2024年2月9日(金)の300字小説

 寒さが沁みる2月。会社は寒いし、家帰ってもすぐ暖まらないし。私は震えてストーブに点火した。
 ああ、早く暖かいご飯を作って食べたい。暖かいお風呂も恋しい。コートを着たまま寒い部屋で震えている。
 ストーブが燃え始めたところでスマホを見る。温泉。温泉に行きたい。暖かなお湯。美味しい食事。居心地のいい部屋。最高じゃないか!
 勢いで、近場の温泉宿に予約してしまった。寒いからとはいえ思い切りが良すぎる。
 でも、これで、一週間頑張って働けそうだ。
「待ってろ温泉―!」
 ようやく暖まってきた部屋で、私はコートを脱ぎ、夕食の支度を始めた。温泉に行くから当面は節制した食生活を送ろう。そんなことを思った。
おしまい

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