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中小ゲーム会社が収益を上げ続ける秘訣は?

ゲームプロデューサー、うきょうです。

年末です、年の瀬です。

毎年この頃は何かが起こりますが、今年は私は生まれて初めて少しだけ穏やかな年末を過ごしているのではないかと思っています。というか、すでにいざこざは10~11月と早い段階でやってきたのでもう放置です。

それはさておき、

この時期はいろいろとお忙しいと思います。経営者の皆様を始め、現場で働く皆様もお疲れ様でございます。

さて2020年はと言いますと、全体的にみるとゲーム業界は活況な年だったと思われます。普段ならばリピートが入らないようなコンシューマタイトルも継続して売れていたり、サービスインしているアプリゲームも全体的に好調に推移したと感じています。

今年のスマホ業界はコンシューマ含めてですが、原神が群を抜いて記録を塗り替えた年だったと思いますし、アニメは鬼滅が大進撃ですね。

ハイクオリティの全身全霊タイトルがビッグヒットした一年でしたね。

いやぁ、すばらしいです。

2021年からはより売りにくくなる

一方で広告価格が釣り上がり、費用が上がったのも2020年でした。2021年には広告関係ではリターゲティングがやりづらくなるので、広告コストはもっと上がっていくので要注意です。今まで以上に商品が売りにくくなっていきます。

その話はまた今度。

今回のお題は中小企業がゲーム開発分野で収益を上げ続けるにはどうすればいいのか?について書いてみたいと思います。


❶ゲーム開発の費用対効果は悪い!

話を戻そう。

2020年、コロナ禍ではありましたが、ゲーム関係は巣篭もり需要で市場が活況でした。しかしながら、ゲーム開発というのは例年通して費用対効果は非常に悪くなりがちです。

ゲーム開発(自社開発、自社パブリッシュ、自社運営の場合)をビジネスの投資回収率という視点で見た場合、とても手間のかかる割りには収益性が非常に不透明かつリスクが大のため、投資対象としては不適合だなとよく思うことがあります。

ゆえに今や大ヒット作品の開発を手掛けている大手ゲーム会社の社長さんであっても、「最初から自社開発でゲームなんかに手を出すんじゃない」と口を揃えて言っていますし、これは僕も言葉に嘘はないと断言できます。

仮に数本そこそこのヒット作を飛ばしたところでも、その売り上げが持続するのも一瞬なので、ゲーム開発をすれば速攻で予算が溶けていきます。

売り上げを上げるために新規を作らなくてはいけないが、新規を作るために膨大や費用がかかってしまい、売れる保証もなければ売れなければ赤字確定になる。通常だと恐ろしいことです。

❷仕事として選ぶ理由は好きだから

しかしながらゲーム開発をやることには理由があります。

というのはロマンが詰まっているからです。クリエイティブ行動、創作活動が好きな人にとっては、創り続けること自体が最高の報酬であり、好きなことをし続けられるということは投資回収とはまた別の幸せや喜びが詰まっていることも確かなんです。

この感覚、あなたも好きなことに熱中しているときなどはそう思えるところがあると思いますが、それと似たような感じだと言えます。

そして当たればまたでかいので、そういうロマンを見ているところはあるかもしれませんが、後者の「当たればでかい」はコントロールができない範囲なので見込みが立てられない。

ということで、開発会社をやっている方、会社さんの多くは、いろいろなリスクを計算に入れながらも、創ることやお客様にプレイして喜んでもらえたり、自分が納得いくようなクリエイティブができた時に嬉しいからやっているんではないかと思っています。

私も少なからずともその一人だと思っています。

❸成功確率?そんなものはない

「ゲーム開発って不安定極まりないんじゃないですか?」と思われちゃうかもしれませんが、実際問題その通りです。

当たり前ですけど、安定なんてありません。

100%作って売れるんだったら誰もがやってます。

でもそれをやると、みんなが「ドッカンバトル」作っちゃうみたいになるので結局売れなくなっちゃう。

一見、華やかに見えたり楽しそうに見えるけど、実はとてつもなくリスクが大きく、不安定です。

「このゲームの成功確率はどれぐらいですか?」なんて、株主総会とか役員会とか投資家からも良く言われますけど「神のみぞ知ってます」って返しちゃいたいところが山々なんですけど、そう言うとお金かしてくれない(笑)。

ゆえに、できる限り売り上げが出るロジックを組み立ててから、これぐらいはいけそうだなという要素を積み上げていくことをやります。

❹開発会社として収益を上げつつ存続する秘訣は?

◆方法論1:ローリスクローリターン
シンプルな方法は、受託会社といった感じで、自社パブリッシュをしないで受託した業務をやっていくことです。場合によってはSESや、受注してからの派遣も行うスタイル。人材紹介で伸ばすパターン。

基本的に自社パブリッシュをしなければ、売れない心配はないのでリスクは0です。なのでまずそれが1つの方法論ですが、自分の作品は持つことは難しくなるデメリットはありますね。

とは言え多くのスタートは受託を受けながら地道に資金をためつつ、採用を行い、時間を見て自分の作品をコツコツ作っていく。それが実は一番堅実な道でもあります。


◆方法論2:ハイリスクハイリターン
その次は、有名IP(ゲームとの親和性が高いもの)を手掛ける権利を得るということです。なぜ有名IPなのかについては、詳細は省きますが、オリジナル作品を作るよりもいろいろとゲームデザイン、マーケティングコスト、世界観の設計含めて多方面でショートカットできるからです。しかも集客しやすいし、孤軍奮闘しなくて済むからです。

もちろんいろいろな業務上の手間や収益性はオリジナル作品と比較するとかかってはしまいますが、大きくどーんといく可能性が模索できる点ではこの方法論が確率は高いかもしれませんね。(うまく開発できるという前提になっちゃいますけども・・・)

この部分でのポイントは、どのIP(知的財産)と組むのかということと、出資比率と利益配分はどうかということ。お金の出どころはどこだ?という部分です。

規模間によりけりですが、有名IPを利用したゲーム開発はアプリでも開発費だけでも5億以上、家庭用ではその2〜3倍が最低でもかかる見込みです。その回収期間もおおよそ2〜3年ぐらいになりますが、その収支見込みが独自で立てられないもの、このサービスがこけたら会社を畳むという場合は正直手を付けない方がいいかもしれません。


◆方法論3:スーパーローリスク、スーパーローリータン
小さくスタートする。

・小さくスタートする方法はいくつか手段があります。例えば、自社開発で少人数で実現できるゲーム性のものを小さくリリースすること。

・それ以外では、すでにあるゲームを買取って自社運営や自社発売すること。マーケティング努力は必須です。

・他社のサービスに開発として関わりながらロイヤリティ収益を得る、など。

いずれにしてもポイントはある程度収益性が見込めるものに手を出すこと、費用や極力抑えること。コツコツやっていくこと、になります。

この秘訣って別にゲーム会社やゲーム開発に限らず、会社の運営においても同じことが言えることなので、共通点は多いです。

ゲーム開発で収益を上げ続ける秘訣はあるか?

まずはゲーム開発はヒット作を同じように継続して出せるかというとNOです。ヒット作の再現性は極めて低いと言える。

ゲーム開発は曖昧かつ言語化が難しい、創る人によって完成したものにばらつきが出るからですね。

しかしながら再現性が低いということはそれだけ俗人的、または会社やチーム、集団としての文化的背景や価値観、こだわりが出やすい。真似しづらいということにも繋がると思います。参入障壁が高いとも。

しかしながら今はかなりのデータや技術も蓄積されてきていますので、うまく成長させるために必要なバックボーンの構築、メソッド、開発進行方法、技術的な要素、組織力、マーケティング力などは再現しやすい要素とも言えます。

それは私自信が数十タイトル以上を立ち上げたり運営を経験してきて実現できたことでもあるからです。ゲームそのものを大きくヒット作として作り直すことは難しいですが、今ある作品を限界値まで成長させることは後からでも可能だと言うことです。

ただ、パズドラやモンストのような大ヒット作品の再現ができるかと言うと、それはまた別のロジックや考え、時代的なタイミングも必要になってきます。

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