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【データ】100タイトル以上で使っている分析データの作り方、用語の定義、活用事例

フリーゲームプロデューサーうきょうです。

今回は、ゲーム開発の現場でもよく使う
数字や、用語の定義、
そしてその活用事例をご紹介しようと思っています。

✅本noteの目的と活用方法
・基本的な分析データの作り方
・言葉の定義の共通認識
・その活用事例

✅できること
・最低限必要な数字を把握できる
・数字の見方が分かるようになる
・ユーザー動向が把握できるようになる

これを読めば最低限、目の前にある
ゲームのバイタルデータがわかるようになり、
最低レベルでのPDCAが回せる指標になります。

また各施策を実装した時、影響度の大枠を把握できるようになりますので、さらなる分析をする際の叩き台としても利用できます。

できればプロジェクトメンバーは全員これを把握した上で、毎日の業務に取り組むことで、目的に沿ったアクションだったのかなどの振り返りにも使いやすくなるかと考えています。


1:ゲームの最低限必要なデータを把握する

いろいろな分析ツールがありますが、
どの現場でも、基本的にはこのような
数値を毎日取得していると思いますし、
指標にして目標設定をしていると思います。

よく言葉に出てくるKPIってありますが(Key Performance Indicatorの略)で、「評価指標」の意味ですね。ソシャゲ全盛期に頭のいい人たちが使い始めてメジャーになった用語ですが、 計測・監視するための定量的な指標です。


何れにしても、
まずは総論から各論へとご紹介していきます。

よく使う指標と最低限の数値群です。
※本データはダミー数字です。

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※ 後述しますが、DAU、WAU、MAU、それぞれに記載されている「PU」は計測方法が異なる点に注意

2:各表の解説

資料1:日次データ指標です。
資料2:週次データ指標です。
資料3:月次データ指標です。

基本的にはこの3つの期間に分けてデータを取得することが多いです。各種用語解説は後述しますが、先に指標と用途のご紹介です。

■資料1:日次の指標
日々の動きを細かく見るために利用するベーシックなデータ。

・急変した時にわかりやすくなる、
・日々のアップデート、メンテナンス、
 広告など外部要因の影響が目に見えやすい。

▼事例
・メンテナンス時間が長いとその日のユーザー数が減る
 ▶︎時間を減らす体制を作ろう。
・アップデートしてUUが増えても売上が上がらない
 ▶︎イベント参加率が低いか、売り物が悪いか、
  報酬が悪いか、次の分析に回す


■資料2:週次の指標アップデート
週とアップデートがない週などで比較する際などに利用。

・小さい中期の変動を見るためによく使う。
・月のどの辺りが一番活発になりやすいかを見る

▼事例
たとえば、大半のタイトルでは月に販売施策を絡めるイベント、キャンペーンが月末〜月初と、月中の最低2回を設置することが多く、それ以外の週のアクティブユーザー数や、売上をできる限り平準化するための指標として利用することが多い。

▼数字上の注意点
中でも注目すべきは【週次のアクティブユーザー数(WAU)、PU(ペイユニークユーザー)】(重複しないユーザー数のカウント)であり、ゲームの血脈となることが多い。日次の合計ではない点に注意。しかも一般的なツールでは正しく計測できていないことも多いので、意識して採取をしないと正確に取れないことが多い。
■資料3:月単位の指標
月単位は主に運営方針、経営方針にまで影響を与える大事な指標。いわゆるこれがこのゲームの成績表みたいな感じで振り返りをすることが多いのですが、必ず日次、週次データでマクロとミクロの視点で分析、振り返りをする必要があります。

・経営会議や役員会、損益計算や利益率、
 キャッシュフロー算出時でも一部数字を利用する。

▼数字上の注意点
こちらもアクティブユーザー数(MAU)は、日次の合計ではない点に注意。集計方法が異なること。


3:取得しているデータと用語の解説


<日、週、月、時系列系>


日次(daily) :
1日単位、基本的には0:00~23:59までを指すことが多い

週次(weekly):
1週間単位、日0:00〜土曜日 23:59までを指すことが多い

月次(monthly ):
1ヶ月単位、1日0:00〜月末最終日23:59までを指すことが多い。


<ユーザー指標>

【よくある間違いと注意】
ユニークユーザー数とは、重複しないカウントです。重複したカウントをする場合は必ず別途採取して、各種指標を計測します。

たとえば、週次や月次のアクティブ数は、日次の合計ではないことに注意が必要です。

■ユニークユーザー
 重複しないユーザーの合計数値。
 1日のうち、一人が2回アイテムを購入しても、
 ペイユーザー数は1とカウントする。
 ゲームの現場では比較的重複カウントなしの数字を採取することが多い。
 合計購入者数を指す場合は別の指標を使うことが多い。

■DAU
・デイリーアクティブユーザーの略
 日単位でゲームにログインした重複しないユーザー数の合計数値。

■WAU
・ウィークリーアクティブユーザーの略
 週単位でゲームにログインした重複しないユーザー数の合計数値。

■MAU
・マンスリーアクティブユーザーの略
 月単位でゲームにログインした重複しないユーザー数の合計数値。

■PU
・ペイユーザーの略。
 有料アイテム購入者数のこと。
 重複しないユーザー数の合計数値。

 日次の場合は1日単位でのPU
 週次の場合は1週間単位でのPU
 月次の場合は1ヶ月単位でのPUをカウントする。

■SALES
・合計売上金額

■ARPPU
・課金者一人あたりの平均購入単価
 SALES/PUで導き出す。

■NewAU
・新規でゲームにログインした人の数
 詳しくデータをとる場合、
 NPUという指標を作り、
 完全新規でログインした人かつ、
 購入者のユニーク数をカウントする。


<補足>

■離脱者数
・今回の数字には記載していないが
 ゲームをログインしなくなって
 特定日数ログインしなくなったユーザー数のこと
 離脱者数は計測することは珍しく、
 どちらかというと継続率や離脱率として割合で計測することが多い。

■離脱率
・例えば、チュートリアルをクリアせずに離脱した人の割合を示す


4:データの採取方法について

データの採取方法ですが、ゲームに埋め込むツールであれば、何でも構いませんが、最近だとfirebaseが一般的です。

広告代理店が所持している各種ツール、AdjustやAppsFlyerなどでもいいと思います。google play consoleやApp Store Connectでもある程度数字は取れますが、正確な数値などが異なったり取れなかったりすることもありますので、独自で分析ツールなりDBからデータを採取できる様に仕込んでおく必要があります。


5:広告分析ツールとの連携、ゲームデータとの連携を視野に入れておく

今回は深くは触れませんが、各種数値はより精細な分析や、ユーザー別に施策を考えるときのために、広告分析ツールや、各種ゲームデータとの連携を視野に入れた開発をしておく必要があります。

具体的には、特定のイベントに参加した人の参加回数、課金率、最近の同行、プレイ時間、起動回数、課金回数、フレンド数、クエストクリア率、プレイヤーLv、問合せ数など、いろいろなデータと内部的に紐づけられておくようにするとより今後の展開も分析もしやすくなるからです。


6:各種ツールを利用する際に自社内で定義をもう少し細かく決めておこう

基本的にデータは嘘をつきませんが、嘘つきはデータを使う。

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基本的にデータは自分がいいように編集してしまいがちなんです。

また、各種ツールは充実していても、それぞれ定義がやっぱり異なりますので、自分たち、数字を扱う人たちは、この数字はどういう定義なのか?という共通認識を合わせておく必要があります。


今回取り扱ったのは本当に基礎中の基礎の数字ですが、これをベースに最低限の同行や流れ、施策、キャンペーン、イベント、アップデートを準備したり、その計測の目安を知ることが可能です。


さいごに

繰り返しになりますが、ゲームは数値が取れやすくなっていますが、数字に振り回されないことと、数字を短絡的に捉えすぎないことがとても重要です。

ゲームとは長期的な関係性を顧客と作り上げていくことで、長期的な利益をもたらしてくれるものであり、ブランド化に向けた第一歩になるものです。

事実、ビジネスで一番重要な指標はLTV(ライフタイムバリュー)です。

たまに現れる、クソみたいな人が短期的な売上施策にだけ突っ走って利益が上がった、ランキング1位だ、それは俺のおかげだ、とやれ騒ぐ人もいますが(そりゃ確かに嬉しいですけども)、それはユーザーからしたらまったくもって関係ないことです。瞬間的だし。

そんなことよりも、ユーザーにとってみれば、好きな作品が長期的に楽しませてくれるものであり、たくさんの知り合いと一緒に楽しんだり思い出になっていくことが一番望んでいることだと思います。

私自信も長期的に続く作品作り、長く愛される作品作りにを意識して関わっていますので、そういう気持ちや楽しさ、自分自身がやってよかったなと思えることに注力をしたいと考えております。これが私の利益と理想の実現という価値観でもあります。

【執筆者:うきょう】
ゲームプロデューサー & 事業プロデューサー。ソフトバンク、LINE、NHNを経て2回目の起業。オンライン、オフライン問わずに幅広い職種でも対応できる事業戦略や商品、集客企画が強み。ご質問があれば下記まで気軽にご相談ください。

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