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「日本的思想とは何か(上)」

フランスに来た時に、驚いたことがあります。フランス人は自分たちと違うということに非常に敏感なのです。しかも、何か外国人が違う反応を見せたり、現地語が話せない場合、私だったら、「違う文化で育ったから違うのだろうな」「外国人だから言葉が不自由だから大変だよね」と思って親切にしようとするところを、フランス人(田舎で、かなり昔のことっていうのもありますが)が、「あの人はおかしい人」「言葉が話せないなんてはずかしい」とか言うんです。なぜそんな展開になるのかわからなくて、ほんと、文化が違うんだなと感心したものです。(最近のフランス人の若者は世界も見えるようになってきて親切になってきているので、その点はお間違えなく。)

そして、一番やっかいなのは、自分の文化と違うという理由で、不信感を抱きはじめることです。しかもとにかく自分の文化を軸になんでも考えて、変な事言い始める始末。

↓参照。実際に経験したことなどが書かれています。

つい先日も、植民地にされたことがある国々、アフリカやベトナムなどに行ったフランス人女性が日本に行った時、元植民地の人がしてくれたような態度を日本人がしないので、あれは差別しているからに違いないといっていたと、知人のフランス人の女性の話を言ってくる人がいました。こんな人なんだかネットに多いですが、そういう人の影響を受けているのか、それともこれがこのフランス人の「地」なのかと、一瞬考えさせられました。

がしかし、目の前で言ってくるその姿には、さすがイジメに近いものがあります。意をけっして対抗しなくてはいけないと思い、「それは彼女が不寛容だからでしょう。日本人は全ての人を同じと考え、人間的に平等に接しますよ。」と、冷静に、そしてとっさに言い返したのですが、すると、たまたま近くにいた日本の漫画が大好きだというアルジェリア人の人が、「それはほんとうだ。」とわざわざ近寄ってきて、一緒に対抗しはじめました。完全に、フランス人が外国人である私を差別するために因縁をつけてきて、それを、外国人同士で食い止めた様相です。しかし、それをしなければ、一方的に弱者として扱われることになります。対等を維持することはフランス人同士でも普通に行われていることで、もしここで弱者になればその後もこういった因縁まがいのことを受け続けることになりかねません。

こういった経験の数々から、フランスには親切な方もいるけれども、そういった嫌味を連発する人には屈しないためにも対抗していかなければいけないことを学びました。そのためには、フランスのことを知ることも大切ですが、日本のことを知ることも重要になってきます。なぜ日本とフランスではこのように考え方などが違ってくるのだろうかということを、自分の中で整理し、論理的に反論する必要があるからです。

変ないいがかりをつけてくる人には、冷静に説明することで対抗するようにいかなければいけないのです。

しかし、そのようにフランスのことを勉強し、日本のことを勉強していけばいくほど、ほんとうに日本はとてもオリジナルな国なのだということが見えてきます。

しかも、さきほどのフランス人女性が言っていたことは、その通りだなと思う点もあります。日本は植民地化されていないため、ダイレクトに西洋の思想をベースにした教育で育っていないのです。だから、元植民地の人たちように西洋人に近い行動しない人も多く、白人に対して従属する態度で接することがない人も多くみられ、元植民地の人たちとは態度が違うのだろうということは納得できます。日本は、植民地にはならなかった結果、独自の独立世界を維持したのです。

そのように西洋の思想をベースにすることなく、独自の思想をベース培われてきた西洋とは違う日本の独特な考え方などを、私は、「日本的思想」と呼んでいます。

ちなみに、「思考」は知識や経験などをもとに頭を働かせたり、思いを巡らせる行動で、「思想」とは人が社会や生きている現実世界に対して考えた事柄をまとめたものですが、

この「思考」も違うため、「思想」が変わってくるのです。

今回は、その「日本的思想」とはいったいどのようなものかについてまとめていきたいと思います。

なお、「日本人」の定義は、日本に住んでいる、国籍を持っている人など折々にいろいろな定義があるとは思いますが、ここで使う「日本人」という言葉は、日本の文化思想を受け継いでいる人のことを指しすことにします。なので、「私は日本に住んでいるけど違うわ」っていう方など、そういった日本文化を親から受け継いでなかったり、外国育ちなどを含め、日本の文化思想を受けついてないということで、ここで使っている「日本人」の中からは除外します。

「日本的思想」とは何か?なぜ、肯定的に思わない人が多いのか?


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