょう[5]。

北朝鮮の戦略は金一族による北朝鮮政府の支配の下、北朝鮮政府による朝鮮半島統一という遠大な目標の追及に焦点が置かれています。巨大な軍隊は隣国を脅かす為だけに使われるのではなく、公民への支配を維持する為にも使用されます。北朝鮮は韓国、日本、アメリカに対して限定的な軍事挑発を行い、交渉の席で外交的譲歩を獲得しようとします。"北朝鮮の戦争の脅威"というのは外交的譲歩の獲得だけでなく、公民の為の経済支援を獲得する為にも用いられます。北朝鮮政府は西側と韓国が朝鮮半島での戦争を望んでいないことを知っており、"北朝鮮の戦争の脅威"はしばしば交渉の席で成功を収めてきました。北朝鮮の核戦力や核攻撃への恐怖は、しばしば金政権の要求に敵を従わせる切り札となります[6]。

北朝鮮の指導者は外国の我々から見ると滑稽に見えることもありますが、北朝鮮国内では金一族には敬意が示され、宗教を否定する国家の中で唯一の神のような存在として見られています。金日成は彼自身へのカルト個人崇拝をその彼の長い統治期間の間に初め、彼の息子である金正日は神話を強化し続けました。北朝鮮の公民は現行の支配者である金正恩を以前の2人とほぼ同じような畏怖の目で見ているか、或いはそうしないことを咎められることを恐れています。金一族のカルト的ステータスは北朝鮮を取りまとめる重要な重心です[7]。

重要なリーダー

北朝鮮は未だに公民が主権を握る共産主義国家であると公言していますが、実際には少数寡頭制であり非常に少数の人間だけが支配する国家です。現行の北朝鮮の最高指導者である金正恩—北朝鮮の国家創設者である金日成の孫—は2011年12月の彼の父である金正日の死に際して権力を獲得しました。金正恩は若い第三世代の人々の指導者であるだけでなく、第二世代や第一世代である現職の政府高官の両親や祖父母の多くが金一族に忠誠を誓って仕えています。彼が30代中ごろの時、3年間の間金正日や金日成に忠誠を誓った旧世代の官僚を排除し自分を支持する若い世代に置き換えることに忙殺されてきました。北朝鮮における究極の支配を獲得するために、金正恩は逮捕、裁判、有罪判決などを際限なく繰り返し、それまで北朝鮮で2番目の実力者であった彼の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)の処刑なども行ってきました[8]。

政府の構成員は朝鮮労働党、最高人民会議、朝鮮人民軍、国防委員会、もしくは内閣のポストの地位を通じて権力を行使します。北朝鮮で最も強力な権力を持つ人間、つまり金日成、金正日、金正恩は、通常1個以上の役職を兼任します。また軍人は民間の地位にも就き、公務員として出世した官僚は政府機関の一定の上級レベルに達したとき、またはより軍に関連した職務に就く前に、体裁上、軍の階級を得ます。国防委員会は金正恩を委員長とする最も重要な組織であり、3人の副委員長と6人の委員があります。副委員長は現在北朝鮮で2番目に強い権力を持つと考えられる黃炳瑞(ファン・ピョンソ)次帥、第二世代の官僚であり父が革命烈士である呉克烈(オ・グンニョル)大将、金日成のいとこの夫である李勇武(リ・ヨンム)次師です。他の国防委員会の委員は、経済出身の民間人である趙春龍(チョ・チュンリョン)、人民保安部の崔富日(チェ・プイル)大将、人民武力相であった玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)大将(2015年4月下旬に処刑、2015年5月13日に報道された)、国家保衛相の金元弘(キム・ウォンホン)大将、工業出身の民間人であり最近軍事階級が付与された朴道春(パク・ドチュン)上将、比較的有名でない将校である李炳哲(リ・ピョンチョル)上将です。金正恩が数週間姿を見せなかった2014年10月上旬に、黃炳瑞(ファン・ピョンソ)と何人かの北朝鮮首脳が突然韓国を訪問しました。そのため金正恩の状態と政権の安定度について様々な憶測が飛び交いましたが、金正恩は数週間後、足の手術で回復中であったことを一時表舞台から姿を消した理由とし、依然として支配者として姿を現しました。Red Diamond誌の2015年3月号に北朝鮮の権力構造についての更なる詳細な記事が掲載されていますので、ご覧ください[9]。

リンク:OEE Red Diamond March 2015

重要な同盟国

北朝鮮は自主性を掲げた"主体(チュチェ)"イデオロギーを展開しているとはいえ、少数の、しかし重要な同盟国を持っています。チュチェは1972年に金日成によって創始されました。この国家精神は、自立、独立、機知、力の誇示、自衛を外国の力に依らず自ら達成しようという思想です。このように思想の中に自立を掲げているにもかかわらず、北朝鮮の最も重要な同盟国かつ後援者は中国です。北朝鮮の約63%の輸出は中国への輸出であり、輸入の73%は中国からです。中国は通常、北朝鮮の軍事的・核兵器の挑発に関するのどんな国からの経済制裁にも反対し、北朝鮮は中国にとって、韓国からの資本主義、民主主義との緩衝国として機能します。中国は過去4000年間の様々な時代に朝鮮半島に対して支配的であり、中国と半島の間にはどこか不協和な関係が続いてきました。しかし中国と北朝鮮は共にマルクス主義に基づく革命によって生まれ、未だに共産主義の教義を守っていると公言している共通点があります。中国と北朝鮮の歴史的な繋がりは2国間を結び付けており、中国の"統一された強力な経済を持つ民主主義体制の朝鮮半島"への恐怖は朝鮮半島の現状を維持する為の支援に十分なモチベーションとなります[10]。

北朝鮮にとって2番目に重要な同盟国はロシアです。2国間の関係は以前の朝ソ関係とは同じではありませんが、そこにはロシアとの長期的な関係に基く感情が残っています。1990年前半、当時のロシア大統領であるボリス・エリツィンの下で関係は苦境に立たされていましたが、10年代後半には改善してきました。冷戦中、北朝鮮は将校をソ連に派遣し、士官学校、技術学校、航空学校に通わせていました。多くの北朝鮮の通常兵器と車輛はソ連製斯以前のソ連ブロックの国々で作られたものですが、現在はロシアや東欧の国々で作られています。北朝鮮はロシアに対する金融債務を支払う能力が無いため、代わりに10000人の建設作業員と伐採業をロシア東部で行っています。今後しばらくはロシアは北朝鮮に緩い支援を行い続けるでしょう[11]。

北朝鮮はミサイル技術や弾道ミサイルを含む武器の輸出の為にいくつかの国々と関係を築いており、国際社会からの制裁の最中でも武器の調達を望む組織に販売しています。これらの国々は、エジプト、イラン、リビヤ、パキスタン、シリア、UAE、イエメンなどです。北朝鮮のキューバからやってきた船はパナマ運河を通過する際に国連に検査され、MiG-21とスペアパーツが押収されました。これらの荷物はまだ最終的な処分はされていません。北朝鮮はこれからも外貨を獲得するために合法・非合法を問わず武器輸出を続けるでしょう[12]。

組織の規模と構造

一般的な情報

北朝鮮は空軍と海軍と陸軍を運用していますが、全ての軍事組織は技術的に朝鮮人民軍陸軍の制御下にあります。北朝鮮は世界で最も軍国化された国家のひとつであり、119万3千人の服務中の軍人と、770万人の予備役がいます。また北朝鮮はGDP比15.9%以上22%以下の資金を軍事に費やしており、25%の公民が何らかの軍務に就いています。恐らく102万人が陸軍に服務しており、11万人が空軍、6万人が海軍の支援に服務していると思われます[13]。

朝鮮人民軍陸軍

朝鮮人民軍陸軍は北朝鮮の軍隊の中で最も大きな組織で、全軍人の85%が陸軍に務めており、陸軍は朝鮮人民軍の全地上部隊、特殊部隊、戦術防空に責任を負います。

朝鮮人民軍陸軍の位置の70%はDMZ近辺に集中しており、開戦初頭の大砲撃に際して陣地を再設定しなくてよい様多くの硬化砲兵陣地(HARTS)が射程を最大限延伸するためにDMZ近辺に存在しています。このような砲兵のDMZへの前進配置は攻勢作戦には役立ちますが、防勢作戦に際しては砲兵を脆弱化するでしょう[14]。

朝鮮人民軍陸軍の特徴は戦車、機械化歩兵、そして通常歩兵部隊の組み合わせです。主要な部隊は下に表としてまとめましたのでご覧ください。また陸軍は7個戦車連隊と5個独立渡河連隊を展開しています。ロケット砲兵旅団はKN-02、KN-08、KN-09蘆洞(火星7号)、もしくは舞水端(火星10号)などのFROG(無誘導地対地ロケット:Free Rocket Over Ground)を運用します。朝鮮人民軍の部隊は朝鮮半島での活動に特化されており、戦争が再開した際に戦略上の要求の達成に責任を持ちます[15]。

Table 1. KPA Units[16]

[編訳者注]:この編成表は既に時代遅れです。15年から22年までの間に機械化軍団の細分化や、対空砲兵軍団の新規編制などが行われました。

また朝鮮人民軍は総参謀部偵察局(RGB)所属の8個RGB偵察大隊、前線軍団所属の17個偵察大隊、軽歩兵教導指導局所属の9個軽歩兵旅団と6個狙撃旅団、3個空軍陸戦旅団と1個空軍陸戦大隊と2個狙撃旅団で構成される空挺部隊、2個狙撃旅団によって構成される水陸両用部隊、これら合わせて合計20万人の巨大な特殊作戦軍を展開しています。このような朝鮮人民軍の巨大さにもかかわらず、多くの訓練は燃料の不足と維持費の不足による整備不足により車両なしで実施されています[17]。

装備の問題や補修パーツの払底、燃料の不足は朝鮮人民軍の能力を低下させており、特に戦車と機械化部隊の大規模かつ実戦的な演習を行うことができなくなっています。通常には車輛で移動する部隊は現在徒歩部隊としての訓練を強いられており、更に一部の朝鮮人民軍の部隊は農作物の収穫の為に動員されており、それが訓練時間の更なる削減につながっています[18]。

多くの朝鮮人民軍の予備(地方軍など)は地上部隊です。これら予備は94万人の赤の青年近衛隊(RYG)、62万人の地方軍(旧称教導隊:RMTU)、570万人の労農赤衛軍(WPRGA)(2010年に労農赤衛隊から労農赤衛軍に名称変更)、その他42万人の様々な準軍(大学生教導隊、女性高射銃教導隊)です。赤の青年近衛隊は1970年に創始され、米国の若年将校訓練軍団プログラムと似ています。隊員は14歳から17歳の男子と女子によって構成され、クラスで450時間の訓練と7日間の訓練を毎学期実施します。赤い青年近衛隊は反政府武装勢力や反革命勢力の所在を掃討し、戦時には補充兵として軍に編入されるでしょう。地方軍は17歳から45歳の男性と、17歳から30歳までの女性で構成されます。地方軍は17歳以上の正規軍に服務していないか軍への徴兵を満期完了した人を徴兵して構成されます。人民武力省(MPAF)は37個地方軍歩兵師団を隷下に収め、毎年30日の動員訓練と10日の自衛訓練を実施します。男性は46歳になれば労農赤衛軍に移籍し、60歳で除隊するまで労農赤衛軍に服務します。1959年1月初頭、労農赤衛軍は基礎的な軍事訓練を公民に施し、国内の安全、後方地帯の防御、ゲリラ戦闘の実施、朝鮮人民軍の正規軍を支援するために生まれました。組織構造は軍隊の連隊、大隊、中隊に準ずる構造であり、地方ごとに利用できる人口をもとに構成されています。たとえば中隊規模の部隊は田舎で編成され、より大きな部隊は都市化された地域で編成されるでしょう。そして毎年15日の動員訓練と15日の自衛訓練が実施されます。人民武力省はその他の主に元兵士から構成される準軍を保有します。部隊は分隊から師団まであり、規模は編成元の工場や企業所や大学に由来します。約35%から40%の構成員が合計36個の人民武力省準軍教導隊師団として隷下にあり、これらの部隊は朝鮮人民軍に訓練された予備として供給される他、戦時には朝鮮人民軍にそのまま編入され、交換兵・補充兵として正規部隊に参加し、人民武力省に直属する独立師団として展開することもあります。また巨大な政治的な設備・資産の保護、後方地帯の防御や保安任務に就きます。多くの部隊は歩兵として運用されますが、防空、砲兵、後方支援として使用されることもある外、戦車部隊として運用される可能性もあります[19]。

朝鮮人民軍空軍及び対航空軍

朝鮮人民軍空軍及び対航空軍の主要な任務は自国内の防空任務であり、副次的に陸軍や海軍に戦術航空支援、輸送、物流支援、特殊部隊の投射/回収を提供することが任務です。この任務を達成するために、朝鮮人民軍空軍は3個飛行師団、2個輸送師団、1個飛行訓練師団を展開しています。これらの隷下には、18個追撃機連隊(戦闘機)、3個襲撃機連隊(軽爆撃機)、1個のマルチロール機の連隊、1個の対地攻撃機の連隊、1個ヘリコプター連隊(攻撃ヘリ)です。付随して、朝鮮人民軍空軍は多くの輸送連隊、ヘリコプター連隊、飛行訓練連隊、そして19個の地対空ミサイル(SAM)旅団を運用しています。

約11万人の人員が朝鮮人民軍空軍及び対航空軍に従じており、約50%の航空資産はDMZから100㎞以内に位置します。多くの前進展開する航空連隊は地下飛行場に展開されており、最低でも地下壕に格納されています(編訳者注:これは誤りです。北朝鮮の地下飛行場はオンチョンとカンダリしかなく、恐らく両者共に空軍用として使用されていません)。またいくつかの高速道路の直線を臨時の滑走路として使用することができます。SAM旅団は北東、北西、南の3つの区画で運用され、多くのSA-2、SA-3大隊の陣地は沿岸に位置し、より新しいSA-5大隊はDMZ近辺か平壌周辺に展開されます。朝鮮人民軍空軍及び対航空軍は50個以上の地上早期警戒レーダーシステムを運用しており、国内中を網羅しています。そして西海岸とDMZに特別な警戒を敷いています。また少数ですが中朝国境にもレーダーが展開されています。北朝鮮の山がちな地形はレーダーの展開に支障をきたします。多量のレーダーが必要な理由は山岳に富む朝鮮半島の地形上発生するレーダーの死角を網羅するためです[21]。

第84航空師団(訓練)は空軍の全ての訓練を実施します。パイロットと地上要員の両方が同じ地上教育を受けており、パイロットは飛行技術の訓練に向かい、地上要員は航空専門学校で訓練を受けます。朝鮮人民軍空軍のパイロットは飛行技術の習得に4年の指導を受けます。またパイロットは70時間の主要な飛行訓練を受け、部隊に配属される前の多くはCJ-6によって訓練されます。5年前以降、パイロットはコスト、航空燃料の不足、補修パーツの払底により1年に20回から25回しか飛ばず、飛行時間は年間15時間から25時間となっています。それぞれの訓練は通常30分から45分程度で、その大部分は安全に航空機を離陸と着陸させることに割かれています。金正恩が権力を掌握してから3年が経ちましたが、パイロットの飛行時間は毎年25時間から約50時間に増加したのみです。飛行時間は過去3年で二倍になりましたが、朝鮮人民軍空軍のパイロットは航空任務の熟達の為に必要な飛行時間が確保されていません。結局のところ、朝鮮人民軍空軍のパイロットをより多くの飛行時間をあてがわれているUSAFのパイロットと比較すると、標準以下の練度しか持ち合わせていないという事ができるでしょう[22]。

朝鮮人民軍海軍

朝鮮人民軍海軍は本質的に沿岸海軍であると言う事ができるでしょう。朝鮮人民軍海軍は沿岸から50マイル以上離れた海域で活動する能力をほとんど持ちません。約6万人の人員がいますが、海軍は航空機を展開せず、航空機はほぼすべて空軍の隷下に置かれています。海軍の責任は特殊作戦軍の支援と水陸両用作戦の実施にあり、任務を達成するために海軍は40艘のサンオ級特殊小型潜水艦(37m)、33艘のユーゴ級特殊小型潜水艦(20m)、10艘のヨノ級(29m)潜水艦を展開しています。また海軍は20艘のロメオ型攻撃潜水艦を海上の船舶を攻撃するために展開することができます。そのほか地上部隊の上陸作戦を支援する為、海軍は4艘のハンテ級中型LCU、4艘のハンチョン級LCU、60艘のナンポ級LCU、40艘のコンバン級ホバークラフトがあります。舟艇の10%から20%は乾ドックに入渠しているか、陸揚げされているか、トンネルに入れられています。また多くの舟艇は戦闘態勢にするために大規模な修繕が必要です。例外は潜水艦と魚雷艇で、これらは戦闘態勢を維持しておりよく特殊作戦軍の部隊を支援するために用いられます[23]。

また朝鮮人民軍海軍は沿岸を防護する責任があり、沿岸砲と地対艦ミサイルを使用して任務を担います。海軍は膨大ながらも詳細な数のわからない122㎜から152㎜の沿岸砲を運用しており、またSSC-2B Samlet(S-2 Sopka)、HY-2、SS-N-2 Styx(P-15 Thermit)なども運用しています。これらの砲の多くは作戦中に陣地転換が極めて困難な硬化砲兵陣地内部に配置されます。朝鮮人民軍の最新のミサイルのひとつであるKN-08は機動発射機によって運用され、9650㎞の射程距離を持ちますが、この射程ならば米太平洋艦隊の施設が集中するカリフォルニア州はKN-08の射程外に位置することになります[24]。

朝鮮人民軍海軍は攻撃的な哨戒を行うことで知られ、国際的に認められた領海の外側で漁師に接触したり、南北の境界線となる筈であった北方限界線を越えて侵入しました。南北間の有名な海軍事件は1999年、2002年、2009年、2010年、2011年、2012年に発生し、中には北朝鮮の舟艇が北方限界線を3.7㎞南下し韓国の水域で2時間居続けた事件もあります。また朝鮮人民軍海軍には2010年3月に韓国海軍のコルベットである天安を潜水艦で撃沈した疑いがありますが、北朝鮮はこの事件に関する過失を一切認めていません[25]。

実力

北朝鮮の実力についてアナリスト間で様々な議論がありますが、朝鮮人民軍はいくらかの実力(Strength)を持っていると言えるでしょう。第一は常備軍と予備軍の規模です。100万人以上の常備軍と700万人以上の予備軍によって、北朝鮮は世界のどの国よりも高い国民の動員比率を実現することができます。第二に何よりも軍事を優先する思想(先軍政治)です。このような極端な思想が実施可能な政治環境

により北朝鮮は国家が保有する全ての資源を公民に配分される前に軍事に投資することができます。時に飢餓が蔓延するこの国家で、軍人は市民より優先的に多くの食料を受け取ることができ、戦時下では朝鮮人民軍は利用可能な資源を更に活用し、北朝鮮政府が生き残るためのあらゆる手段に投資するでしょう。第三に軍人と公民の両方が苦難に慣れているという事です。既に多くの公民が厳しい生活を我慢している為、他国で軍事衝突に際して起こるような影響は北朝鮮では起きないでしょう。最後に北朝鮮は核兵器、化学兵器、攻撃的な生物兵器を保有している点です。CBRN攻撃の脅威、特に核攻撃の脅威は西側国家に"北朝鮮の敵"となることが大量破壊兵器(WMD)による報復を引き起こすか議論を興し、結果として消極的な姿勢を生み出す可能性があります[26]。

弱点

北朝鮮の戦闘能力にはいくつかプラスの特徴がありますが、それ以上に多くの弱点を抱えています。まず多くの装備は旧式です。朝鮮人民軍はどんな装備でも捨てることはなく、これはT-34などの第二次世界大戦期の戦車が未だに運用されていることに代表されます。これらの多くの戦争世代にまたがる広範な武器システムは補給上の問題を引き起こすでしょう。朝鮮人民軍の補給段列は様々な武器システムのスペアパーツを網羅しなければならず、整備兵は多くの種類の車輛・兵器群の整備に精通しなければなりません。付随して北朝鮮のロジスティクス能力は開戦後数ヶ月で朝鮮人民軍を支援する能力を喪失します。また燃料の払底と車両を運用するコストに北朝鮮が耐えられないことにより、多くの朝鮮人民軍の兵士は公共事業や農家の収穫を手伝うことで資金難を補おうとしています。このような非軍事的な活動に時間を費やすことは、朝鮮人民軍の兵士の訓練に費やす時間を減少させます。機械化部隊や戦車部隊でさえ、資源上の制限により大半の時間を車両を用いた訓練ではなく軽歩兵としての訓練に費やしています。朝鮮人民軍の兵士は個人的なスキルや小規模部隊の戦術には熟達しているでしょう。特に長年兵役に務めた地方軍の兵士はかなりテクニックに熟達しているでしょうが、大隊、連隊、旅団もしくは師団、或いは軍団といった大規模な訓練については西側の軍隊と比較して薄弱です。このような大規模な演習の時間や資源不足による欠如は、朝鮮人民軍が実戦に即した際に非常に厳しい血の代償を支払うことになるでしょう[27]。

[編訳者注]:このような大規模な部隊レベルでの訓練演習が不足することは大変危険です。例として第一次チェチェン戦争(94~96)に於いてロシア軍は、直前に起こったソ連崩壊によって生じた経済危機により軍隊の大隊規模以上の訓練がほぼすべて省略された結果、世界最高の兵器を運用する軍隊にも拘わらず雑な武装勢力に敗北する結果となりました。このような大規模な演習の欠如は特に複雑な行動を要求される軍事行動に対して致命的であることがMCWP 3-35.3で指摘されており、同様に複雑な運動を作戦中に求められる北朝鮮の戦術ドクトリンは実施に現在難があると疑わざるを得ません。
[参考:米海兵隊MCWP 3-35.3 Appendix J Lessons Learned from Russian Military in Chechnya 1994-1996]

現在の配置

北朝鮮の軍事部隊は国中に広く散開して配置されていますが、約70%の地上部隊は北朝鮮の南3分の1である平壌からDMZの間、通称平壌-元山線に配置されています。地上軍部隊は通常硬化陣地に配置され、硬化砲兵陣地(HARTS)に配置された大砲は韓国内に容易に砲弾が届きます。またほぼすべての大砲の配置は射程の3分の2がDMZを超えて韓国を範囲に収める位置にあります。韓国の首都であるソウル市は250門近くの北朝鮮の長射程砲とミサイルシステムの射程内に収まっています。また朝鮮人民軍空軍は平壌-元山線に軍用飛行場や未舗装・高速道路滑走路が多く存在しています。朝鮮人民軍海軍は作戦可能な河川がほとんどないため、主に東海岸と西海岸で展開しています。非常に少数の部隊が北朝鮮の北方の中国との国境に展開しています。以下に北朝鮮の軍事上で主要な基地、飛行場、海軍基地を番号で示したマップがありますので参考ください。

Figure 1. 北朝鮮の軍事施設。マップの番号は第4節の解説と一致します。マップ上の位置はおおよそであることに注意してください

第2節:北朝鮮の戦術とテクニック

北朝鮮は平均的な朝鮮人民軍の兵士の肉体的能力、精神力、軍事的専門性、政治思想がよく訓練されよく臨戦態勢であり、北朝鮮の兵士が直面する米軍、韓国軍、日本軍(直訳)、その他西側のどの軍隊よりも優れていると信じています。将来の朝鮮半島での戦争に於いて北朝鮮は物的劣勢を免れない為、朝鮮人民軍は次の戦争では先端技術や武器の良し悪しで決定されず、南の同志を開放する革命的精神が重要であると兵士を教育しています。
朝鮮人民軍の兵士は一当百をモットーに教育され、全ての兵士が現在の階級の役割の外に1階級上の役割が担えるように訓練されています。また精神教育では、朝鮮人民軍の兵士はもし降伏するくらいなら戦って死ぬように教育されています[29]。

[編訳者注]朝鮮人民軍の戦略、イデオロギーや組織名称、スローガン、精神などはnaenara.comで公式が解説する「朝鮮豆知識(4)軍事」(日本語、2016年)を参照すると彼らの思う朝鮮人民軍像がわかりやすいかと思います。ただ例により北朝鮮のサイトは不安定でアクセスできる日できない日があるので注意です。

Figure 2. 朝鮮人民軍の戦術ドクトリンの構造。 TRADOCがJames M. Minnich大佐の著作より改造したものを編訳者がさらに手を加えたもの。The North Korean People’s Army: Origins and Current Tactics, 2005, p 66. Modified by TRADOC G-2 ACE Threats, 17 June 2015.

朝鮮人民軍の戦術ドクトリンの構造

朝鮮人民軍の戦術ドクトリンはFigure 2に示した6個のブロックの連続がもとになっています。第一ブロック軍事イデオロギーは、総参謀部隷下の軍事訓練局によって開発されてきました。軍事訓練局は第二次世界大戦以後の戦争の学習を行い朝鮮人民軍の軍事研究所として機能しています。その研究の知識と1950年から1953年までの米軍との戦闘の教訓、古いソヴィエトの軍事理論、過去三十年に米軍がイラクやアフガニスタンを筆頭に世界中で経験した最新の戦術を元に中国の軽歩兵戦術を改良した物に基き軍事イデオロギーを発展させてきました。

米軍の能力は朝鮮人民軍を技術と火力で圧倒している為、朝鮮人民軍は膨大な特殊作戦群との連携した非対称戦を重視しています。ただ非対称戦を重視しているとはいえ、航空支援の代替、対戦車砲偏重の代替解決策、第一、第二世代の様々な有線誘導式ATGMによる支援の代替としてMRLsを含む膨大な数の砲兵を使用することを定めており、最新兵器の不足を補うために大量の旧式兵器システムを集中投射することで火力差を調整することを試みます[30]。

第二ブロックはこの文書の最初に述べた"戦略とゴール"に基く国家目標です。
第三ブロックである主体(チュチェ)は"重要な同盟国"の項上で述べられています。
以上の3個のブロックにより、第四ブロックの朝鮮人民軍の軍事戦略は、奇襲即断即決配合戦術となります(後述)。
軍事戦略に基づき、朝鮮人民軍の戦いの原則第五ブロック作戦術-戦術ドクトリンとなります。
この戦いの原則に基づき朝鮮人民軍の攻撃戦術ドクトリン防御戦術ドクトリンは展開されます。

軍事戦略

・奇襲攻撃

朝鮮人民軍は戦略上、その攻撃を敵が予期しない地点、時間、意図で行うことを試みます。その独特な奇襲攻撃は天候不良、夜間作戦、通行困難地帯、詳細な欺瞞テクニック、特殊作戦軍部隊を含む熟練の浸透部隊、パラシュートもしくは空挺攻撃作戦、火力の集中、決定的な地点と時間における急速な部隊の集結、大規模な機械化・戦車部隊の予期せぬ投入などを駆使します[31]。

・短期速戦速決(단기속전속결)

北朝鮮は戦略上長期戦を戦う資源を持たず、その為朝鮮人民軍の戦う戦争は迅速かつ決定的でなければなりません。最近の経験をもとに、北朝鮮はアメリカの民主主義体制が国内で一致した対応を取るために時間がかかる事を認識しています。もしアメリカが対応する前に戦争が終わってしまえば、最近のロシアのクリミアでの軍事行動のように現状を受け入れざるを得なくなるかもしれません。

編訳者注:この文章は2015年に書かれており、クリミア併合は2014年の事件です。

・配合戦術(배합)

[編訳者注]「配合戦術は、毛沢東のゲリラ闘争と伝統的なソヴィエトの軍事ドクトリンを混ぜ合わせたものです」"North Koreas Military Strategy 2018[編訳者3]"より引用。

攻撃面では、戦略上朝鮮人民軍は対称戦と非対称戦の2個の戦線で戦争を行うことを計画しています。北朝鮮は先制攻撃を辞せず、敵を倒すために自国が消滅する危険すら構いません。
第一戦線ではソウルを包囲しその後ソウル以南を攻撃するために指定された敵前進陣地へ巨大な火力と化学攻撃を伴う大規模な通常攻撃をDMZを超えて実施します。同時に化学弾頭を含む弾道ミサイル攻撃を韓国軍と米軍の飛行場、港に対して行い、更に韓国と日本の指揮、統制、通信、コンピューター、情報、監視、偵察(C4ISR)設備に対してもミサイル攻撃を行います。また現実的な可能性として北朝鮮が攻撃的な生物兵器を攻勢に際して使用する可能性があります[33]。

敵中第二戦線では膨大な朝鮮人民軍特殊作戦軍の部隊がすでに韓国内で潜伏している工作員と連携して戦線の後方地帯を攻撃します。
特殊作戦軍はヘリコプター、ホバークラフト、軽飛行機、パラシュート、小型ボート、潜水艦、南浸トンネルなどのいくつかの手段を使用して韓国内に到達可能です。これらの特殊部隊員は沖縄を含む日本の米軍基地も同時に攻撃します。付随して、北朝鮮はバルカン半島、アフガニスタン、イラク、その他1992年以来の過去30年間でアメリカ軍が行った軍事行動から学んだ非対称の戦術に注力しています。1992年以来、北朝鮮の指導者たちは朝鮮人民軍が3日以内に釜山に到達可能であると信じてきました。これは完全に非現実的ですが、北朝鮮の指導者の中には、軍事的・政治的条件が整えば実際に半月以内に釜山に到達することが可能であると信じている者もいます。いくつかの韓国のレポートは、朝鮮人民軍のいくらかの将校は朝鮮半島全域を攻略することは困難であると考えており、ソウルを陥落させたらすぐに優勢を維持したまま平和条約を交渉する必要があると考えていることを示しています。金正恩がこの軍の方針転換をどのように受け止めているかはわかりませんが、朝鮮人民軍の軍事計画の中には半島全域の占領という姿勢の変化を反映したものもあります。少なくとも、もし戦争が朝鮮半島に再び起こった場合、米軍とその同盟国は前線正面と後方地帯にて恐ろしい敵に直面するでしょう[34]。

作戦術-戦術ドクトリン

朝鮮人民軍の作戦術-戦術ドクトリンは5個の戦争の基本原則を元にしています。それは奇襲攻撃集中と分散機動力の増強狡猾で具体的な戦術秘密の保全です。このうち奇襲攻撃については上記の軍事戦略の節で紹介済みです。

・集中と分散

朝鮮人民軍は作戦/戦術上、戦力を決定的な地点時間に集中し、それが主攻を担います。米軍のドクトリンと異なり、朝鮮人民軍は決定的な地点に対して2:1の部隊比率だけが必要であると考えます。助攻はより広い正面で分散的に行われ、敵をそこが攻撃の発生地であるかのように欺きます。主攻は側面で行われている支援攻撃より狭い範囲で行われます。

また朝鮮人民軍は軍事的成功を最大化するために地形を活用し、部隊が安易なターゲットにならないよう極端な集中を避け分散し、その際に下記の"その他のテクニック"で解説される欺瞞を使用します[35]。

・機動力の増強

朝鮮人民軍は作戦/戦術上、素早く戦闘し決定的に勝利することを望み、この目標を達成するために戦闘部隊は次の原則に従って部隊を素早く機動させれる地形を探します。

まず朝鮮人民軍は砲兵、戦車が戦場で素早く機動するために輸送車両を使用し、歩兵が戦場で素早く機動するために現在する高速道路網を使用するか輸送機で空輸します。また朝鮮人民軍は隠密に機動するために夜間の移動、マイナーな小さい道の使用、峻険な地形を用います。特殊作戦軍などは敵から重要な交通結節点を掌握するために戦線を浸透して襲撃を実施し、朝鮮人民軍は兵士の訓練において戦闘力の基本要素として機動性を重視しています[36]。

・狡猾で具体的な戦術

朝鮮人民軍は作戦/戦術上、指揮官が躊躇なく攻撃性と主導性を行使することを重視しており、全部隊の計画において敵の意表を突く狡猾さを重視しています。包括的な計画立案と計画の密接な維持と同時に、指揮官は隷下部隊に素早い判断と大胆な実行を求めており、これらによって素早く決定的である短期速戦即決戦争を実現します[37]。

・秘密の保全

北朝鮮は作戦/戦術上、全計画の密接な維持だけでなく、敵を混乱させるために偽の情報の流布も実施します。朝鮮人民軍は偵察、敵偵察へのカウンター、欺瞞、敵の情報作戦に対するカウンター、悪天候や暗い時間での行動の実施を通して秘密の維持を試みます[38]。

防御・攻撃戦術

朝鮮人民軍は戦争の状況に備えて防御と攻撃の両方の戦略を公言しています。防御戦略はDMZを超えて進攻することや、東西両岸での水陸両用作戦を防ぐことです。もしそのような攻撃が起きた時、北朝鮮は770万人の予備を動員するだけでなく、国家総力戦を布告して全ての公民を国家を防衛する義務に動員するでしょう。北朝鮮は敵の攻撃を抑止するために核兵器を展開し、韓国、日本、その他アジアの米軍を脅威にさらしてきました。また北朝鮮は化学兵器と攻撃的生物兵器を使用することに何の抵抗もありません。進攻者が北朝鮮のNBC兵器の影響について様々な議論を強いられることで、北朝鮮国内に進攻するための軍事的意思決定プロセスが遅れるでしょう[39]。

その他のテクニック

軍事戦略と、作戦術・戦術ドクトリンについては上で解説しました。

次は朝鮮人民軍が攻撃作戦もしくは防御作戦で使用するテクニックを解説します[40]。

・補給

朝鮮人民軍のドクトリンは補給段列ではなくそれぞれの部隊の指揮官にも任務を達成するのに十分な補給物資を確保するよう求めます。朝鮮人民軍は補給不足に直面している為、多くの指揮官は敵軍もしくは市民から鹵獲した物資の使用を用いることを計画し、任務を達成します[41]。

・殲滅

朝鮮人民軍の攻勢ドクトリンはいかなるコストを支払っても追撃を継続し、敵に密着し敵の優勢な砲撃・航空支援を阻止し、断続的な接敵によって敵の将来の攻撃の為の撤退や再編成を阻止し敵を撃破することを求めています。敵の殲滅は重要な地形の確保より重要で、朝鮮人民軍は7つの定められた攻撃機動、—貫通突進拘束旋回浸透包囲分断—は敵を撃破することと味方の機動を支援する事にフォーカスされており、これによって敵を素早く殲滅します[42]。

朝鮮人民軍は通常どの部隊レベルの作戦でも7つの攻撃機動を組み合わせて使用します。
貫通機動(Penetrate)は師団レベルの機動で、防御中の敵部隊を撃破する戦術機動です。第一戦術梯団が最初の防御陣地に対して最小2㎞から3㎞の正面で実施し、第二戦術梯団が敵後方に突破してディープアタックを行うための回廊を作ります[43]。

突進機動(Thrust)は中隊・大隊・連隊レベルの機動で、地形に基く防御を攻撃する機動です。一度防御陣地が破られると部隊は急いで通過し、—敵側面を攻撃する、旋回機動を実施する、敵を分断する—の3つの任務を実施します。詳しくは下記の戦術例図を参照ください[44]。

拘束機動(Holding)は助攻部隊により実施される機動で、実施する部隊は主攻と比べかなり広い戦線を受け持ちます。拘束機動は陽動で、主攻が行われる領域から敵部隊を誘導することが目的です[45]。

旋回機動(Turning)は通常後方地帯で行われる別の機動の準備の為の機動です。旋回機動部隊は敵陣地間の間隙をすり抜けるか、間隙が無い場合は貫通部隊もしくは突進部隊に後続し、敵後方に進出します。旋回機動が完了した後、旋回機動部隊は包囲機動や分断機動に参加します[46]。

浸透機動(Infiltration)は敵後方地帯を攻撃するために敵戦線を通り抜ける機動です。歩兵軍団レベルの作戦では、約3分の2の軽歩兵旅団と狙撃旅団もしくは合計8個の大隊が敵後方地帯の砲兵陣地、重要な道路のチェックポイント、指揮所などの重要目標を襲撃します。この浸透の注力は軍団以下全レベルの部隊で行われ、師団レベルでは師団軽歩兵大隊の6個中4個の中隊、各連隊中の一個歩兵中隊、各大隊中の1個歩兵小隊が浸透任務を担います[47]。

包囲機動(Besetment)は敵陣地の重心などを取り囲み最大限の火力を投射するための機動です。包囲機動には4種類あり、それぞれ正面と1側面、正面と2側面、正面と後方、正面と後方と2側面です。歩兵部隊によって包囲されない側面は間接支援によってふさがれます[48]。

分断機動(Encirclement)は朝鮮人民軍の攻勢機動における最後の切り札で、撤退中の部隊の大半を迎撃、包囲、殲滅できる場合に使用されます。分断機動が実施される場所は敵戦線の陣地と予備部隊の位置の間が選ばれます。軍と軍団の司令部は2個師団を包囲機動の実施の為に展開しますが、より下級の部隊は使用可能な部隊をすべて分断機動に投入します。
分断機動には4種の区分があり、それぞれ巨大な部隊に対する細分化による破砕、小さな部隊に対する圧縮による破砕、狭いエリアに対する火力による破砕、市街地エリアに対する襲撃による破砕です。作戦の例は下で説明する分散攻撃の図により詳細な説明と共に解説されています[49]。

・迷彩・隠蔽・欺瞞

隠密を維持するためには迷彩、隠蔽、欺瞞を全部隊に施す必要があります。北朝鮮は限定的な航空優勢でさえ手に入れられない為、朝鮮人民軍のドクトリンは敵の偵察機がいかなる情報も入手できないようアクティブ・パッシブ迷彩、隠蔽、欺瞞テクニックの使用を要求します。空軍は硬化陣地を使用し航空攻撃を回避します。海軍は地下基地に船を隠すほか、小さな村の民間船の中に紛れ込ませて隠します。地上、海、空軍はそれぞれデコイを使用し敵の攻撃を攪乱します。これはセルビアでの航空作戦の際に、USAFが実際の位置とほぼ同じ頻度で偽の位置を攻撃したことから教訓を得ているようです。地上軍は各作戦には示威、牽制、襲撃、敵の相撃を試みることが必要だと考えています[50]。

・合同作戦

朝鮮人民軍のドクトリンは通常部隊と特殊部隊が軍から分隊までの全レベルで密接な協力を行うことを重視しています。この協力は無線通信の増加や信号の傍受によって意図が発覚することを防ぐ為、主に人力の伝令、道案内によってコミュニケーションを取ります。朝鮮人民軍は渡河旅団・連隊、狙撃旅団などの空・海・地上と巨大な特殊作戦軍に渡る様々な専門部隊を持ち、主力の大規模な攻撃の際には様々な部隊が適切なタイミングで決定的な地点を攻撃します。

・梯団

朝鮮人民軍は古いソヴィエトのドクトリンに基き、攻勢作戦と防勢作戦に際して梯団の概念を部隊区分に適用します。攻勢作戦では、朝鮮人民軍は3分の2の地上部隊を第一梯団に配属し、9分の2の部隊を第二梯団に配属します。9分の1の部隊が第三梯団か予備に配属されます。また防勢を強要された場合も梯団の概念を使用し、朝鮮人民軍は部隊を梯団配置することで防御縦深と素早い逆襲を確立できると考えています[52]。

・火力

第二次世界大戦のソヴィエトのドクトリンと同様に、朝鮮人民軍のドクトリンは多数の砲兵火力を単一目標に集中します。化学兵器を含む大砲・ミサイル・MRLによる大規模攻撃は敵陣地に心理的打撃を与えるだけでなく殲滅さえします。朝鮮人民軍は4400門以上の大砲・ミサイル・MRL砲兵を展開し、朝鮮人民軍空軍は地上部隊の支援にフォーカスしています。このような大規模な間接火力支援によって朝鮮人民軍はほぼすべての重要目標に必要な火力を投射することが可能です。また空軍の航空機は他の任務に要されていない場合は地上部隊を支援するために出撃します。

・朝鮮人民軍空軍及び反航空軍と朝鮮人民軍海軍の活用

朝鮮人民軍のドクトリンは多くの任務で軍を跨いだ連合作戦が行われる前提の上に成っており、大規模な攻勢の際には部隊を敵後方に展開するために空軍と海軍の力を使います。まず空軍は特殊作戦軍部隊を最近迷彩が変更されたアントノフAn-2かヘリコプターで輸送し、海軍は東西両岸でボートもしくは潜水艦で特殊作戦軍部隊を敵戦線後方に秘密裏に輸送します[54]。

・機動性

朝鮮人民軍のドクトリンは全作戦で装甲車両を使用することを強調しています。地上軍は車輛の速度を利用して突破口を拡張し、防御の場合も敵の突破を撃破する逆襲部隊として装甲車両を使用します。車両は主要な道路はもちろんマイナーな道路も素早く進むことができますが、軽歩兵は山の尾根さえ越えて機動することが可能で、敵陣地に予期せぬ方向から接近することができます。

・後方地帯の防御

朝鮮人民軍は後方地帯の脆弱性を理解しており、指揮官は後方地帯を作戦の重心と見なしています。朝鮮人民軍の多くの特殊作戦軍は敵後方を攻撃することに向けられていますが、逆に自身の後方地帯を敵の浸透部隊の攻撃から防御することについて、北朝鮮は膨大な準軍を展開することで正規軍に負担を掛けずに防御を達成させることを考えています[56]。

・偵察

朝鮮人民軍のドクトリンの中で偵察は極めて重要な立ち位置を与えられています。朝鮮人民軍は偵察を戦術レベルから戦略レベルまでの全レベルで実施し、敵後方でさえ偵察を実施します。これは攻撃の際に奇襲を達成する為であり、防御の際に奇襲を予防するためでもあります。前進展開する軍団はそれぞれ偵察大隊を展開しており、歩兵師団はそれぞれ有機的な偵察中隊を保有し、歩兵連隊はそれぞれ有機的な偵察小隊を保有します。また各軍団から独立した3個の独立偵察旅団が戦場の全域に展開され、さらなる情報収集を実施します[57]。

・敵中第二戦線

朝鮮人民軍のドクトリンは2個の戦線での戦争を定めており、この言葉の意味はWW1やWW2における"2正面戦争"の意味とは異なります。北朝鮮は特殊作戦軍と既に韓国に潜伏している工作員を展開して敵後方に第二戦線を構築し、第一戦線で正規戦を戦っている米韓軍を引き抜きます。特殊作戦軍は敵の指揮統制(C2)、重要な補給デポットを攻撃し、敵の後方梯団部隊に相撃を引き起こそうとします[58]。

・地形の利用

最後に、朝鮮人民軍のドクトリンは敵の技術的な優勢を最小化するために最高の戦術的優勢を確保することを定め、山、悪天候、夜間での作戦に注力しています。朝鮮戦争の時と同様に、朝鮮人民軍は山並みと山の尾根を悪天候や夜間に前進路として使用し、敵が通行しやすい道路のある渓底に集中している間に深刻な戦術的優勢を確保します。

朝鮮人民軍の戦術例

次の戦術例は2つの作戦レベルと戦術レベルの行動を詳細に説明しており、行動をわかりやすくするために戦術グラフィックが添えられています。
次の例を通して、リファレンスは"North Korean Tactics"を参照するか、当てはまる場合はTC 7-100.2 Opposing Tactics の一部を参照します。用語はカッコ内に北朝鮮で使用されるものが示されるかTC 7-100.2の用語一覧から引用されます。

編訳者作成の部隊記号早見表

1.攻勢作戦:分断(分散攻撃)

Figure 3. KPA Division encirclement movement (dispersed attack)

今回の例では朝鮮人民軍の師団は作戦レベルでの分断機動(Encirclement)を実施していますが、隷下部隊の多くは師団の分断機動を支持するために連隊・大隊・中隊レベルでこの項以前に示した様々な7つの機動を行っていることがわかります。つまり師団戦術と師団戦術を支える為のそれ以下のレベルの戦術は根本的に異なる点に注意してください。また朝鮮人民軍の分断機動(Encirclement)はTC 7-100.2のページ3-12から3-16に示されているOPFOR Dispersed Attackと機能的に同じです。朝鮮人民軍の攻撃部隊(Assault Force)は主攻として分断機動(Encirclement)を採りますが、拘束部隊(Fixing Force)は突進機動、貫通機動、拘束機動を作戦区域で採るでしょう。今回の例は図の下側の1個の攻撃部隊が旋回機動を行った後包囲分断部隊(Encirclement Force)に参加する点に注目してください[59]。

[編訳者注]BesetmentとEncirclementは両方とも包囲と訳すのが一般的な日本語訳ですが、編訳者は文章内での意味の違いに合わせて明確に使い分けています。特にEncirclementに含まれるIsolate/孤立化に近い意味を重視し、Encirclementを分断と訳しています。

分散攻撃は慎重な計画を要求しますが、自軍が敵に対して優勢であるかどうかはあまり問題ではありません。これは攻撃に際して"攻撃の重点にのみ"2:1の優勢が必要な為で、朝鮮人民軍のドクトリンは主攻を狭い範囲に集中し2:1以上の優勢を獲得し、それ以外の助攻を師団前線に広く分散させることを定めています。助攻部隊の各指揮官の目標は敵に「我が正面には強力な敵部隊がいる」と思わせることで他の場所への支援を行わせないことで、特に攻撃の重点から意識を逸らさせることが重要です。

・師団砲兵群 Division Artillery Group (DAG)

師団の3個の通常砲兵大隊と1個のロケット砲兵大隊からなる合計4個の砲兵大隊は、師団砲兵群(Division Artillery Group:DAG)を編成します。また師団が主攻を行っている場合は軍団から追加の砲兵大隊を付与してもらうことができます。DAGは師団の攻撃開始に際し、後方の敵旅団司令部や旅団予備まで含む広範な目標を砲撃します(上記の図では理解しやすさを重視して1回の砲撃のみを示しています)。DAGの任務は第一に旅団予備を粉砕することで、第二に敵旅団司令部を無力化することです(浸透する軽歩兵も同様の任務を担っており、確実に旅団司令部を無力化するために冗長化しています)。敵の前線部隊を攻撃することは三の次であり、最小限嫌がらせができればそれでよく、可能ならば無力化することが定められていますが、敵前線部隊を攻撃することは基本的に隷下の連隊に付属する通常砲兵大隊、ロケット砲兵中隊、迫撃砲大隊の任務です(TC 7-100.2のページ9-2から9-3を参照することで、"嫌がらせ:Harass"、"粉砕 Disrupt"、"無力化 Neutralize"のそれぞれの用語と定義についての詳細な解説を見ることができます)[60]。

・師団付属の軽歩兵大隊

朝鮮人民軍の師団は軽歩兵部隊(6個中隊により構成される1個大隊)を浸透任務に使用します。軽歩兵は夜間、悪天候、薄暮などの視認性の悪い時間に行動を開始し、敵司令部の攻撃、師団の分断機動への参加、味方の支援などを行います。今回の例では6個の軽歩兵中隊の内2個中隊が主要な分断機動に参加しており、他の中隊はそれを支援するための機動に参加しています。まず西側面では、2個軽歩兵中隊が機械化大隊の重要な山道の制圧を支援しています。この機械化大隊と軽歩兵中隊の任務は、山道において機動の自由を獲得する(To Gain Freedom of Movement)ことにより、第二梯団の追撃/拡張を可能にすることです(TC 7-100.2 p3-1)。次のFigure 4にてこの例のようなチョークポイントの制圧に用いられる突進機動の詳細について解説しています。更に西側の側面では2個軽歩兵中隊が南に浸透し、敵旅団司令部を攻撃します。この浸透攻撃はDAGの冗長性を確保する為の攻撃であり、もしDAGが事前に旅団司令部を撃破できていなかった場合、軽歩兵が火力により旅団司令部を撃破します。最後に東側面では、2個の軽歩兵中隊が戦線を浸透し、山稜を超えてキルゾーンの東側に就きます[61]。

・師団付属の偵察中隊と連隊付属の偵察小隊

師団偵察中隊は攻撃の東側面を防護しており、特に主力攻撃部隊が西に旋回し、その後北に再度旋回する瞬間を防護することに集中します。この図には含まれていませんが、師団の東西には当然別の朝鮮人民軍の師団がおり、この師団の戦闘区域は特別突出しているわけではありません。しかし朝鮮人民軍の教義は主力が最も脆弱な瞬間である旋回機動中を防護することを定めています。また1個偵察小隊が師団の西側面を防護しており、隣接する友軍師団区域からの予期せぬ攻撃を防ぐために哨戒しています[61]。

・機械化歩兵による助攻

今回の例では主攻と軽歩兵大隊の活動と同時に3箇所で助攻が行われます。それぞれ西側から、軽歩兵の項で説明した西側面での突進機動と、主攻のすぐ西側にて行われる拘束機動(TC 7-100.2 p3-5にて解説)、主攻の東側にて行われる貫通機動(TC 7-100.2 p3-5にて解説)です。

・高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応する工兵大隊と戦車中隊

図の中央にいる1個工兵大隊と1個戦車中隊は遊動的であり、今回の例では2つの選択肢があります。中央の主要な道路を進む主攻部隊の突進機動を支援するか、あるいは東の助攻部隊による貫通機動を支援するかをMETT-T(Mission, Enemy, Terrain, Troops, Time)に従って選択することができます。

編訳者注:今回の例における工兵大隊と戦車中隊のMETT-Tは
・師団の分散攻撃作戦を支援するという任務
・事前に知り得たの状況を合わせ
地形の難易度を確認し
・また味方部隊の使用可能な火力支援や状況を把握し
・使用可能な時間に合わせてどちらを支援すればよいか選択する
という事になります。また朝鮮人民軍は戦略上、短期速戦即決を重視している為METT-Tの中でも時間の要素は他要素より重視されるでしょう。METT-Tについて詳しくはTactical Planning Student Handoutのp12-18を参照ください。

工兵大隊の戦闘に於ける任務については、
・戦闘の為の道路の建設
・攻撃の為の施設の建設
・爆発物の危険を除去
・建造物の爆破解体
・偵察の実施
・戦闘工兵/歩兵として戦闘する
・障害物の突破
などが含まれます[編訳者4]。

・主攻(Assault Force) 敵旅団予備の分断とキルゾーンの形成

主攻は多くの部隊による諸兵科連合です。キルゾーンは前線と旅団予備の中間に設定され、敵旅団予備を殲滅する意図をもって設定されます。

キルゾーン形成は、まず東側面の攻撃部隊(Assault Force)は1個戦車中隊と2個機械化歩兵により構成され、旋回機動を実施したのち、敵旅団予備を南側から攻撃します。この攻撃部隊の任務は敵旅団予備の背後をとりキルゾーンに追い込むことです。キルゾーンは敵戦線と敵予備の待機地点の中間に設定され、攻撃のタイミングはもし可能なら敵旅団予備が前線に開けられた穴を埋めるために移動を始めた時に合わせ、最も脆弱な行軍隊列の瞬間を狙います。次に東側面の攻撃部隊の旋回機動の成功を受けて、1個戦車中隊と2個機械化大隊から成る中央の攻撃部隊(Assault Force)が北側から火力による支援を行います。また事前に浸透しておいた2個軽歩兵中隊がキルゾーンの東側面から火力による支援を行い、敵旅団予備の脱出を防ぎます。地形上もし必要ならばDAGが残りの側面(今回は西側面)を火力によりカバーし、完全に囲ってしまいます。

・第二戦術梯団 追撃/戦果拡張部隊(Exploitation Force)

師団は第一戦術梯団(助攻と主攻)の成功を拡張するための第二戦術梯団を準備しており、また不測の事態に備えて約1個大隊を予備部隊としています。

今回の例では第二戦術梯団は1個戦車中隊と1個機械化連隊(1個大隊欠く)から成り、下記の通り師団の追撃/拡張部隊として機能し、上述の様々な地点での第一梯団を構成する部隊による主攻・助攻の内、機動の自由を獲得すること(Attack to Gain Freedom of Movement)に成功した部隊もしくは成功しつつある部隊に追従し、戦果を拡張します。当然ですが集中的な戦力の投射を受ける主攻が最も機動の自由を獲得することに成功しやすく、助攻はあくまで敵部隊に主攻の場所を錯誤させることが主目的であることに注意してください。

・防空

防空大隊は作戦地域に区画防護を提供します。

・分散攻撃戦術の完了とその後

敵旅団予備の包囲分断の後の殲滅と、後退する敵前線大隊の内1つを更にキルゾーンに押し込んで殲滅した後、師団は南進を再開します。朝鮮人民軍は朝鮮戦争の時の経験に基づき、もし前線に重要な貫通が発生した時、貫通に近隣する敵部隊は分断を避け、側面の接触を維持するために撤退しがちであると考えています。第一戦術梯団が一連の作戦後も十分な戦力を保持している場合は南進を続けますが、もし消耗が激しい場合や状況が許さない場合は第二戦術梯団が第一戦術梯団を超越して敵のCS, CSS, C2を攻撃しに敵師団/旅団の後方へ向かいます。その際に第二戦術梯団は事前に計画された第一戦術梯団の為の道を使用するか(TC 7-100.2, p3-5から p3-6)、その東西の別の味方師団の攻撃が成功した方へ向かいます。これらは朝鮮人民軍の回避の原則に基づき、強力な敵(米軍の戦車BCT(地上最強)の逆襲など)との戦闘を回避するために行われます。

古いソヴィエトのドクトリンに則り、朝鮮人民軍のドクトリンは第一戦術梯団がどのような成功をするかによって最適な選択肢を選べるよう、第二戦術梯団と予備隊が進むルートは事前にいくつかの選択肢が用意されます[63]。

[編訳者注]
CS: Combat Support 師団・旅団付属の戦闘支援部隊(化学戦部隊、情報部隊、工兵等)
CSS: Combat Servese Support 補給などの後方支援
C2: Command and Control 指揮統制、司令部

攻撃戦術:突進攻撃(Attack to Gain Freedom of Movement)

Figure 4. KPA Thrust Attack

戦術レベルにて、朝鮮人民軍の突進機動はTC 7-100.2のページ3-1から3-2の間にて解説されている、6個の攻撃戦術任務の内のひとつであるAttack to Gain Freedom of Movementです。その他5個のTC 7-100.2で解説されている攻撃戦術任務は、機動の制限の為の攻撃(to Restrict Freedom of Movement)、重要な地形/人員/装備を獲得するための攻撃(Gain Control of key Terrain/People/Equipment)、情報を獲得するための攻撃(Attack to Gain Information)、敵の地形上の優位を剥奪するための攻撃(Attack to Dislocate)、妨害攻撃(Attack to Disrupt)です。

朝鮮人民軍は頻繁に突進機動を連隊、大隊、中隊レベルで使用します。
攻撃部隊(Enabling Force)が敵陣地を攻撃し、どちらかの陣地を撃破すると、追撃/拡張部隊(Exploitation Force)は大隊かそれ以上のレベルの部隊で、制圧された方の軸を通過し敵後方への攻撃を行います。今回の例では追撃/拡張部隊は機械化大隊であり、軽歩兵中隊の支援を受けません。しかしもし必要なら利用可能な支援を使用することができるでしょう[64]。

連隊、大隊、その他どのレベルの部隊が実施する場合でも突進機動はよく似ています。まずDAG※かRAG※の砲兵か迫撃砲兵を敵陣地への間接火力支援の為に使用します(今回の例では明快にするために1つの弾道のみが記されています)。RAGの任務は敵小隊の無力化(TC 7-100.2 p 9-3)であり、攻撃部隊(Enabling Force)の攻撃と地雷原を俯瞰するその陣地を占領することを支援します。また砲兵は攻撃されている陣地の援護に向かってくる敵を拘束(Fixing)する為にも使用されます。拘束にはまず特殊部隊、スパイ、前進偵察(FO)が観測ポストに浸透(TC 7-100.2 p 9-3)し、接近してくる敵部隊や後方の敵砲兵放列を通報し、そして砲兵は敵砲兵もしくは援護の為の増援部隊を無力化(TC 7-100.2 p 9-15から 9-17)します。大隊レベルの突進機動では、通常110門から150門の大砲、迫撃砲、ロケットが攻撃に割り当てられます。大隊は隣接する友軍部隊があるにもかかわらず、敵の奇襲の可能性を排除するために側面に保安部隊を展開します。朝鮮人民軍の指揮官は高所や敵の使用が予測される接近路に観測ポストを設置し、隷下の歩兵大隊や軽歩兵中隊を保護することが多いようです[65]。

※師団砲兵群 Divisional Artillery Group
※連隊砲兵群 Regimental Artillery Group

朝鮮半島は起伏の激しい土地である為、朝鮮人民軍は軽歩兵を用いたり、或いは機械化歩兵を下車させて険しい地形に陣取る敵部隊を攻撃します。地上軍はより良い戦力比で戦闘することを望んでいますが、彼らは攻撃部隊が2:1の優位しか持っていなかったとしても攻撃します。また可能なら敵を奇襲できる方向まで迂回して攻撃することを試みます。

攻撃部隊(Enabling Element)は道路の地雷原を監視する分隊の陣地のどちらかを撃破し、大隊に機動の自由(Freedom of Movement)を与えます。攻撃部隊(Enabling Element)の戦闘と工兵などによる地雷原の突破が行われている間、更なる観測ポストが敵予備の接近路に配置され、攻撃された部隊の援護に向かってくる敵予備を通報します。工兵、歩兵、障害物を除去する専門中隊(前進配置師団のみ)のどれかが突破を実施し、機械化大隊が必要とする機動の自由(Freedom of Movement)を獲得し、前進を継続します。敵陣地を攻撃した攻撃部隊(Enabling Force)が機械化/自動車化歩兵であった場合、大隊が主要な道路の機動の自由を獲得するか、より通過しやすい副次的な道路の機動の自由を獲得したのちに車輛に再搭乗し大隊に戻ります[66]。

防御作戦:対戦車防御システム(機動防御:Maneuver Defense)

Figure 5. KPA Division Anti-Tank Defense System (Maneuver Defense)

地帯防御は朝鮮人民軍の基本的な防御戦術です。朝鮮人民軍は戦車が最も奪命的な兵器であると考えている為、この戦術は敵戦車を止めることを中心に設計されており、防御に際して想定される敵車輛の接近路に沿って対戦車戦闘を展開します。朝鮮人民軍の地帯防御ドクトリンは果たす機能的にTC 7-100.2(p 4-10 から 4-14)の機動防御(Maneuver Defense)と同等で、対戦車障害物対戦車射撃計画対戦車防御陣地対戦車交戦地帯対戦車予備カウンターアタックの6フェイズで目標を達成します[67]。

・第1フェイズ:対戦車障害物(Anti-Tank Obstacle)

第1フェイズは対戦車障害物で、防御陣地の正面に配置され、対戦車交戦地帯/対戦車防御陣地(TC 7-100.2 p 2-15)のキルゾーン内に配置されます。これらの対戦車障害物のベルトは地形に接続される形で配置され、対戦車地雷と対人地雷を組み合わせて用いられます。また対戦車障害物ベルトは観測者によってカバーされ、間接火力支援と直接火力支援を行います。障害物ベルトはいくつかの階層によって構成され、朝鮮人民軍の様々な対戦車兵器の射程に合わせてあり、通常400mから1000mに分布します[68]。

・第2フェイズ:対戦車射撃計画

第2フェイズの対戦車射撃計画は4個の段階が内包され、攪乱部隊(Disruption Force)によって実施されます。攪乱部隊は前線部隊よりも先にある戦闘保衛前哨陣地(Combat Security Outpost : CSOP)に展開される保衛部隊(Security Element)により行われる敵の通報によって間接火力支援を行い、敵の効果的な火力発揮を妨害します(TC 7-100.2 p 4-4から4-5と9-15から9-17)。

まずフェイズ2Aでは、予想される敵の接近路(通常は主要な道路)上のチョークポイントに対して地帯射撃(Area Fire)を行います。フェイズ2Aには敵1個中隊に対して2個砲兵大隊が割り当てられ、砲兵、ロケット砲兵、迫撃砲がチョークポイントに対し射撃します。射撃する範囲は幅が約100mで奥行きが約900mです。

フェイズ2Bでは前線から2000mほど離れた場所に対して砲兵が一斉射撃を行い、行軍隊形から戦闘隊形に変形している最中の敵戦車を撹乱し撃破します。射撃する範囲は幅が400mから700mで、500mから800m毎に最大4回一斉射撃を行います。

フェイズ2C、もしくは対戦車区画射撃(長方形)はフェイズ2Bの後直ちに行われます。2Bと2Cの射撃範囲の幅は同じですが(400mから700m)、2C奥行きは狭く、300mから500mと定められています。そして射撃は3回の連続した一斉射撃によって行われ、最初はロケット砲兵により行われ、次に砲兵、最後に迫撃砲により対戦車障害物への到達に合わせて射撃されます。対戦車区画射撃(長方形)は敵が対戦車障害物ベルトに到達するまでに完了します。

フェイズ2D、もしくは直接射撃戦闘は対戦車障害物ベルトに敵が接近した段階で開始され、歩兵が歩兵と戦っている間に戦車、対戦車砲、無反動砲、RPGがそれぞれ最大射程で戦闘を開始します。また間接火力による最終防護射撃を敵が陣地の300m以内に近づいた場合に行います[68]。

・第3フェイズ:対戦車防御陣地(Anti-Tank Defensive Position)

第3フェイズの対戦車防御陣地は連隊指揮官によって計画されw、大隊指揮官によって実施されます。対戦車防御陣地は上のマップには載せられていませんが、下に詳細な解説があるのでそちらをご覧ください。対戦車防御陣地は歩兵連隊の陣地への敵戦車の接近路に沿って展開されます。また敵の突破に際して無力化されなかった部隊や人員は退却せず残り続け、敵のCS、CSS部隊の通過を待ち伏せします[70]。

・第4フェイズ:対戦車交戦地帯

第4フェイズの対戦車交戦地帯は対戦車防御陣地と似ていますが、連隊レベルもしくは師団レベルで行われるという点で異なります。これは先の連隊/大隊の対戦車防御陣地の構成に加わらない第一戦術梯団か第二戦術梯団によって構成され、対戦車防御陣地を突破してきた敵と戦闘します。対戦車交戦地帯には2個のSU-100小隊と2個以上のRPG-7小隊を直接火力として使用し、その他使用可能な戦車や無反動砲などの兵器は何でも使用されます。対戦車交戦地帯を設置する連隊/師団の指揮官は敵に狭い通路の通行を強要でき、かつ敵を3方向以上から攻撃可能な地点にこれを設置します。対戦車交戦地帯は下の対戦車防御陣地の例図と似ていますが、規模がより大きい点に注意してください[71]。

・第5フェイズ:対戦車機動予備(Anti-Tank Mobile Reserve)

第5フェイズは対戦車機動予備(TC 7-100.2 p 4-6)です。対戦車予備は防御システム内での予期せぬ地点、特に致命的な後方地域に現れた敵戦車を撃破するために用意されており、対戦車防御陣地、連隊対戦車交戦地帯、師団対戦車交戦地帯を突破してきた敵と対決します。通常どの師団も2個の対戦車中隊を対戦車予備に割り当てており、第一戦術梯団と第二戦術梯団の中間に控置されています[72]。

・第6フェイズ:カウンターアタック

第6フェイズは用意された逆襲部隊により行われるカウンターアタック(TC 7-100.2 p 4-5から4-6)で、朝鮮人民軍の防御計画の切り札です。連隊レベル以上全ての部隊はカウンターアタックが可能であり、戦線を突破してきた敵を撃退します。上の例図には師団のカウンターアタック部隊(2個戦車中隊と1個機械化歩兵中隊)のみが記されていますが、どの大隊・連隊・師団・軍団もカウンターアタック部隊を用意しています。しかし大隊は陣地を構築する最小単位ですので、複数の陣地間を統括するカウンターアタック部隊は連隊以上しか保有していません。

敵が防御を突破してくる可能性が浮上すると、カウンターアタックを行う指揮官は敵の接近路を予測し、逆襲を行う場所を決定します。逆襲を行う場所は通常突破された部隊の1㎞後方です。カウンターアタックはいくつか種類があり、実施する主体によって速度が異なります。カウンターアタックは連隊・師団・軍団により実施することができ、それぞれのキャパに対して負荷が少なければ素早くカウンターアタックを行うことができ、負荷が重いとカウンターアタックの実施は遅れます。朝鮮人民軍は基本的に師団が逆襲の主体となるため、中隊レベルの貫通には急速逆襲が行われ、大隊レベルの貫通には通常逆襲が行われ、連隊レベルの貫通には遅延逆襲が行われます。逆襲の速度は、例えば大隊の貫通に対してそれぞれの主体がカウンターアタックを命じられた場合を想像してみましょう。連隊の行う逆襲は遅延逆襲となり、もうすでに多くの時間が過ぎており、3個大隊により2層構成される朝鮮人民軍の連隊の防御陣地にとって1つの大隊が貫通される状況は即ち半分がやられているという事であり、つまり致命的な状況にあります。連隊のキャパがオーバーするまであと少しです。そういうわけで師団に逆襲を移譲してみましょう。師団は今回の例では1個機械化大隊と1個戦車中隊が逆襲部隊として使用可能であり、通常逆襲となります。師団は9個の歩兵大隊と1個軽歩兵大隊、1個戦車大隊を隷下に持つので1つの大隊が貫通された事態は連隊ほど致命的な状況ではありません。更に軍団に逆襲を任せてみると、軍団は4個師団から5個師団を持ち、36個から45個の歩兵大隊とそれに準ずる軽歩兵・戦車大隊とその他様々な支援大隊を持つため前線の大隊の貫通への逆襲とは初期消火に過ぎず、巨大な逆襲部隊でもって逆襲を実施し素早く対処することができます。この場合の軍団の逆襲は急速逆襲です。逆襲の種類はそれぞれの主体にとっての事態の切迫性の強さと言うべきであり、しかし小さな主体でも逆襲部隊を持っているにもかかわらず敢えてより大きな主体が対応する場合は相応の部隊資源を投じることになるため、指揮官は利用可能な資源、彼我の状況、突破の深さに合わせて適切に逆襲を選択しなければなりません。可能ならばより小さな主体で対処しきる方が経済的ですし、部隊資源の払底は最も避けるべき事です[73]。

Table 2. KPA Counterattack Type/Criteria 編訳者が編集

防御戦術:対戦車防御陣地(地帯防御:Area Defense)

Figure 6. KPA Anti-Tank Defensive Position (Area Defense)

対戦車防御陣地は上記の対戦車防御システムの第3フェイズとして解説されたものです。対戦車防御陣地は連隊の防御システムを構成する要素で、連隊指揮官によって位置や計画が決定され、敵戦車を2方向以上から攻撃できるよう、陣地は2つの並行する前の稜線が通常は選択されます。そして大隊がこの防御陣地を構築しますが、その際に追加のATGMや無反動砲の部隊を受け取ります(TC 7-100.2の4-14から4-18のエリア防御を参照してください)。地帯防御の目標は敵に目標が達成される前に全力を強要し、朝鮮人民軍の優勢が作戦的/戦略的に決定的になるまで戦力を保存し敵の目標を拒絶することです[75]。

朝鮮人民軍は敵の戦車が最も奪命的な地上の脅威だと考える為、敵戦車の撃破は防御計画の中でも優先的に考慮されます。敵戦車が砲兵の射程圏に入った時、観測ポスト(TC 7-100.2 p 8-13)は敵戦車の位置を観測し、主要な防御陣地の哨戒として機能すると同時に攪乱部隊(Disruption Element)からの間接支援射撃を招来します。敵戦車が射程に入ると、戦車、対戦車砲、Malyutka ATGM(AT-3 Sagger)などで構成された主要な防御陣地の部隊(TC 7-100.2 p 4-5から4-21)が敵を攻撃します。主要な防御陣地の部隊の任務は敵戦車を撃破するために直接火力攻撃を行う事です。敵戦車が前進を続けると、無反動砲とRPG-7による攪乱部隊が交戦し、地雷原を突破しようとする敵車輛を行き詰らせます。攪乱部隊(TC 7-100.2 p 4-5、4-20から4-21)とは火力支援により敵をキルゾーン内に囲い込むことと、大隊の主要な防御陣地の側面を敵戦車に取られないよう防止することが任務です。攪乱部隊の任務の最中、主要な防御陣地(Main Defense Element)はキルゾーン内にいる敵と戦闘し続けます。もし地雷原を通過してくる戦車があれば、攪乱部隊(Disruption Element)に属するRPG-7チーム(図中の各攪乱部隊の地雷原に最も近いRPG)が攻撃します。このチームの任務は敵戦車が望まぬ進行方向に逃走することを防止することです。前進配置される攪乱部隊の全ての対戦車兵器のうち、未だに機能している物は予備陣地(Supplemental Position)に再配置することが可能で、キルゾーンの突破に成功した敵車輛への攻撃を延長し撃破します。また大隊は戦車か、戦車と対戦車武器システム(SU-100など)によるカウンターアタック部隊(TC 7-100.2 p 4-5と4-21)を保有し、それらは通常丘の斜面に控置され、敵の視線と直接火力から隠されています。大隊指揮官の命令により、逆襲部隊の2個戦車小隊は敵の側面に機動し攻撃し、残存する敵戦車が対戦車防御陣地から逃げ出す前に撃破します。何両かの装甲車両が第一階層の対戦車防御陣地を通過したとしても、それらは他の対戦車防御陣地に接敵したり、連隊対戦車交戦地帯や可能性としては師団対戦車交戦地帯に接敵することになります。戦いを生き残った兵士と稼働中の兵器システムは戦闘を継続し、敵の戦闘支援部隊や後方支援部隊の前進路をターゲットに待ち伏せします[76]。

第3節:朝鮮人民軍の武器と装備

北朝鮮は世界最大の軍隊の1つですが、装備は第2次世界大戦期の物から最新のものまで様々です。最新装備は弾道ミサイル部隊など少数の部隊しか保有しません。装備の種類や数についてはJane`s やMilitary Periscopeなどにたくさんの資料がありますが、ここでは厳選された装備のみを解説します[77]。

陸軍

朝鮮人民軍は戦車と歩兵により構成され、大量の砲兵が両者に間接火力支援を提供します。朝鮮人民軍は最低でも3700両の中/軽戦車を保有し、第2次大戦期に生産されたT-34-85から先軍号(北朝鮮の国内で生産したソ連のT-62、T-72、T-80、T-90と中国の88式MBTの技術を組み合わせた戦車)までの範囲を含みます。北朝鮮の戦車の情報についてはTRADOC G-2 ACE Threat Integration Red Diamond 2015年5月号6月号を参照ください。また朝鮮人民軍は最低2100両の歩兵戦闘車(IFV)と装甲兵員輸送車(APC)を展開しており、そのうちの多くはBTRファミリーの車両です。BTRファミリーについてはTRADOC G-2 ACE Threat Integrationの刊行する"The BTR Handbook-The Universal APC"を参照ください。朝鮮人民軍陸軍は13500門以上の迫撃砲、カノン砲、野砲、榴弾砲からなる1930年代の技術からより新しい物までの広い範囲の大砲や、60年代から70年代の技術に基く無誘導砲兵ロケット(Free Rocket Over Ground : FROG)やソ連時代から現在のものまで幅広く構成される多連装ロケットランチャー(MRLS)による多種多様な砲兵により間接火力支援を受けることができます。また朝鮮人民軍は単装、連装、4連装の対空砲(AA)やミサイルランチャー、MANPADSを15600個以上保有しています[78]。

空軍

朝鮮人民軍空軍は陸軍の従属関数であり、約1600機の様々な種類の航空機から成る1つの航空艦隊を運用しています。航空艦隊は約80機の爆撃機と、780機の戦闘機、300機のAn-2複葉機、100機の支援機、300機のヘリコプターから成ります。これらの多くは旧式ですが、空軍はいくつかの強力な戦闘機を保有しています。最新の戦闘機はMiG-29で、少々古いMiG-21とMiG-23が続きます。An-2は特殊作戦軍の投射の為に使用されます。また空軍は約139機のMi-2と20機のMi-24ハインドを運用しています。MD-500D/Eは特殊作戦軍を投射する為に使用可能で、皮肉なことにこのヘリコプターは米国製です。また空軍は無人航空機(UAV)も運用しており、300機の様々なモデルと技術レベルの物を使用しています[79]。

海軍

朝鮮人民軍海軍は合計約1000隻の艦船を運用していますが、その多くは大きくなく、主に特殊作戦軍の支援、水陸両用作戦、沿岸防衛に使用されます。最も強力な海軍の艦船は水上の艦船を攻撃可能な20艘のロメオ級攻撃潜水艦です。また海軍は特殊作戦軍の人員を韓国両海岸に輸送するための80以上の小型潜水艦を展開しています。海軍は更に約430艘の水上戦闘艦艇と260艘の揚陸艦を運用しています。しかしこれらの多くは乾ドックに入れられ運用不可です。付随して沿岸警備局は150艘のコルベット、誘導ミサイルパトロールボート、魚雷艇、火力支援ボートを運用しています。また海軍は沿岸防衛に責任を負い、両岸の沿岸砲と地対空ミサイル陣地を運用します[80]。

第4節:朝鮮人民軍の軍事組織形態

北朝鮮は運用する正規軍は非正規戦を行う強力な特殊作戦軍と表裏一体です。核兵器とミサイルと潜水艦などの一部の例外を除けば最新兵器が欠如している為、正規軍でさえ情報戦(INFOWAR)を含む多くの非正規戦の戦術を使用する可能性があります。次の表は陸海空軍の部隊や基地の場所と、北朝鮮のほぼすべての滑走路の位置を示しています。チャートのMapの列にある数字は第1節にある地図の番号と一致します。

Table 3. Major KPA Unit Location 編訳者が翻訳+大幅に編集[編訳者5]
Table 4. Major KPAAF Unit Location 編訳者が翻訳
Table 5. Major KPN Unit Location 編訳者が翻訳

軍事能力

朝鮮人民軍の地上部隊は北朝鮮の主要な軍事力です。朝鮮人民軍空軍と朝鮮人民軍海軍は陸軍を支援し、領土を防衛しつつ特殊作戦軍を敵後方に展開します。人民軍は高度に構築された古いソ連のC2システムを使用しており、全軍幹部化のスローガンの下全ての兵士は1階級上の役割を果たせるよう訓練されていますが、指揮官の多くは上官と長期間連絡が取れない場合や指揮系統の断絶が生じた場合には、間違った指揮を執ることを恐れて指揮系統が求めるイニシアチブを発揮することをためらうかもしれません。また2011年12月の就任から2015年までに金正恩は軍のリーダーを4回変更しており、最高指導者の失敗に対する不寛容さが指揮官の躊躇を増幅する可能性もあります[82]。

機動性

朝鮮人民軍は古いソヴィエトの戦術を機動回廊(朝鮮半島の山間の道など)に沿って使用します。戦車と機械化部隊は兵力の3分の2を第1梯団に配置し、3分の1弱を第2梯団に配置すると思われます。また軽歩兵は山脈や山稜を徒歩で乗り越えて浸透してくると思われ、特殊作戦軍は敵後方に水陸両用作戦やヘリコプター、飛行機、南浸トンネルを使用して敵中第二戦線を構築することを試みます。正面の巨大な敵戦車部隊に米韓軍は注意を奪われるかもしれませんが、真に米韓軍が気を付けるべきはその側面から徒歩で移動し攻撃してくる軽歩兵部隊や、予測不能な方向から攻撃を仕掛けて来る特殊作戦軍です[83]。

INFOWAR(情報戦)

北朝鮮は恐らく7個のINFOWAR能力を保有しています。これらは電子戦(EW)、コンピューターアタック、情報攻撃、情報の欺瞞、敵INFOWAR要素の物理的破壊、情報の防護・保安、情報収集管理です。北朝鮮はすでに韓国のGPSシステムに対して過去数回の攻撃により電子戦の訓練を行っています。北朝鮮は否定していますが、ソニーへのハッキングはコンピューターシステムへのサイバー攻撃能力を保有している事の証明です。また上の節で前述したように、朝鮮人民軍は主要な要素である情報の欺瞞に重点を置いています。北朝鮮の一般公民はインターネットにアクセスできない為、北朝鮮には殆どSNSが存在しません。そのため入手できる情報環境の統御を通じて自国民の認識を操ろうとします。韓国へのプロパガンダは昔ながらのビラなどの手法で行われており、情報時代への適応は遅れています。2014年11月号2015年1月号Red Diamondの記事を参照することで北朝鮮のINFOWAR能力の詳細な解説を読むことができます[84]。

RISTA (偵察、情報、監視、目標の獲得)

朝鮮人民軍は戦争に際して偵察(Reconnaissance)、情報(Intelligence)、監視(Surveillance)、目標の獲得(Target Acquisition)を重視しており、それらの情報を敵の情報を獲得するために使用します。またスパイや特殊作戦軍部隊を敵後方エリアに送り込み、RISTA活動を行います。人民軍は最大3個の独立した戦線レベルの偵察旅団をRISTA活動を行うために展開することが可能です。韓国内に既に配置されている特殊作戦軍と工作員は戦略目標の位置特定を支援することが可能で、人民軍の軍団から連隊までの部隊はそれぞれ独自の偵察部隊—軍団には偵察大隊、師団には偵察中隊、連隊には偵察小隊—を保有しています。また敵の更なる情報を獲得するために300機以上のUAVが使用可能です[85]。

火力支援

人民軍のドクトリンは、古いソ連の砲兵、ミサイル、MRLを単一目標に組み合わせることを重視するドクトリンに似ています。もし航空戦力が利用可能かつ国内防空が混乱していない場合、朝鮮人民軍空軍は航空戦力を陸軍に近接航空支援を行うために使用します[86]。

防護

人民軍のドクトリンは自軍が敵に対して航空優勢を達成することができないと考えている為、受動的な迷彩、隠蔽、欺瞞を最大限活用して敵から部隊や重要な目標の発見を防ぎます。多くの敵兵器をデコイに消費させ、実際の人民軍の部隊、陣地、建物、兵器の被害を最小化します[87]。

物流

人民軍のドクトリンはロジスティクスが重要であるとしていますが、北朝鮮は核心的な補給の能力でさえ攻撃を開始してから幾許もたたず焼き切れる可能性が高いです。韓国は推定2カ月から3カ月分の食料とPOL(石油、オイル、潤滑油)を備蓄していますが、北朝鮮は最低でも100万トンの米を戦争の為に備蓄しており、公民には厳しい飢饉の際にしか備蓄を開放することはありません。人民軍は継続的に攻勢を続けるために、敵の食料、装備、弾薬を鹵獲することが優先して行われます。また人民軍は1千万バレル以上の燃料を戦時の為に備蓄している可能性があります。2011年には軍用に3000両から4000両のトラックを中国から購入しました。北朝鮮には180個の武器工場があり、戦時に軍事物資を生産する非軍事工場が約115個あります。また政府の掲げる先軍思想は公民に資源が渡る前に人民軍が全ての物資を使用できることを意味します[88]。

国防省隷下の後方総局は人民軍の全ロジスティクスと後方支援に責任を負います。この局は拡大しすぎたように思われ、最小でも15個の隷下組織を持ち、それらは建築管理、衣服、エネルギー、外務、農場管理、金融、医療、勲章の管理、弾薬生産、組織と計画、食料、後方支援政治作戦、道路管理、車両管理、獣医をそれぞれ管轄します。巨大な官僚社会は人民軍の効率を低下させるでしょう[89]。

防空

人民軍の防空は主に地上から行われ、空中でのカウンターエアオペレーションは行われません。北朝鮮は世界で最も重厚な防空ネットワークの1つを保有していますが、これは多くが旧式の武器やレーダーで構成され、最も効果的な標的は低高度においてのみです。多くの防空部隊は軍事部隊や軍事施設を守る代わりに北朝鮮の首都である平壌を守るために配置されています[90]。

UAV

北朝鮮は少なくとも8種類、合計300機以上のUAVを運用しています。UAVの多くは旧式で、D-4、Durumi、MQM-107D、PanghyonⅠ/Ⅱ、Pchela-1T、Sky-09P、Shmel、その他最低でも1種類の未確認モデルを人民軍空軍と偵察総局が運用しています。北朝鮮政府は否定していますが、北朝鮮のUAVがDMZの南部境界線を侵犯した事例が知られており、その際にUAVは撃ち落されました[91]。

終わりに

北朝鮮の他国、特に米国、韓国、日本から譲歩を引き出すための常軌を逸した挑発行為は危険です。過去に韓国の政治的指導者を暗殺したり、韓国の政府派遣団が他国に向かった際に爆弾テロを行ったり、潜水艦による警告なしの攻撃、無差別な砲撃、南浸トンネルなど数々の危険な挑発行為を行っている以上北朝鮮が次に何をしでかすか予測できません。ですから在韓米軍は北朝鮮からの予期せぬ攻撃に注意する必要があります[92]。

これらの事件は朝鮮半島に再び戦火を巻き起こす可能性がありました。1953年に結ばれた休戦協定は平和条約が調印されるか敵対行為が再開されるかを待つためのものに過ぎません。韓国は60年以上も同盟国である為、南北間のどのような紛争も必然的にアメリカが巻き込まれることになります。

北朝鮮は核兵器を保有しており、それを輸送するミサイルは9650㎞の射程を誇り、韓国、日本、アラスカ、アメリカの西海岸を脅かしています。更に注目すべきは、北朝鮮が2015年1月23日に潜水艦発射式の弾道ミサイルである北極星1(KN-11)の発射に成功したことです。近い将来、潜水艦が隠密に目標に接近し、SLBMを使用することで米国に対処する時間を与えることなく攻撃することが可能になるかもしれません。

彼らが自国の存続や金政権の存続が危ういと考えた時、彼らは無制限に核兵器を展開するでしょう。また彼らの軍事ドクトリンは化学兵器も使用することを定めています[93]。また彼らは生物兵器の研究にも取り組んでおり、恐らく攻撃能力のある物を使用する可能性があります。そのため韓国に展開する在韓米軍はこれらの化学、生物、核兵器の環境に対して準備・訓練されなければなりません[93]。

REAL-WORLD CONDITIONS APPLIED TRAINING

[編訳者注]OPFOR = Opposing Force = 対抗部隊 ≒ 敵、
DATE = Decisive Action Training Environment
DATEについてはこのサイトを参照してください。

DATE国家の中で一番北朝鮮に似ているのはArianaです。Arianaは軍事的にDATEの中で2番目に強いですが、軍事面で最も北朝鮮らしさを描写しているのは最強の国であるDonoviaです。Arianaは北朝鮮よりも現代的な装備と武器を展開しているので、訓練計画者は北朝鮮らしさを再現するためにArianaの装備のTireを下げる必要があるかもしれません。政治面ではArianaは神権政治であり、北朝鮮は少数寡頭制であり、どちらも少数の人々が権力を握っているという点で同じです。ただしArianaは宗教的なエリートによって率いられているのに対し、北朝鮮は第二次大戦以降北朝鮮を3世代に渡って支配している金一族の親族か親しい友人からなる少数のエリートにより支配されています。その他6つの要素については、北朝鮮の状況を再現するためにDATEを簡単に調整できるでしょう。

・北朝鮮は主にソ連/ロシア/東側の武器システムを使用します。これらはOPFORが長年戦闘訓練センター(CTC)で使用してきたレガシーシステムです。CTCで以前の東側の武器システムを再現することには特に問題はないでしょう。しかしホームステーションでの訓練でこれらの武器システムを再現することにはある程度の困難が付きまとうでしょう。

・朝鮮人民軍の戦術を再現するために必要な解説はTC 7-100シリーズにて確認可能で、彼らの戦術の多くはは、受け継いだソ連の戦術を朝鮮半島向けに仕立て直したものです。ホームステーションのOPFORは北朝鮮の好む戦術やテクニックをよりよく使用するためにいくらか訓練が必要でしょうが、OPFORが修正された米軍の理論を使用するよりも訓練の質は大きく向上するでしょう。

・北朝鮮の地形はどのCTCでも再現することは難しいです。アーウィン基地は砂漠の中に在り、半島の南北どちらにも似ていません。朝鮮半島はとても山がちで、ルイジアナの統合準備訓練センターとドイツの統合機動訓練センターのどちらにも似ていません。部隊の所在によってはホームステーションでの訓練が困難な場合があり、ほとんどの歩兵師団と機甲師団は、北朝鮮ほど山がちではない場所に駐屯しています。陸軍州兵の中には北朝鮮と同じような地形を見つけることができる部隊もありますが、他の部隊はそうではありません。

陸軍訓練ネットワーク(ATN)は米軍に多様な韓国にて展開・準備する際に役立つ資料を提供しています。以下に簡単な紹介を乗せます。

[編訳者注]ATNは一般人がアクセスできませんが、米軍はATN以外の場所(例えば陸軍出版局の公式web)で情報公開をしている為、文書に直接アクセスできるリンクを用意しました。発見できなかったものに関しては公開されていない可能性がありますごめんね

Field Manual (FM) 7-100.1: Opposing Force Operations (2004年12月)。このマニュアルは米軍の指揮官、幕僚、部隊に現代の対抗部隊(OPFOR)を説明するためのシリーズの1つです。これとシリーズのその他のマニュアルは将来の紛争で成功するために陸軍が訓練しなければならないOPFORの軍事および準軍事能力の全範囲をカバーした概要を示しています。

Training Circular (TC) 7-100.4: Hybrid Threat Force Structure Organization Guide (2015年6月)。TC 7-100.4はOPFORの組織の概要と関連するオンライン組織ディレクトリは、陸軍が中短期的に遭遇する可能性のある潜在的な敵の複合的な解説が示されています。

TC 7-100: Hybrid Threat (2010年11月)。このTCはハイブリッドな脅威と、それらがどのように米軍と戦うよう作戦的に組織化されているかを要約しています。またハイブリッドな脅威の戦略、作戦、戦術、組織化の概要が示されており、実際の脅威勢力に近いOPFORを再現して訓練することができます。

TC 7-100.2: Opposing Force Tactics (2011年12月)。実在するOPFORの戦術について解説しており、米軍はそれに従って訓練することができます。

TC 7-100.3: Irregular Opposing Forces (2014年1月)。このTCは非正規の対抗部隊(OPFOR)についての解説し、非正規部隊を構成する現実の脅威と敵について示しています。非正規部隊は3つのカテゴリーに分けることができ、反乱軍、ゲリラ、犯罪者です。これらは単独で活動するか、ほかのカテゴリーと連携したり正規軍と組み合わさることでハイブリットな脅威になります。このTCは非正規部隊の戦術について解説しています。

TC 7-101; Exercise Design Guide (2010年11月)。このTCは訓練の設計と実施の理論の概要を解説しています。

TC 7-102: Operational Environment and Army Leaning (2014年11月)。このTCは変動する作戦環境(Operational Environment OE)を訓練、教育、指揮官教育に落とし込むための方法について、ドクトリンに基く簡潔かつ持続的な指導が提示されています。

US Army TRADPC G-2 Handbook No.1.08 Irregular Forces (2010年12月)。このハンドブックは現代の非正規部隊と非正規の脅威が作戦環境で米軍にどのようなカウンターを行うかのようやくを説明します。また非正規部隊の戦術、攻撃隊形と防御作戦、非正規戦術、テクニック、テロリズム、非正規部隊のプランニングサイクルについても説明しています。

・Worldwide Equipment Guide (WEG) 2014: WEGは米軍が戦場で遭遇する可能性のある敵の装備のリストです。 全ての武器と武器システムがWEGに載っているわけではありませんが、代わりに似た装備が載っています。またWEGは訓練計画者がどのように訓練に際して実際の武器や車輛を代替して特徴を表せばよいかを示しています。

[編訳者注]2014年版の代わりにより新しいWEGのリンクを載せます。Vol1, Vol2, Vol3

Decisive Action Training Environment (2015年4月)。決心的行動訓練環境(DATE)の為の文書(Ver2.2)は、コーカサス地方の5つのOE状況の詳細な解説を米軍の訓練コミュニティーに提供し、訓練の為の具体的なシナリオを構築することを助けるツールとなりますが、完全なシナリオについては提供しません。本文書は政治、軍事、経済、社会、情報、インフラ、物理環境、時間(PMESII-PT)の要素を踏まえたOE状況を提供します。また現実世界のデータと人工的なデータを合体しており、決定的な作戦を含む幅広い状況の訓練イベントの条件を設定することができます。

・Regionally Aligned Forces Training Environment (RAFTE) Pacific (2014年9月)。RAFTEはDATEについて一通り理解した場合に使用されることが意図されており、DATEの拡張補足として現実世界での作戦を想定した訓練の為に用います。RAFTEはOEの内DATEにはない状況を解説し、現実世界の様々なOEの状況の基いた訓練を可能にし、太平洋軍の責任下にあるほとんどの国での状況を再現し訓練することができます。RAFTEはDATEとは異なりますが、別個のものではありません。

・RAFTE North Korea (2014年4月)。このRAFTEは特に北朝鮮にフォーカスした文書です。

・Information Environment Assessment (2008年6月)。この刊行物は北朝鮮を含むいくつかの国家の情報環境について説明しています。

・North Korea Operational Environment Assessment (OEA) (2006)。これは最新のACE Threat Integrationの出版するOEAですが、10年以上も古い為その多くが古い情報です。これが出版されてから金正日の死や、その息子である金正恩の成功など多くの変更がありました。いくつかの情報、特に物理的な環境についての情報はいまでも有効です。

・Asymmetrical Warfare Group (AWG) Subterranean Warfare Handbook。このFOUOハンドブックは北朝鮮の坑道作戦についての節が載っています。

・Red Diamond Newsletter Articles

 ・2015年3月号 North Korean Leadership Turmoil
 ・2015年1月号 INFOWAR-North Korean Capabilities (Part 2)
 ・2014年11月号 INFOWAR-North Korean Capabilities (Part 1)
 ・2014年7月号 Unmanned Aircraft System Vulnerabilities
 ・2014年5月号 The BRDM: The Multi-Purpose Reconnaissance Vehicle
 ・2013年8月号 Sharping the North Korean EMP Threat
 ・2012年6月号 North Korean Jamming of GPS Systems

North Korea GPS Jamming. このACE Threats Integrationのレポートは北朝鮮による韓国のGPS信号のジャミングについて調査しています。

BTR: The Universal APC Handbook. このACE Threats Integration Handbookは様々なBTRのモデルを解説しています。人民軍は様々な数多くのBTRを展開しています。

次のチャートは北朝鮮の現実世界での北朝鮮の状況と、DATEの状況の比較表、Field Manual (FM)の関連あるページ、Training Circulars (TC)、その他刊行物の関連を示しています。チャート上のページ番号は関連物が載っている場所です。文章を見つける為には上記のリンクを踏んでください。

DATEとドクトリンの状態


戦術MAPの凡例

編訳者注

[編訳者1]北朝鮮では国民・人民を総称して「公民」と呼びます。そのため本翻訳では一部を除き公民で統一します。

[編訳者2]つい最近も北朝鮮は非常防疫大戦に軍人を投入し、消毒作業に従事させていました(ようつべ)。軍人中心の社会である北朝鮮はとりあえず軍が出てくれば問題が解決できる為、軍は一種のルールメーカーとして良くも悪くも機能しています。

[編訳者3]
Chum In-bum
North koreas Military Strategy 2018
Joint U.S.-Korea Academic Studies

[編訳者4]
FM 3-34 Engineer Operations p 4-1

[編訳者5]
軍団の配置についてマイナーとは言えない間違いがあったため、修正しました。修正は韓国の北韓研究所の資料を参考に行われました。また2個機械化軍団は2020年の韓国国防白書によると6個機械化師団に分割されています。

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脚注

[1]
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[2]
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[3]
North Korea Leadership Watch, “Kim Jong Un,” Undated;

BBC, “Profile: Kim Jong-un,” 14 October 2014.

[4]
Steve Herman, “Secret Manual Gives Glimpse of North Korean Military Tactics,” VOA, 18 September 2010;

STRATFOR, “Dispatch: Korea’s Refocusing Policy Postures,” 18 November 2010;

Charles Scanlon, “North Korea: Past lessons will affect the next move,” 4 April 2013.

[5]Vincent R. Stewart, “Statement for the Record: Worldwide Threat Assessment,” Defense Intelligence Agency Director to the Armed Services Committee, United States House of Representatives, 3 February 2015;

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[6]
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[7]
Frank L. Goldstein and Frank E. Emmett, “A Psychological Perspective on the People within the Democratic People’s Republic of Korea (DPRK),” 18 April 2004.

[8]
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[9]
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[11]
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[12]
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[38]
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[39]
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[41]
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Steve Herman, “Secret Manual Gives Glimpse of North Korean Military Tactics,” VOA, 18 September 2010.

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[49]
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[50]
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[51]
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[52]
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[58]
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[60]
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[61]
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[62]
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[63]
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[66]
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[71]
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[72]
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[73]
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[74]
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[75]
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