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ゲーム開発の炎上案件、下からヤるか、上からヤるか 〜プロデューサーは眠らない〜

フリーゲームプロデューサーのうきょうです。

開発現場、とくにリリースに向けての
新規開発案件はよく燃えます
いろいろな意味で。

やる気の場合もあるし、
シンプルにプロジェクトの場合もあるし。

さて今回は、
私が何度も経験している
うまくいかない開発の現場
炎上している現場、

すなわちデスマーチが
延々と繰り広げられている現場にて
商業的に失敗しないためには
どこから取り組むのか書いてみたいと思います。

下からヤルか?
上からヤるか?

この場合、
ほぼ上のレイヤー(上流工程)から
叩き潰さないと解決しません。


開発フェーズによって
リカバリー確率が大きく変わる

新規プロジェクトは
基本的にはこんな感じで進みます。

α版とβ版については
数回繰り返すことも当然ありますが
上流工程であればあるほどに
炎上には気づきづらいが、立て直しもしやすい。

逆にプロジェクトが進行しすぎていて
仕上がったものがやばい!ってなったときは
結構とき遅しの状態が多い。

少なくとも巻き返すならば、


<新規プロジェクトの主な流れ>

これの若い番号が上流工程です。
上流工程とは、システム開発・設計において
最初に行う初期の段階のことですね。

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実は開発前の選択で
失敗確率がある程度決まる

これいったいどういうことか?

物事の成否は”準備が8割”と言います通り
準備段階で成功確率はある程度
決まってしまうということですね。

マーケティングの事例では顕著に出ますが、
開発案件においても似たようなことが言えます。

過去取り組んだり、各種事例を見てきて
高確率で失敗する事例を書いておきます。

ここでいう失敗とは、商業的に失敗すること、またはリリースまでたどり着けないことを指します。

これをしてしまうと、失敗しやすいという事例を書いておきます。


市場選択に失敗している


少しマーケティングの観点にもなってくるのですが、この時の市場選択とは下記の要素を指したものです。

・「オリジナルかIPか」(IPの選び方)
・「ゲームジャンル」
・「配信プラットフォーム」
・「配信地域」

です。

これが開発内容にもとてつもなく大きな影響を与えてくるので、この要素の選び方はとても重要です。

◆「オリジナルかIPか」(IPの選び方)
◆「ゲームジャンル」
・世界観とシステムを意識する

IP(版権)を選ぶとその時点である程度、ゲームのジャンルが決まりますので、選び方は要注意です。その理由は、そのゲームの世界観を意識した設計になるからですね。
仮にこれは世間的にはすごい人気だ!だからゲーム化しようって言っても、その題材がとてつもなくゲームとして不向きであれば避けた方がいいということです。

一方でオリジナルの作品にする場合であれば自由度は高いので、好き勝手に作ればいいとは思いますが、ゲームジャンルの選び方は、プラットフォームや配信地域によって好みも変わりますので慎重にする必要があります。

中小企業がやってはいけないことは、その国で流行っていないものを独自に無理やり流行らせようとすることです。無理やりとは例えば広告費、ゲームのクオリティで突破しようという考え方のことです。

基本的にいいゲームを作れば売れるのではないか?というのは幻想であり、また広告費を使って新規市場を開拓するのは並大抵の労力では達成できませんことをあらかじめ肝に命じておくべきです。

莫大な企業、世界的IP、世界的な開発バックボーン、資産などがない場合以外は新しいチャレンジは基本自殺行為です。

位置情報系ゲームを流行させた「ポケモンGO」

位置情報系ゲームの大成功事例が後にも先にも1つ目がこれ。位置情報系ゲームは基本的にマネタイズが極めて難しい上に、ゲーム分野での市場がないところからのスタートだったが世界最強のIP「ポケモン」と、Niantic, Inc.+Nintendoだから実現できたと言っても過言ではないタイトルです。

その後にリリースされた位置情報系ゲームでは「ドラクエウォーク」がありますが、それぐらいの世界的IP+技術は開発力とプロモーション力がないと達成が極めて難しいです。

◆配信プラットフォームの選択
・顧客層と商品設計を間違えないように注意

例えばsteamにスーパーカジュアルのぽちぽちパズルや元祖ソシャゲを配信したり、LINE GAMEにハードコアな3Dアクションをリリースするのはターゲット層が異なりますので売れなくなります。

まずはどこで配信するのかを意識してから、その場所にいるお客さんにあったゲーム性を用意しないと、顧客にあわない商品を提供してしまうということが起きてしまいます。
◆配信地域によって設計が異なる
・文化、法律に注意

世界配信を意識して設計しているのであれば、言語切り替えやローカライズのやりやすさをあらかじめ想定して設計する必要もありますし、課金設計に関しても地域ごとの特製にあわせた作り方をする必要があるからです。

特に欧州はガチャ禁止だったり、アジア圏や欧米はガチャがそこまで好まれないので、そこに頼りきらないゲーム性、フロー体験、商品設計を用意しないと商業的に失敗しやすくなります。


スタッフ選びに失敗している


ある程度配信地域、配信プラットフォーム、作りたいジャンルなどが決まったら、次はそれを実現するためのチーム編成が必要です。

1つ確かなことが言えるのは、失敗しやすい事例、苦労しやすい事例ということで書いてもいますが、下記の点に注意が必要です。


NG事例:その分野で経験がない人しかいない場合 

正直その分野で開発をしたことがない人しかいない場合、完成させるのはめちゃくちゃ厳しい。クライアント側はなんとかなるかもしれないが、運営型の場合はサーバー設定で失敗することが本当に多い

個人的な失敗事例
これは海外のクリエイターと共同開発をしたときにも体験したことでしたが、ゴリゴリのエースプログラマーがいた場合であっても、運営型が初経験だった場合、どうしてもヒエラルキーがエースプログラマーにひっぱられて失敗した事例がありました。
ハードコーディングしまくられたクライアントに従うようにサーバー開発が行われており、とても運営ができるような大勢ではなく、バグが頻発して大失敗しました。

これは後日コードレビューして分かったことでしたが、事前にテストとレビューが適切にできなかったことが失敗した点だと反省しています。あまりにも美麗なクライアントができすぎてしまうと、盲点に気づかなくなる、また、運営フェーズに合わせたテストが開発段階からしづらいというのも課題ですね。
そして当時のサーバー担当も一人、かつ運営型は未経験だったので、そんなんでいいだろうという雰囲気で開発が進行していたことも問題でした。

それは運営を想定した作りになっていないからだし、それを想定した適切な仕様が上がってこないことも原因として上げられるから。

例えばソーシャルゲームしか作ったことがない人が家庭用ゲームを作ったり、スマホアプリを作ること。その逆もしかり。

そもそもこの2つは商業的に作り方が全然違う。これを知らないまま経験あるから余裕っすよ!なんてやってしまうとあら大変! まぁ完成しない。


◆スキル不足は深刻なエラーを引き起こす

特にスキルが不足している場合は深刻なエラーや適切なビルドが組めないので完成はできないことも多い。

これを防ぐためには、定期的にコードレビューをするなり、デザインや仕様においても第三者からの多角的な視点でレビューをする必要がある。

これは一概には言えないから誤解ないようにお伝えしますけど、頭数だけ調整して法外な開発費をぼったくる外注には丸投げ委託しては絶対にいけない。その時点で失敗はほぼ確定だと思っていい。必ずスキルと責任の所在、経験、ディレクタースキルとそれぞれの開発範囲は確認すること。

そしてこれは何も外注に限らず、自社開発でも同様のこと。


NG事例:しっかりタスク管理と状況把握、管理ができるディレククション能力がない場合

どんなに優秀なプロデューサーやプログラマなどがいたとしても、それが点でバラバラに開発されていてはまったくもって意味がない。すべてはそれを結合し、サービスとして、ゲーム体験として面白いと思えるものでなくてはいけない。ここは本当にディレクションスキルがめちゃくちゃ要求される。

これはそもそも外注スタイルでの開発においてもそうだし、リモートワークにおいてもその手腕はとても大事。今もっとも貴重な人材とも言えますね。


NG事例:権力を振りかざす決定権がある人がいる場合

ゲーム開発においてはこの部分は凶にも吉にも出やすいが、運営型ゲームの場合は凶に働くことが極めて高い。というか成功事例をあまり見たことがない。

というのも、いいところだけをみようとし、自分の再現したいところをひたすらそのままにクリエイティブとして残すことだけにこだわるからである。

これはとても厄介な話で、口出ししようものなら劣化の如く怒り、自信のプライド高いクリエイティブを崩されることに対して匙を投げたがる。こうなるとどうなるか、もうこの時点でプロジェクトは崩壊する。

ゆえに、炎上案件になっている場合に関してはこのような人に問題追及をしても意味がなく(把握していない、把握できていないことが多い)、現場担当と新しいリーダーを迎え入れて立て直しをしない限り、立て直しが効かないからです。これは断言できます。


立て直すためのまとめ


結論からですと、
どんな状況であったとしても、
一度上流工程から見直していきます

その理由は、
なぜそうしたのか? 
どういう意図があるのか? 
何をもって今の状態に
なったのかを把握するため
です。

それを関係者全員で把握して、
問題がある要素を抜き出し、
修正、調整をしていくことになります。

すべての物事において、
意図と前提を確認することは超重要です。

そもそもこれをしないで、
目の前にある問題点を片付けようとしても
まずうまくいかないからです。

その後、
上記の失敗事例と状況を照らしあわせてみて、
やばそうだなと思う要素を取り除いていったり、
チェンジしたり、補正するところから始めます。

そしてから
ロジカルシンキングなどを駆使して
最適な着地ポイントを
費用、納期、工数で
見合わせながら
落とし込んでいく作業が必要になっていきます。

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