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引退したユーザーが再定着する確率は3%以下

フリーゲームプロデューサー、うきょうです。

さて、去るものは追わずとは言いますが、
これはゲームの世界でも同じです。

今やオンラインゲーム 、アプリゲームは運用型が主流で、アップデートしながらできる限り長期運用をすることがお約束になっています。

しかし、一度心も身体も離れてしまったユーザーが、何かのきっかけで再度そのゲームに戻ってくることはあっても、そこから定着して継続プレイし続け、さらに課金し続けていただける「再定着」する確率は極めて低いことも事実です。

「再定着の定義」
この記事内では、一度6ヶ月以上引退したゲームにひょっこりカムバックし、そこから3ヶ月以上持続してゲームをプレイし、さらに課金も継続して行う状態になること。

短期的なKPIだけでは判別しづらい時代

そもそもアプリゲームは翌日の残留率が約40%〜70%ぐらい、21日継続率でも30〜60%ぐらいの範囲に収まるものが多いですが、今のゲームは短期的な指標だけでなく、マンスリー、へたすれば3ヶ月単位でのアクティブ比率や課金率、課金回数などを見ることもよくあります。

理由としては、人はみな忙しすぎるからということもありますが、ゲームの運営方針によってはそういう運営方式もあるゲームがあるからです。

また、可処分所得もそうですが、可処分時間、可処分精神の配分もどんどん細分化、分配され始めているので、1つのコンテンツに対してどっぷりというわけにもいかなくなっている背景があります。


カムバック率が最大化する絶好機とは?


1つは周年イベント、2つ目は大作コラボ、3つ目は年末年始です。

どのタイミングでも共通することはゲームが効率よく遊べるタイミングであること、有料相当ポイントがばら撒かれること、強いキャラや目玉キャラクターが登場する機会が多いからです。

中でも今は持続的な盛り上げ、定期的な盛り上げをあえて作るために、ハーフアニバーサリーなど、年に2回の周年イベントをやるゲームが多くなってきました。

人は記念日が大好きなので、PRやマーケティングにも有効ですし、ただのアップデートと打ち出すより、「周年記念アップデート」と露出する方が通常の10〜20%以上は広告の反応もよくなることが多いです。売り上げも上がるし、アクティブユーザーも増える。

つまりここがカムバック率が最大化するタイミングになることが多いです。

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今だと定番のハーフアニバーサリーや、サービス記念日キャンペーン。兎にも角にもキャンペーンの嵐。恋愛ADVは毎月のようにキャラのバースデーイベントがそれに近いのかもしれない。(上の画像はエピックセブンを参照)


一度離れたユーザーは戻ってこない
ゲームに不満がなくてもやめてしまう事例


しかしながら難しいのはここです。一度ゲームをやめてしまって、しばらくプレイをやめた方というのは、そのゲームに不満がなくても再定着することが少ないのも事実です。

例えば、カムバック最大期で半年以内にやめた人の30%が戻ってきたとしても、さらにそこから再定着するユーザー数は1〜3%ぐらいになるからです(経験則のものから参照)。

おもしろいですよね。

ゲームに不満がなくてもやめちゃうんですよ。

いったいどういうことでしょう。後述します。


ゲームに不満を持っている人はすぐに離脱する


この場合はシンプルにわかりやすいです。

仮に盛り上げ施策で戻ってきたとしても、自分が満足する内容にゲームがなっていない場合、特典などだけかっさらって、ガチャを回してプレイすらせずにすぐにやめてしまう傾向が大半を締めます。もしくは特典だけもらって休眠アカウント化するか、ログボアカウント化します。

結局のところ、ユーザーが求めていることとゲームの品質やシステム、運用方針にギャップがあったのでやめてしまうケースが多いので、特典をもらってプレイしないことが継続するだけの、比較的普通におこりうる事例です。


ゲームに不満はないのにやめてしまう事例


実は最近この事例も多くなっています。

その作品は好きだし、ゲームも好きだし課金もめちゃくちゃしている。けれどもいきなりぷっつりやめてしまうことがある。

ヒヤリングしたらゲームに不満はない。むしろ満足しているし、キャラクターも作品も大好き。一体どういうことでしょう? と思いますが、1つは満足度をみたしすぎて疲れてしまうことが1つです。

不満はないというのは若干語弊がありますが、やりきった感を達成しすぎてしまうと、この状態になり得る可能性が高くなることもありえるということです。

もう1つは、やりきった人たちはかなり熱心に遊んでいるので、ゲーム内での交流も盛んに行っています。それゆえ、同じように高みを目指せるコンテンツが他に現れた場合、集団でそちらに移譲することも見られるわけです。

これは競争型ゲームだったりFPSの世界ではよく見られた光景だと思います。

ただ彼らは盛り上げ施策の時は集団で戻ってきてくれる可能性も多いのですが、結局すべてをやりきって終わったらまた出て行ってしまうので、再定着する可能性は極めて低いというのが経験則からも言えることです。

やり切った感の達成しすぎは通常プレイを阻害する原因にもなる。例えば「経験値何倍!」などの行きすぎは通常プレイを阻害するに十分な影響を与えます。バランス大事です。

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一番大事なことは何か?


繰り返しになるのですが、長期的な視点を持って、運営、収益構造を、事業体制、運営指針を据えておくことです。

ここ最近は短期開発短期回収という博打みたいな回収スタイルが一般的でしたが、今は比較的1つのサービスを長くやって、顧客のファン化、欲しいものがあったときにしっかりと商品を買ってもらうという考えが多くなってきました。

一方で満足度離れをされてしまうのが一番の機会損失でもありますので、できる限りそこが起こらないようなコミュニケーション、サービスの充実も力を入れていきたいところでもあります。

ただ、特定の人たちの意見を意識しすぎて、近視眼的に部分最適をすることは長期的にはデメリットになることもありますので、バランスを保ちながら運用することが重要ですね。


おまけ

私が過去関わったタイトルは10年以上サービスが続いているゲームが5〜6本あり、5年以上離れていたけど大人になったので戻ってきましたとかいうお客さんもいて、まじ侮れない!って思ったりしています。

さすがにそこまでの長期運営をして戻ってきてくれた事例はあまり多くはありませんが、今後そういうことが大事になるのだろうなとも思っています。

その一部がこちらにまとめています。興味がありましたらお願いします。




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