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【ゲーム企画】コラボ案の具体業務の流れ、効果は?

ゲームプロデューサー、うきょうです。

先日、プロダクト開発において「IP商品を開発する際に気をつけること」の全体像について書きました。

私自信、IP許諾を受けて0から制作したこともありますし、コラボ案件も数多くやってきました。

そこで、今回は、これからコラボ案件を検討中の企画者、プロデューサーなどに対してお役に立てそうな情報がありますのでお届けしたいと思います。


<コラボ案の流れについて>

簡単ではありますが、具体的にゲーム企画の1つとして、コラボ案実施の流れについて書いてみたいと思います。

❶コラボタイトルを検討する

コラボタイトルの選び方ですが、基本的にはやりたいコラボ案件を選ぶことがスタートになることもあれば、持ち込み案件も多々あります。

持ち込み案件の場合は、今度映画をやるからとか、今度アニメがスタートするからなど、原作のプロモーション目的の1つとして、ゲームコラボでの露出度アップを想定したタイミングでの持ち込みが多いです。

この時点でまず知るべきことは、自社のタイトルとコラボ契約が可能なのか?が真っ先に調査する部分ではありますが、詳細は❸の項目で書きたいと思います。

なぜなら、ビッグIPは契約金が相当高い金額になりますし、そもそも弱小タイトルとは組まないというガイドラインがあるタイトルもあります。

それ以外では、いろいろな契約縛りを理由にコラボ自体がNGということがあるからです。

例えば、1年に何タイトルまでコラボはできる。他社でそのIP作品のゲームが登場する。ライセンスの問題上、コラボ時期が決まっているが、先までずっとコラボ先が埋まっている、原作者がゲームはNGと言っている、といった感じです。


❷相性をリサーチする

相性のリサーチとは、自社ゲームとコラボタイトルの相性をリサーチすることであり、主に「ビジネスとしての再現性」を意識することです。

「ビジネスとしての再現性」とは、自社だけでなく、コラボ先、自社ゲームのファン、コラボ作品のファンにもWinをできる限り提供できる形になることです。

さらに深掘りすると、ビジネスとしての再現性は、短期的に収益が上がることか、短期的に集客力が上がることか、ファンの熱量を上げることか、などなど、コラボを行う目的や目標によっても微調整されていきます。


❷-a:避けたいコラボ案件

原作、およびゲームの世界観や、ユーザー属性が乖離しているもの、原作のゲーム性が再現できないコラボ案件は避けた方がいいです。

企画者ならば無理くり企画の実装はできますが、そのコラボは誰も幸せになれない企画になりがちですし、コラボする際の労力は相当になります。

その結果、コラボの効果としては長続きはしない、それっきりのコラボで終了する可能性も高くなることを覚悟しないといけません。

ただここで気をつけることが多々ありますが、詳しくは❸で触れます。


❷-b:コラボ事例

例えばですが(あくまでたとえですよ)、「美味しんぼ」と「アイドルマスター」「初音ミク」という題材があるとします。

その際、コラボなどを考えてみた場合、「アイドルマスター」×「初音ミク」はコラボの際の相性が比較的いいだろと想像できます。それは共通項目として「音楽」というテーマがあるからです。

一方で「美味しんぼ」と「アイドルマスター」でコラボを考えようとした場合、上の事例と比較するとハードルは高くなります。

理由としては、「美味しんぼ」の世界観や魅力は「食」であり、「アイドルマスター」の特徴はアイドル育成と音楽、キャラクター性ですが、共通テーマが見つけづらいからですね。共通項があるとすれば現代という世界ぐらいです。(他にもあると思うけど)

仮に無理くりにでもコラボ企画を提案する場合、アイドルマスターのキャラに対するプレゼント、または育成アイテムに「究極と至高の一品」を提供できるイベント案を設計。そこに「美味しんぼ」のテーマや世界観を持ち込んで独自のコラボシナリオを展開。イベント設計や商品企画を考えるといったコラボ事例になるかと思います。

❸ビジネス上の提案を検討

ビジネスの再現性がありそうだとなった場合、次に検討する箇所はざっくりと下記の部分になりますが、そもそも契約可能なのか?が一番真っ先に知ることは❶でも触れた通りです。

ですので、ここの項目では契約できるよという前提で話を進めます。とは言え、ここの段階では下記のようなことを改めて精査する必要があります。

A:コラボ目標と目的は何か?
・売り上げ、集客

B:契約条件
・MG(ミニマムギャランティ)
・契約期間

 以後、復刻が可能かも含む。
・ユーザーの利用許諾範囲
 基本的にはユーザーの持ち物として利用できる契約にしておく。期間限定で消えるものは出さない方がいい。
・提供範囲
 国内、国外、PC、スマホ、ブラウザ、家庭用
・サービスの形態
 登場のさせ方、コラボのさせ方
・出資はあるか?
・収益、費用配分
・新規で作った要素の権利

・原作の許諾範囲
 イラスト、ストーリー、素材
・声優の許諾範囲
 基本的には新規撮り直し

・許される改変範囲
 どうしてもゲームにあわせた演出が必要な場合は
 一部原作にはない仕様を盛り込む必要があるため。
・制作物のチェックフローと期間
 ここ超重要、下手すりゃチェックで
 3ヶ月とか1年かかるものがあるため。
・プロジェクトの進行方法

C:プロモーション
・告知の協力範囲
・動画PRで使える範囲
・費用配分

とまぁ、簡単に並べただけでもこれぐらいは最低限考えて契約書を作ったり、プロジェクトを進行しないといけないです。

いずれも欠かせない要素ですし、あいまいにしておくとトラブルにすぐになるのも版権ものです。あとは原作ファンもそうですが、ゲーム側のファンにも受け入れやすい設計、演出を心がけていくこともすごく大事なポイントです。

❹形になって実装後、収益精算

企画提案〜契約締結〜開発進行〜プロモーション〜実装〜公開をして、コラボが終わった後は収益計算や支払いになります。

だいたいは契約締結時、MG(ミニマムギャランティ)というものが発生します。コラボ先に数百万円〜数億円支払って締結するわけですが、ここは先払いが多いので、キャッシュが必然的に必要になります。

その後は、実際にキャラクターコラボアイテムなどを販売したら、その総売上から手数料を差し引いて、両者で決めたロイヤリティをお支払いすることになります。

参考例ですが、スマホでコラボガチャを販売した場合、

▼Netの場合
総売上 × 決済手数料(30%) × RS(売り上げ配分:レベニューシェア)
例:売り上げ1000万円の場合、
×30% × 20%=140万円がロイヤリティでお支払い

で決済することが多いですが、Unreal Engineの利用料みたいに、Grossでレベニューシェア求められる、鬼のIPコンテンツも存在します。

▼Grossの場合
総売上 × RS(売り上げ配分:レベニューシェア)
例:売り上げ1000万円の場合、
×30%=300万円がロイヤリティでお支払い。
上と比較するとNetよりも2倍以上になります。

さらに別途で自社は販売手数料が取られるので
さらに300万円をプラットフォームに支払う。

これはめちゃくちゃ重要なので、契約時によく確認しましょう。

そうしないとドエライことになります。

それ以外では売り上げラダー式、プロフィットシェア契約などなど、いろいろな契約方針がありますが、それは細かいので今回は端折ります。

❺コラボは意味があるのか?という愚問

「コラボ案件って結局効果があるのか?」とよく聞かれますが、その質問自体は、「ゲーム作ることに意味があるのか?」「広告を打つことに意味があるのか?」というぐらいの愚問です。

当たり前ですが、「効果があるものを適切に選び、効果がある施策をすれば、間違いなく効果はある。ただし一発逆転で、やれば必ず効果があるというものではない」ということです。

いくら世の中が鬼滅ブームだからといっても、なんでもかんでも鬼滅コラボすれば商品は売れるのか?人が期待値以上に呼べるのか?というと、そうではないことと同じです。

効果があるものとないものが存在し、効果がないものでもチューニングして徐々に効果があるものに仕上げていっているプロダクトも多く存在します。

他社の奏功したコラボ案件の事例をまとめた記事がこちらになります。

❻他社が展開するコラボ事例の効果

コラボ効果においてはゲームであれば「パズドラ」「モンスト」「グラブル」のコラボ施策とトップセールスのランキング推移、売り上げ推移、ニュースサイトを見ればコラボと効果は素人でも一目瞭然です。

売れているものと売れていないコラボが存在しています。

また、ゲーム以外では、「ハリーポッター」のIPを持ち込んだ、テーマパークのUSJの大復活劇と、USJの今の業績を見れば、コラボ案件やIPを用いた展開と取り組みがどういう効果をもたらしているのかはさらにわかりやすいものと思います。

USJに関しては森岡剛さんの本でも語られていますので、それを読んでもいいです。

繰り返しになりますが、効果があるものをしっかり仕込んで準備して、再現度が高くいけば、抜群の集客の呼水にも売り上げにも貢献します。

ただしそこにはリスクも伴うため、小さくテストしてチューニングを行いながら、実績があるものに持っていく。効果が少ないものは取りやめると言ったビジネスの基本であるトライ&エラーがマストだということです。

コラボには、MGなりロイヤリティなりいろいろと準備やお金もかかりますので、リスクも覚悟の上でやらないと、なんでもかんでもやればいいんだというのも間違いですし、コラボなんて効果がないよという考えも短絡的で間違えているということです。

ご利用は計画的に。

【執筆者:うきょう】
自立を目指す方へのビジネス全般をサポート。
経営者・事業者、プレイングオーナー向けに売上コミットをサポートする社外プロデューサー&ディレクター|PlayLife代表|売上向上講座を毎週開催|ゲームプロデューサー21年。日中台韓で50作品以上リリース、Han Game売上No1実績|Softbank〜LINE出身|代表作:チョコットランド、アトリエオンライン
PR&マーケティング実績:2019年、2020年 クライアントの教育サービスにて e-larning Award 2年連続受賞
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