見出し画像

春風は爽やかに(2024年4月20日(土)の300字小説)

 遠くで吹奏楽の音が聞こえる。野球部の球を打つ音がする。
 僕らは図書館で来年の高校受験の勉強をしている。君は、長い髪がさらりとしていて、つい触ってみたいと考えてしまう。
 君が視線を上げた。
「ん? 集中力切れた?」
「ちょっとね」
「帰りにコンビニ寄ろうよ」
「いいね」
 君に英語を教わり、僕は数学を教える。図書館は他に机で寝ている生徒と、暇そうに本を読んでいる図書係しかいなかった。
 窓が開いているので、カーテンのレースがひらりと靡く。
 一緒の高校に入れれば、この時間はまだ続くのだろうか。勉強頑張らないとな。
おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?