見出し画像

リズムゲームの行先はいずこへ? 特許の壁をアイディアで超えられるか?

フリーゲームプロデューサーのうきょうです。

昨日実はこちらの記事を投稿予定でしたが、
突如舞い込んできたニュース、
バンダイナムコの新事業「電音部」が
面白い情報だったのでそちらを先に投稿しちゃいました。

よかったらこちらも拝見いただければ幸いです。

今日は、既存のアクション系リズムゲームの収入源、さらに新しいゲーム性、ファンマーケティングの行先はどこへ向かうのか?について書いてみたいと多います。

「リズムゲーム」アプリの定義
この記事内では、音楽に合わせて流れてくる譜面にあわせてタイミングよくアクションしていくアプリゲームとします。






リズムゲームアプリのゲーム性の強みと弱み

ユーザー目線からですと、特別なルールを把握しなくても直感で遊びやすく馴染みやすいという点があります。また、設計側としてもUI(ユーザーインターフェース)等でも作りやすく迷う必要もそれほどないです。


◆パラッパラッパー

1996年12月6日にソニー・コンピュータエンタテインメントが発売したプレイステーション向けゲームソフトのタイトル。

アプリじゃないけど、家庭用ゲーム気で元祖音ゲーとして知名度が高いのはSONY(SCE)の「パラッパラッパー」。今の若い人は知らないかも知れない(PlayStation)


◆太鼓の達人

2001年2月21日アーケードで稼働を開始したバンダイナムコのゲーム。今では家庭用、アプリでも発売中。皆様には説明不要の著名タイトル。これも1つのリズムアクションですね。


◆音ゲー大ブームの火付け役「ビートマニア」

1997年アーケードで稼働を開始したコナミの元祖リズムアクション。今世の中にある音ゲーの基礎はほぼこのビートマニアから始まっているといって過言ではないぐらい音ゲーブームと音ゲー市場の土壌を気づいたのがKONAMIのビートマニア。アーケードゲームでリリースされた以降、今もシリーズが続く人気ゲーム。

音ゲーの派生として、ピアノ、ギター、ドラム、パラパラ、ダンスなどほぼすべてを出し切ったのではと思うぐらい。

数多くの特許も取られたのでライバルが追随しづらいという点も抜かりない取り組みでしたが、業界内では特許範囲が広すぎる、今後のゲーム開発に支障をきたすなど、かなり賛否もおきた。それぐらいインパクトがあった。


◆音楽とダンスのオシャンティ演出

初登場は1999年12月16日、SEGAのドリームキャスト。

こちらはSEGAの水口哲也さんがデザイナー、起案となった「スペースチャンネル5」。家庭用ゲーム機で遊べるリズムアクション。演出がとてもユニークだがゲーム性は至ってシンプルでリズムにあわせてボタンを押すだけ。見て楽しい!も追求した作品。


◆そしてアプリのリズムゲームへ

今のアプリのリズムゲームは大方このフォーマットが採用されている。



リズムゲームアプリの
ビジネスモデル、強みと弱み


◆メリット

リズムゲームアプリは通常のアプリゲームと違ってメディア展開がとてもしやすい題材です。まずはシンプルに「歌」を取り扱うことが多いので、歌をゲームとは分けてリリースできる。オフラインでのLIVEができる、グッズ展開ができます。

RPGとかシミュレーションゲームとかと比較すると圧倒的にリアルな世界でともメディア展開がやりやすいわけです(実際にはリアルで展開できるように設計して意図して制作されていることが多い)。

その利点は、仮にゲームに接触しなくても、キャラクターファンになることが多いため、歌、キャラ、グッズ、などでより細かい接触頻度で生活時間に入り込みやすいからですね。

また、実際にはキャラクターやボーカリストが多数いる中で、出演するキャストも多いので、各キャストが出演する生放送や告知展開もやりやすい。など、メディア展開と生活圏での接触頻度は上げやすいツールがたくさんある点が強みです。


◆デメリット

ゲーム性に差が出しにくい。リズムアクションって本当にどれをやってもどれも同じように見えてしまいます。そのため、ユーザーとしてはどこで課金をさせられるのかの想像もつきやすく、メーカー側が作品に引き込むハードルは年々上がっているのだろうと想像できます。

また、ゲーム性としては良くも悪くも同じ類のものなので、スマートフォンという端末を使った操作、体験ではこれ以上斬新な体験がほぼ生まれていない点も課題としてあるかと思います。


・権利関係の仕事が重い

権利関係の処理が大変。幅広くメディア展開できるという点は裏を返せば、権利関係のマネジメントが多数付き纏うということです。ゆえにここのマネジメントの対応をしっかりやっていく強さも大事だということですね。

ただこれが強みの会社もありますから、シンプルにデメリットと捉えるのは早計ですね。これが強いことが参入障壁になっているメリットになることもあります。


・キャストの稼働時間が長くなる

日の目を浴びる仕事というのは収益性とトレードオフというのはタレント業に限らないわけですが、リアルステージに上がるタレントさんが多くなるとそのステージにかける労力が他のゲームと比較して相対的に収益性は下がりがちです。

他のゲームはスタジオ収録ですが、リズム系や音楽系になることでその歌、踊りなどを覚える、レッスンする、体のケアをするなど多方面で労力と努力が伴います。

今まで以上に体調管理をする必要もありますので、他の仕事と比較して相対的にコストが上がる(タレントさんは収益性が短期的に下がることもある)ということです。

た、だ、ステージに上がるということは知名度が爆発的に上がる可能性もありますので、その後の仕事に繋がり、単価は長期的に見て上がり易くなる人もいますので、そういう戦略を持っているかいないかでバリューもめちゃくちゃ変わってくるというのもまた事実ですね。

これは事務所やマネージャー、タレントさん本人の意思にも左右されるところではありますが、そういう夢や達成感も大きいのもこのサービスのまたいいところなのかと感じます。


現在人気のリズムアクションゲームの代表例


では今実際にどういうサービスが流行っているのかについて触れてみたいと思います。

ゲームファンにとっては釈迦に説法ですが、代表的なのはこの辺りですが、一部だけ引用したいと思います。大ヒットしているルールがあるとすれば、バンダイナムコのブランド、Klabが開発していること、著名タイトルを使っている点などでしょうか。


アイドルマスターシンデレラガールズ 
スターライトステージ

・アイドル育成+リズムアクションゲーム

本格リズムゲームで通称「デレステ」。総収録曲は200曲以上!登場アイドルは180人以上!

・販売元:バンダイナムコ


アイドルマスター ミリオンライブ!
シアターデイズ

上記タイトルとゲーム性はほぼ同じですが、舞台とキャストの一部が異なるアプリ。ゲーム性の違いは上と大差ありません。開発元が違います。

・販売元:バンダイナムコ


アイドルマスター シャイニーカラーズ

アイドル育成ゲーム。こちらはゴリゴリのリズムにあわせたアクション要素はなし。少し幅広いターゲット層向けなのかな。

キャラクターも少しフレッシュな感じがします。例えれば「なんとか坂」シリーズっぽい雰囲気なのかな? っていったらきっとファンは怒る(汗。

・販売元:バンダイナムコ


アイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!

男性キャラがアイドルとして登場するリズムアクションゲーム。

内容はアイドル育成+リズムアクションで、ゲーム内容としてはアイドルマスターそのもの。

・販売元:バンダイナムコ


アイドリッシュセブン

女性向けのアイドル育成+リズムアクションゲーム。アイドルマスターをリリースするバンダイナムコの完全オリジナルゲームっていうところがミソ。

細かい独自要素はあるにせよアイドルマスター系とほぼ同じ遊び方とゲームの流れなので、同作や同シリーズなるには親しみがある方はすんなりプレイができる。

・販売元:バンダイナムコ



ラブライブ

メディア展開から始まった原作のアプリゲーム。内容自体は、アイドル育成+リズクアクションゲーム。

元祖リズムアクションという感じでひたすらハードなノーツ(流れてくる譜面)をタップするアクション要素高めのゲーム。

・販売元:KLab


ラブライブ!
スクールアイドルフェスティバル ALL STARS

こちらはリズムゲームにスタミナ管理を含めた細かいパラメータを取り入れたシステム。純粋にリズムアクションを楽しみたい人にとっては少し制約にもなりえるのかなという感じ。

前作のファンからすればゲーム性に関しては「いや、ちょっとそうじゃない感」がありますけど、ファンならば保管できるのだろうと思うほど評価は高い(汗

・販売元:KLab


バンドリ! ガールズバンドパーティ!

・リズムアクションゲーム。

収録曲は250曲以上!J-POP・アニソン・ボカロなど、大人気カバー楽曲も多数収録している点が特徴的。お気に入りの曲を自分に合った難易度で遊べるから、リズムゲーム初心者でも楽しめる。

みんなが知っている曲が多いのも特徴で、これがとっかかりでリズムゲーム始めましたっていう人も多い気がする。

・販売元:Craft Egg, Inc.


うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live

・元祖女性向けのアイドル育成+リズムアクションゲーム。タイトルとしては結構古参で、歴史あり。内容はほぼひねりなしの「ラブライブ」。

・販売元:KLab


あんさんぶるスターズ!!Music

女性向けのアイドル育成+リズムアクションゲーム。ゲーム構成としてはアイドルマスターシンデレラガールズみたいな感じかな。

内容はてんこ盛りだし、3Dキャラがグリグリ動く。

・販売元:Happy Elements K.K


これからのリズムアクションの
ゲーム性はどうなるか?


正直リズムゲームとしてのエッセンス、一番体験して気持ちいいところは完成されているイメージなので、これ以上の進捗や差別化は難しいのかと感じています。

リズムがシンプルの体感できる、叩く、踊る、モーションセンサーするとかですが、すべてアーケードゲームでも存在しています。

そう考えますと、スマートフォンで体験するという性質上、操作性に差別化が難しいのも事実ですし、それ以上のことをしようとすると、特許や実用新案に引っかかるのだろうという懸念があるからです。

そういう点も踏まえて、これ以上の進歩、差別化は厳しいのかなという理由です。

逆に、じゃぁといって、この基本的な型に、変なアレンジメントを入れるとユーザーにしてみたら不満がたまりやすい要素になるのだろうと感じています。


これからのリズムアクションの
ビジネスモデルはどうなるか?


◆開発費だけはどんどん上がる

ビジネスモデル以上にシンプルには開発費だけが跳ね上がるだろのも事実です(マーケティング費用込みですが)。それはシンプルにユーザーが求めていることがどんどん増えているからです。

メディア展開やマーケティング展開においても、アニメやコミカライズなどのメディア展開も積極的に仕掛けはするんでしょうけど、どれも展開としてはありきたりですし、メディア発祥で大きなトレンドを作り出すことができるのか?という点も正直難易度が難しそうだなと感じます。


◆ビジネスプランはリアル展開がマストか?

リズムアクションゲームの中からタレントが出てきて、ライブ、アイドル活動、オフライン活動などの流れは今やマストに近い形になっています。これをやりたがるプロデューサーや設計者も実際問題多いです(なんでか知らんけど)。

ゆえに収益プランの一例として、ゲーム以外のところではリアルなアイドルマネジメントが1つの事例になりつつありますよね。

しかしこれは本当にタレント業、マネジメント業に近い商売手法になりますので、タレント発掘、ライブ展開、歌展開、そのほかのメディア展開などの出口をどう捉えられるかで取り掛かり方が変わるのかなと予測します。

ただ、このビジネスモデルや芸能側もゲーム側も出口は正直ずーっと変わっていないと思っています。

あえて変わったかなというのはリアルでもAKBの劇場展開、握手券付きCD販売、地上波メディアへの進出というところだと思いますが、比較的既存(マーケティング)ラインのパワープレイ(権力や広告投下、マネジメント能力の営業)なのかなという気もしています。


◆より身近に、より頻度高く、よりシェアする

しかし1つの共通項としては、お客さんが持つ「(アイドル像)ファンタジーの感覚」を、「より身近に」というようなワードや、ある程度の「自由さ」「タレント側の裁量」が、より成長していくためのキーワードになるのかなと感じています。

これもある種しっかりした価値観やビジョンを共有できる人たちを採用して育てて展開していくという流れが生きてくるのかなと、そういう感じがしました。


◆特許を超える発明も必要か?

上でも触れましたが、リズムゲームに関しては多くの特許や実用新案が各社に保持されています。ライセンスを借りて新しいアイディアを作れればいいですが、リズムゲームに関する概念やカテゴリで勝負しようとするとユーザーが求める期待度と乖離する可能性もあります。

そう考えると音楽とリズムを維持しつつ、まったく新しいゲーム性を取り入れるのか、などと考えてみるといいのかもしれないですね。


ゲーム設計方法と
ビジネスモデルに新しい風を


リズムゲームに限りませんが、ある程度フォーマット化されたゲーム性、同じ機種内で展開するということに対して、それ以上の発展性や差別化が厳しいのはどこも同じようになっています。

そうすると出演者、会社などのブランド力が絡む方向性に走りがちなのですが、既存の延長線上でのみ考えるのではなく、あえて逆張りを目指すスタイルも近々生まれてくるのかなとも予測できます。

低コストで無駄な要素を徹底的に削ぎ落としたゲーム性。またはゲームじゃないパターンもあるかもしれない。

例えるならば、ゲームっぽさの徹底ではたとえば「ハイパーカジュアル」から出てくる可能性もあるし、メディア展開という点では「すとぷり」みたいなものがまた出てくるのかなと個人的には感じているサービスで、どちらもとても魅力を感じます。

それ意外に考えられるとすれば・・・

妄想すると楽しいですが、いろいろな掛け合わせも出てきそうな気がしますね。

これをみた時、本当にうまいなと思いましたし度肝を抜かれましたが、キャラクタービジネスのとっかりとしてはこれでいいんだなぁとも思いました。「すとぷり」はゲーム化はしていませんが、そこがまた潔いなとも。




いただいたサポート費は還元できるように使わせていただきます! 引き続き読んでいただけるような記事を書いていきたいと思います。