Black Lives Matter-何故彼らは今戦っているのか-


アメリカで無罪の黒人が白人警官に殺されてしまってから、デモが起こり、そこから暴動になり、ついに私のとても仲のいい身近な人達にまで被害がおよんでしまっている。


この問題は“黒人の問題”と片付けるのではなく、私たちに根付いてしまっている人種差別というものを、一度考えなおす機会にしてほしい。


人種差別をされた事がある方は、あの何とも言えない“悲しみ”でもなく“怒り”でもない、あの気持ち悪く、やるせない感情を経験した事があるだろう。そのぶつけようのない感情がたまりにたまると、こういう暴動になってしまう。


日本に根付いている人種差別と、アメリカに根付いている人種差別というのは、私は少し違うと思っていて、今回はアメリカで起きている事を書きたいと思っています。


日本に根付いている差別は又別の記事で書きたいと思う。



まずアメリカで今起こっている暴動のきっかけは、罪のないジョージ・フロイドさんが白人警官に押さえつけられ、息が出来ないと訴えていたのにも関わらず、5分間膝で首を押さえつけ、死亡してしまった事。


この事がきっかけ、と伝えられているが、何度も何度も罪のない黒人の一般市民が白人警官に暴力を振るわれたり、殺害されて来ている。もう何十年、何百年と。


黒人と言うだけで、街を歩いている時にいきなり白人警官によって殺されてしまう事件が多発しているのはご存知だろうか。ただランニングをしてただけなのに、ただ家に帰ろうとしていただけなのに、ただ普通の日常の生活をしている時に、白人警察により暴力を振るわれ、屈辱を味わいながら、殺されてしまう。


その事実がずーーーっと変わらないまま2020年まで来た。今回のジョージ・フロイドさんの事件がビデオにおさめられ、それが拡散し、トリガーとなり、今の暴動やデモがアメリカ中で起こっている。



“警官は黒人の命を不当に扱う人で、国民の安全を守る者ではなく、自分たちの敵だ”という思想になり、“いつまで無差別に殺され続けなければいけないんだ!”という怒りの訴えが今の結果である。



この差別は、日本で日本人として生活している上で経験も想像も出来ない出来事だと思う。なぜ、暴れているんだ愚かだな。暴動なんか起こしてもなにも解決しないのに。と思って見ている人もいるかもしれない。



だけど想像してほしい。


肌の色の違いが理由でクラブに入れなかったり、

14歳の時、ランチを買いに行こうとしたら何か怪しいという理由で、手錠をかけられたり、

16歳の時、高校から帰ろうとした時に警察に銃をつきつけられ“お前は車を盗んだだろ”と見覚えのない事をいわれ、恐怖で固まってしまったり、

友達と車でアメリカ横断しているだけで、何から逃げているんだとまた警察に銃を突きつけられたり、

肌の色が違うからという理由で命の危機を感じたり、

自分の友人が、兄弟が、家族が、罪もないのに警官に銃で撃たれたり、

そういう経験を今現在もずーーっとしている事を。

そして上記に書かれている事は、一人の黒人の友人の実体験である。


警察が冤罪を認めたくないが為に、罪をなすり付けられ、何も罪を置かしていないのに何十年も投獄されたり、殺されて来てしまっている事実がありすぎる。



自分の友人が、恋人が、家族が、その被害者で、警察の権力に逆らえず、不当に黒人を扱って来た白人警察は常に無罪であり、諦めるしかなかった事実を、どう変えたら良かったんだろう。

どうして街で白人警官を見る度怯えなければいけないんだろう。


非暴力で平和的に訴えて来ても変わらず、暴動を起こしても変わらず、どうしたらこの差別社会を変えられるのか、彼らは何百年とずーーーっと考えて来ている。



私の黒人の友人でもそんなに警察に銃突きつけられる経験してる人が多いの?とビックリするくらい、何人も経験していた。ほとんどが冤罪だ。

そして実際に、その警官の発砲された経験がある人もいる。

何の罪もないのに、人を殺し続けて来た白人の警官に銃を突きつけられるという恐怖は私たちには分からない。


その悲しみや苦しみからもう300年以上抜け出せてないこの状況を変えようと戦う彼らの苦悩は私たちには計り知れない。


私は黒人の友達が多くいて、普段からそう言う話を聞いたり、実際に目の前で黒人だからという理由で差別を受けたりしているのを見て来た。


ある日LAで、友人の誕生日パーティーに参加するため、少し高級なレストランに集まった。カジュアルな格好でいいよと言われていて、黒人の友人2人と向かっていた。一緒にいた黒人の友達だけ、スニーカーがだめだ、という理由で入店を拒否された。


だけど、中にスニーカーを履いている人は何人もいるのだ。


“え、なんでなの?”と訴えると

"just because our color of skin. You never know Ulala" 

-肌の色さ。Ulalaには一生分からない事だ。

と諦めた口調で言われた。2015年のLAでの話だ。


もの凄く腹が立ち、悲しくなり、バウンサーに抗議したが認められず、頭がおかしくなりそうなくらい、バウンサーを罵倒した覚えがある。


結局私も追い出され、パーティーをすっぽかして、私はその夜号泣しながら彼らと抱き合い、人種差別がいかに酷いものか、彼らと朝まで語り合った。


彼らが人種差別の事について語るそのパワフルな、力強い、パワーやエネルギーは、私が日本で見た事のない、触れた事のない物だったし、全身全霊で伝えてくれたそのメッセージは私は日本の皆に伝えないといけないと思った。


もの凄い深い悲しみや苦しみと共に黒人奴隷として生きた彼らの先祖は、その経験や、歴史を、自分の子どもに、そしてその子どもは次の子孫に残し、2020年の今、黒人の皆はその想いを背負って生きている。


2pacの歌詞の中にも"my mother never let me forget my history"という歌詞がある。


自分たちの肌の色に誇りを持ち、先祖の想いを背負って戦っている。

何十年という時を経ても、消えない人種差別に立ち向かい、自分たちの人権の為に戦い続けている。先祖から受け継がれた、魂と、知識と、苦しみと共に。



そしてその悲しみや苦しみを乗り越える為に歌い、励まし合い、ゴスペルと言うものが生まれ、

怒りの矛先を音楽に乗せ、ラップが生まれた。


私はその力強いメッセージのこもったモノに触れると、涙が出るし、鳥肌が立つ。


教会で聞いたゴスペル、日常で繰り広げられる不満を音にのせたラップ。目の前で聞いた時は心を鷲掴みにされた。


英語がまだそんなに分からなかった頃、黒人の友人にラップの意味を教えてもらい、リリックを説明してもらい、ラップと言う音楽にどっぷりハマった。


力強いメッセージが込められた作品の意味を知りたくなり、彼らに聞いたし、調べた。調べれば調べる程彼らへのリスペクトは止まらなくなった。


今まで何となく聞いていた音楽が、もの凄くパワフルでソウルフルで歴史の詰まった作品だと気づけた事は、本当に自分の人生で大きな変化をもたらした。

私が社会的な問題を口に出し始めたのも、彼らの音楽の意味を知り始めた頃だった。



そして沢山の日本人はそれに触れ、影響を受けている。


私はそういう彼らのメッセージを受け取っている人達こそ、今黒人の皆が人権の為に戦っている時、共に戦える、声をあげられる人達なんじゃないかと思う。


何故こういう事が起きていて、どうすれば一緒に解決出来るんだろうかと、周りに伝える事の出来る、彼らの代弁者になれると私は思ってる。


彼らのメッセージを一番に受け取っているはずだから。彼らが残し続けた想いを、彼らが皆に知ってもらいたかった想いを受け取っているはずだから。


黒人の友達がいなくたって、彼らが残し続けた、差別されて来た歴史を変えたいという気持ちや、怒りや悲しみや人種差別という言葉にならない感情を曲にのせて、歌にのせて、声を大にして歌い続けた魂のメッセージを、受け取っているはず。


少なからず私は受け取ったから、彼らと一緒に差別のない世界を目指したい。


そしてこれを、“アメリカで起こっている黒人だけの問題”として片付けるのではなく、私達の中に根付いている“差別”という醜いものに目をむけるきっかけとし、向き合い、日本国内での人種差別もなくして行きたい。


(次の記事は私と黒人の子と一緒に人種差別や文化の違い、文化の盗用について考え、話し合い、創り上げた雑誌の一部を無料公開します。


10日間限定で無料公開する予定です。(気が変わる可能性あり)


私には頑張っても彼らの声を代弁出来ない。

彼らのリアルな声が届くと思うので、楽しみにしててください。)








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