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障壁を乗り越え、Sales Markerが急成長を遂げた4つの理由

こんにちは、株式会社Sales Marker代表取締役CEOの小笠原 羽恭です。

本日8月29日は、私の初の著書『インテントセールス - 米国企業の6割が実践する興味関心[インテント]データを活用して売上を伸ばし続けるための最先端モデル』の発売日です!
この日を迎えられてとても嬉しく思います。

そして、2週間にわたり社内外さまざまな方にご協力いただきながら進めてきた「インテントセールスアドベントカレンダー2024Summer」も、ついに本日が最終日……の予定でしたが、好評につき、なんと9月5日まで延長することが決定しました!

多くの方々にSales Markerやインテントセールスについて発信していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
8月16日に「インテントセールス」や「私たちの目指す未来」などについてお話しした記事を公開しているので、まだ読んでいない方はぜひそちらから読んでいただけると嬉しいです。


今回は、私自身の原体験やキャリアの話を交えながら、なぜ起業に至ったのか、そしてSales Markerが急成長を遂げた理由についてお話ししたいと思います。


株式会社Sales Marker創業に至るまでの原体験

夢を抱き始めた子供時代
子供時代はとにかく虫取りが大好きで、休み時間になると、いかに早く草むらに飛び込むかが私のKPIでした。
たくさんの虫を熱心に飼育していたのですが、特に好きだったのがカマキリでした。

いきなりカマキリの話?と不思議に感じたと思いますが、実はこの虫取り少年だった原体験が、現在の小笠原 羽恭や、起業につながってくるんです。

ある日、NHKの番組で「地球温暖化が進行するとカマキリが生息できなくなる」ということを知り、衝撃を受けました。大好きなカマキリがいなくなるかもしれないという思いから「何としても自分が解決しなければ!」と子供ながらに使命感を持ちました。

すぐに地球温暖化について調べ上げ、CO2を削減する装置のアイデアを作文にして県に提出。
そのアイデアが県から表彰され、クラスメイトからも褒められたことで、「自分のアイデアで社会課題を解決したい」という想いが芽生えたのです。

もともと、エンジニアとして働く父に憧れ将来はシステムエンジニアになりたいと思っていました。
父が自宅のパソコンをすぐに修理してくれた時のかっこよさは、今でも鮮明に覚えています。

子供時代の経験と父への憧れにより、「ITで社会課題を解決し、世界を変える」という夢を抱くようになりました。
そんな想いからエンジニアを志し、コンピューター・サイエンスを学べる大学に進学しました。

起業のきっかけと今でも変わらない私の原動力
叶えたい夢が明確だったので、大学2年生頃には3・4年生に紛れて就職説明会を受けたり、インターンシップに参加するなど、かなり早めに就職活動を始めました。そして、「未来創発」というビジョンに共感し、新卒で野村総合研究所(NRI)に入社。

エンジニアとして金融機関向けの基幹システム開発や新規事業の企画立案を担当し、さらにNRIと野村ホールディングスのジョイントベンチャーを立ち上げながら、ブロックチェーンのプラットフォーム構築にも携わりました。

仕事に全力で取り組みながらも、休日は同僚や大学時代にインターンシップで出会った仲間たちとチームを組んでハッカソンやビジネスコンテストに出場し、アプリ開発に情熱を注ぎました。

そんな中、起業を考え始めたのは社会人2年目のころです。

NRI入社後、周囲の方々から「小笠原さんは起業しそうだね」とよく言われたことや、会社の設立や新規事業開発に携わったことで「自分のアイデアで社会課題を解決したい」という子供のころから抱いている想いがさらに強くなったことがきっかけでした。

そして、ハッカソンで得た経験も、起業の原動力となりました。

作ったプロダクトは全部で9つ。洪水が発生したときに最も安全な経路で最も迅速に逃げられるアプリケーションや、一部の都心に住む人しかデリバリーサービスが利用できなかった時代に作った、郊外の高齢者なども使えるデリバリーサービスなど、どれも私なりに社会課題の解決を目指し作り上げたものです。

アジア大会で優勝(3冠獲得)し、実際に企業から出資のお声がけいただいたこともありましたが、結局どれも1円も生み出すことはできませんでした。
エンジニアとして、サーバーサイドもフロントエンドもフルスタックで対応できるスキルはあったものの、プロダクトを作れることとビジネスを作れることはまったくの別物と痛感。
「技術力だけでは世の中を変えられない」と自分の力不足を感じ、ビジネスの経験を積む必要があると思いました。

そして、経営コンサルタントとしてビジネス戦略を身につけられる環境を求めてベイカレント・コンサルティングというコンサルティングファームに転職。
コンサルタントとして様々なプロジェクトを担当し、新規事業戦略立案・営業戦略立案の経験を積みました。


少し余談になりますが…
ハッカソンには、24時間以内に課題を発見して根本原因を見つけてソリューションを開発してプレゼンするという一連の新規事業開発の流れがすべて含まれているんです。
私はハッカソンやその他のコンテストもあわせ9回出場したため、これら一連の流れを高速で回転するということを少なくとも9回は経験でき、高速にアウトプットを出すスキルを身につけられました。

一般的に、アプリ開発は少なくとも1〜2ヶ月かけ環境を構築しサーバーを立ち上げてファンクション・UI・デザインを作ってようやくリリース…という流れですが、ハッカソンはこれを24時間でやるので0→1の開発能力も高まります。

起業を考えている方や開発スキルを磨きたい方は、ハッカソンやビジネスコンテストへの出場を強くおすすめします。
ハッカソンで得られた、まだ誰にも解決できていないことに取り組み、自分のアイデアで解決できた時のわくわくする気持ちは、今でも私の原動力になっています。


株式会社Sales Marker 創業メンバーとの出会い
大学時代のインターンシップ先には、20名ほどのインターン生がいましたが、その中でもひときわ輝いていていたのが取締役CTOの陳と取締役の渡邉でした。
彼らのエンジニアリングスキルは抜群で、共にハッカソンにも出場した仲間です。

取締役COOの荻原とは、先輩経営者が主催する交流会で出会い、社会課題を解決できるようなサービスを作りたいというビジョンが一致し、すぐに意気投合。
一緒に事業を作ろうと私のほうからビジネスコンテストへの参加を誘ったところ、そのコンテストで入賞することができたのです。

そこでふと、私のもとには陳・渡邉との「高い技術力で何でも作れるエンジニアチーム」と 荻原との「ビジネスを共に作れるセールス力があるチーム」の両方があることに気がつきました。

この2つのチームを合体させたら、製販一体となりすばらしい会社ができるのではないか。そう確信したことで、陳と渡邉、荻原を誘い、4人で起業することを決意しました。

株式会社Sales Marker創業から急成長を遂げるまで

そして、2021年7月に「CrossBorder株式会社」として創業しました。
(2023年12月に社名とサービス名を統一し「株式会社Sales Marker」に商号変更)

投資家の方々との出会いと方針転換
初めて投資家の方々に会ったのは2021年10月頃からです。当時投資家の方と接点がなかったため、IVS(※)に飛び込みさまざまな方と接点を作り面談の機会をいただきました。

※ IVS
起業家、投資家、事業家、技術者、研究者、そしてスタートアップやオープンイノベーションに関心を持つすべての人々を対象としたカンファレンス

実は、当時私たちはビジネスニュース系のアプリ開発をしていました。そこからシードの資金調達にあたり、複数の投資家と議論を重ねる中で、サービス領域を絞る必要性を感じセールス領域に絞ったプロダクトを開発する方針への転換を決意しました。

ただ、セールステックの市場はすでに飽和状態に見え、本当に自分たちがやるべきなのかと自問自答して悩む時期もありました。しかし、投資家の方々や創業メンバーと意見を交わす中で戦略が磨かれ、「この領域で勝負できる」と確信を持つことができました。

そして2022年2月、私たちは初めてシードで資金調達を実現しました。その当時の売上はゼロ。Sales Markerも開発前でした。
「来月リリース予定」ということで提案を始め、ありがたいことになんと商談2社目で導入を決めていただきました。

やはり「Sales Markerには、確かなニーズと期待感がある」と感じました。
1日でも早くお客様にプロダクトを使っていただくために予定より2週間前倒しで開発をやり遂げ、2022年3月、ついにSales Markerリリースに至ったのです。

なぜSales Markerだったのか?

なぜ私たちがインテントセールスに着目し、Sales Markerを開発するに至ったのか。それには2つの理由がありました。

1つ目は、市場調査に時間がかかり過ぎ、思うような営業戦略が描けなかった私の実体験です。

前職のコンサルティングファームで新規事業戦略・営業戦略の立案支援業務に携わっていましたが、戦略を立てるための市場調査および調査結果の分析に3ヶ月もの期間を要していました。
市場が急速に変化する中で、3ヶ月も経てば顧客のニーズやフェーズも変わってしまうため、営業戦略の価値が陳腐化し好機を逃してしまうという現実を目の当たりにしました。
顧客が「今」「何を欲しているのか」をリアルタイムで把握できないことに、もどかしさを感じていました。

2つ目は、従来の営業活動に対する違和感です。

多くの営業パーソンから、「新規開拓営業は、100件アタックして1件商談が取れたらいいほう」「営業の仕事がつらく、心が折れてしまうケースも多い」といった過酷な実情を耳にしました。ウェルビーイングの対極にある非効率な状態を、私たちの事業で解決したいという使命感を抱きました。

そして、「今」の「ニーズが事前に」わかれば、効率的・効果的な営業活動が実現できる。そう思い至りました。
どうにかしてそのアイデアを実現する手段はないのか、調べ続けていたところ、「インテントセールス」という手法に出会ったのです。

海外ではインテントデータを軸に顧客のニーズをリアルタイムに分析できるツールが活用され始めていることを知りました。当時、インテントセールス領域でツールを提供しているのは、海外企業約40社のみで、日本ではゼロ。
もちろん、これまで日本国内でもインテントセールスへのニーズがまったくなかったわけではないものの、さまざまな障壁が重なり実現までたどり着けずにいました。

インテントセールスを実現するための4つの障壁

なぜ、これまで日本ではインテントセールスが普及してこなかったのか。大きく分けて、4つの障壁があると考えています。

インテントセールス領域で勝負するには、まずデータ分析に関わる技術的な壁を越える必要があります。企業データ約510万件、部署データ約160万件、人物データ約560万人、1日当たりのインテントデータ約50億レコードという膨大なデータの中から必要なデータをピックアップし、整理して分析するためには、データ活用に関する高い知見を持った人物が必要です。

さらに、そのデータをもとにインサイトを導き出し営業戦略と結びつける工程は、かなり高度な分析技術を要します。

私たちは、これら4つの障壁を乗り越えてSales Markerを開発・提供することに成功しました。

1. データ取得の壁(データが取得できない)
インテントデータが取得できるデータプロバイダーが限られているため、データの入手が困難。
 ↓
最もデータの品質が高く量も多いプロバイダー様と独占契約をし、弊社独自のインテントデータを取得・分析することで解決。

インテントデータには大きく分けて3つの種類があります。その中で、量が豊富なうえに顧客インテントを得るのに最も有効で、かつ取得が難しいのが「3rd party インテントデータ」です。

このデータを広く収集できれば、自社サイトや特定の提携メディアなどに限らず、顧客がどのようなクエリで検索し、どこで何を閲覧しているかなど、Web上の幅広い行動履歴からデータを見ることができるようになります。
つまり、顧客の解像度を上げ、精度の高いインテントセールスにつなげることが可能になるのです。

質の高いインテントセールスに取り組むためにはこの3rd party インテントデータが必須となってきますが、そもそもこうしたデータを国内で扱っているプロバイダー自体が国内に2社しか存在しません。
私たちは最もデータの質が良く量が多いプロバイダーと独占契約を締結することで、まず1つ目、「データ取得の壁」を乗り越えました。

2. データ分析の壁(膨大なデータを分析し活用できない)
510万件の企業データと、1日50億レコードのインテントデータをもとにタイムリーに分析することができない。また、160万件の部署データと560万人の人物データを統合した分析ができない。
 ↓
国内有数のビッグデータ基盤専門家であるCTO陳の経験と取締役渡邉のフロント技術を活かして解決。

たとえ大量のデータを取得できたとしても、分析できる状態にするのは至難の業です。
たまたま溜まったデータからインサイトを導き出すことは意味がなく、活用可能なデータにするためには「購買検討フェーズと紐づけられたデータを分析していくこと」かつ「リアルタイムで毎日出力していくこと」が重要です。
LINEや日本マイクロソフトなどで膨大な量のビッグデータを扱ってきたCTO陳の経験により、2つ目の「データ分析の壁」を越えることができました。

3. インサイト導出の壁(セールスに役立つインサイトを得られない )
膨大なインテントデータと企業データから、営業戦略や営業活動に役立つ(企業の購買検討フェーズに応じた)インサイトを取得することができない。
 ↓
大手企業営業戦略立案の経験がある私のノウハウにより解決。

セールスに役立つインサイトを導き出すことは非常に難しいです。
どのようなクエリで検索し、どのような製品について調べ、どのようなテーマの記事を閲覧しているかといった詳細な行動データをもとに、顧客が現在何を欲しているか、購買に対してどの段階にいるのかを論理的に導出しなければなりません。
これには、コンサルティングファームでの新規事業戦略立案・営業戦略立案を経験した私のノウハウを活かし、3つ目の「インサイト導出の壁」を越えることができました。

4. 成果創出の壁(セールスで成果を出せない)
アウトバウンド営業の経験不足やデータ活用のノウハウ不足により、データがあったとしても成果が出ない。 
 ↓
キーエンス全国1位のCOO荻原のノウハウ+AIセールス+ISCのコンサル支援により解決。

取得したデータを分析し、顧客インサイトを得られたとしても、顧客起点でコミュニケーションしなければ、成果に結び付けることはできません
Sales Markerは3方向からアプローチすることで、4つ目の「成果創出の壁」を乗り越えました。

① COO荻原の営業ノウハウ
一定のスキルがある営業パーソンだけではなく、すべての営業パーソンが同じく成果を上げるためには「営業現場に寄り添ったプロダクト設計」が重要です。
キーエンスで営業成績全国1位に輝いた経験もある、営業のエキスパートCOO荻原のノウハウにより、私たちはそれを実現することができました。

② AIセールス
「AIセールス」はインテントデータの分析を通じて、今、どの企業にアプローチすれば商談や成約につながる確率が高いかを検出できるSales Marker独自のAIサービスです。
独自のAIが提案する最適な営業戦略により、商談に繋がりやすい企業を効果的にターゲティング。さらに、最適な部署や人物を特定し、的確なアプローチ文面を自動で生成することで、すべての営業パーソンが、一定の品質が担保されたセールスを実現できるのです。

③ ISCのコンサル支援
Sales Marker では、「ISC(インテントセールスコンサルタント)」というインテントセールスの専門家が、顧客のインテントセールス実践をサポートしてます。
AIセールスやインテントデータは、効果的・効率的な営業を可能にしますが、現時点ではすべてが自動化されてはいません。そこを補完するのが、人的なフォローです。
たとえばコールにおいて、話し方、声のトーン、言葉のチョイスなど、細かな工夫が結果に大きく影響するため、Sales Markerによるオートメーション化とあわせて人間がきめ細かくサポートするのです。

なぜ今インテントセールスが注目されるのか

インテントセールスが注目されるようになった背景には、「テクノロジーの進化」と「ビジネスプロセスイノベーションの加速」があります。

1. AIをはじめとするテクノロジーの進化
インテントセールスの精度を高めるためには膨大なデータ量が必要ですが、テクノロジーの進化によってインテントデータがリアルタイムで解析され、顧客インテントとしてマーケティングや営業の現場で活用できるようになりました。
今や、顧客の課題やニーズをデータから導き出すのに大勢の人手や大量の時間は必要ありません。さらには、生成AIの進歩が、アプローチ時の最適解を導き出すことも可能にしました。

たとえば、アプローチする相手、興味関心の対象、購買フェーズの段階に応じてAIが営業メールの内容を適切にアレンジし、パーソナライズされた文章を送ることができます。AIによって、質と量の両方を兼ね備えた、より効果的・効率的なセールスの実現が可能になったということです。
先ほど紹介したSales MarkerのAIセールスは、まさにこれを実現する機能を提供しています。

2. 営業手法の変化やビジネスプロセスイノベーションの加速
従来の営業手法では、宝探しのように手当たり次第数を当たるしかありませんでした。しかし、実際にテレアポをしてみると、わずか0.5%から1%ほどしか商談には至りません。

さらに、多くの日本企業では人材不足が慢性化しており、事業成長や売上に直接的に影響をおよぼすセールス領域の人材不足は深刻です。わずかな商談を獲得するためにリソースを費やすのではなく、もっと本質的な営業活動に注力したいと思う企業は増えています。

このようなビジネスプロセスイノベーションの加速により、いよいよ日本でもセールステックが浸透し始めました。
特に、従来の営業ステップを自動化・効率化し、より少ないリソースで効果を上げることが期待でき、ニーズが顕在化した企業を「狙い撃ち営業」できるインテントセールスに注目が集まっています

株式会社Sales Markerが急成長を遂げた理由

私たちは、創業当初5〜10年で達成しようと考えていた事業計画をわずか2年で達成することができ、次々と上方修正しながらビジネスを推進してきました。
ありがたいことに、イベントや講演会で「なぜそんなに急成長できたのか?」という質問をいただくことが増えてきたので、改めて主な4つの理由をまとめてみました。

1. バリュープロポジションの綿密な策定
まずは、バリュープロポジションの策定を非常に綿密にしたことです。
顧客が求める価値であり、競合他社にできないことであり、自社が提供できる強み、これを徹底的に考え抜き、バリュープロポジションを満たすプロダクトを作ることにとにかくこだわりました。

そのきっかけは、投資家の方々とお話しする中で、「既存プロダクトと何が違うの?」「何が新しいの?」と質問されたことでした。
その質問を受け、新規性はただ新しければいいわけではなく、バリュープロポジションを満たした新規性でなければいけない。日本という限られた市場の中でそれを実現するためにはどうするべきか、考えに考え抜きました。

投資家の方々に問われた「新規性」を解決するために、それこそ「新規性とは何か」辞書で調べるところから始め、徹底的に考え抜くことでインテントセールスに辿り着いたのです。

具体的には、顧客の売上を増やすためにはどうしたらいいのか、アプローチ数・商談化率・成約率に分解して考えてみることにしました。
セールステック領域のサービスは増えているものの「商談の獲得」を直接支援するものはなかなか見当たらなかったため、「商談化率の向上」にフォーカスしました。

さきほど「なぜSales Markerだったのか?」の中でもお話ししましたが、事前にニーズがわかれば商談化率を上げることができるのでは、という発想に至り、調査をすると日本にはそういったソリューションを提供している企業はないとわかりました。

マトリクスにおいて自分たちしかいない象限を作ること、私たち自身がバリュープロポジションを解像度高く理解し、顧客に選ばれるように価値を突き詰めることを実行しました。

2. プロダクトの開発力・スピード+豊富な営業ノウハウ
お客様へ提案した際に「⚪︎⚪︎の機能があれば導入したい」というフィードバックをいただくことがあります。そんな時は、翌週までに開発・実装し、再度提案するといったスピード感で進めていたため、リリース直後でも受注しやすい状態を作ることができました。

また、営業として成果を上げるためのノウハウをCOO荻原が熟知しており、彼の知見をもとに高い開発力を持つチームがプロダクトを作りあげたという点も大きなポイントです。

「高い開発技術力」と「豊富な営業ノウハウ」、私たちの強みが存分に発揮されたからこそ、プロダクトが独り歩きすることなく、しっかりと現場で使いやすいものに仕上がり、お客様に喜んでいただけるサービスをリリースできたのだと考えています。

3. 未開拓の領域への参入
BtoBセールスの市場的な観点として、大きなペインポイントが存在していたにもかかわらず、国内ではまだ誰も参入していなかった領域に踏み込めたことも大きいと考えています。

営業活動において、顧客のニーズを知る方法がないために、手当たり次第に営業をかけるしかなく疲弊していく営業パーソンはかなり多いはずです。
そんな中、事前にニーズを検知し効率的・効果的な営業活動を実現するSales Markerが登場したからこそ、サービスへの関心や期待値が高く、利用してくださる方が急速に増えたのだと思います。

4. カテゴリー戦略(カテゴリーマーケットフィット)
シード期を終えシリーズAに差し掛かるタイミングで、さらなる成長を目指すための戦略を考えていました。

「⚪︎⚪︎の分野ならSales Marker」と想起され、圧倒的な存在になるためにはどうすべきか
考えに考え抜き、自分たちがサービスを届けたい市場にフィットしたカテゴリを自分たちで生み出し、その概念自体を啓蒙していくことが重要だという結論に辿り着きました。

今でこそ「インテントセールス」というワードが広まり始めていますが、リリース当初は「顧客のニーズがわかるSaaS」や「セールスインテリジェンス」という紹介をしており、強烈な印象を残すことができていませんでした。

そんな時、ある勉強会で「インテントセールス」という言葉を使ってみたところ、参加者の方々口を揃えて「インテントセールス面白いですね」とおっしゃったんです。
インテントセールスという言葉に変えた途端、反応がガラッと変わった。明確な理由はわかりませんが、覚えてもらいやすく、興味を惹きつけるワーディングが確かにあると感じました。

その後、カテゴリーを創出する上で、インテントセールスというワードを軸としてプロモーションを戦略的に実施。その一環として実施したのが、ビジネスメディアPIVOTへ出演するタイアップ企画です。
出演者の方と共にインテントセールスの啓蒙を行ったことで大きな反響を得られ、それまで月100件程度だった問い合わせが、出演後5日で約300件まで増えました。

すでにご覧になった方もいるかもしれませんが、まだの方はこの機会にぜひご覧ください!
「新規顧客開拓3つの課題」や「インテントセールス」について詳しく解説させていただきました。


インテントセールスに特化したイベント「世界初インテントセールスカンファレンス」の開催も業界に大きなインパクトを与えることができました。
このカンファレンスでは、すでにSales Markerを活用しインテントセールスを実践してくださっている方々を招き、まだインテントセールスを実践していない方、これから実践する方へ成功事例をお話をしていただきました。多くのユーザーを巻き込み、カテゴリーを盛り上げられた施策でした。

これらの取り組みを経て、スタートアップとしてプロダクトを市場に受け入れてもらうためには、プロダクトマーケットフィットだけでなく、カテゴリーを自ら創出し、マーケットと対話し続け、カテゴリーごと受け入れてもらうことが重要だと感じました。
これを私は「カテゴリマーケットフィット」と呼んでいます。


4つの理由をあげましたが、どれも「戦略」に寄ったお話でした。

それ以外の部分もお話しすると、Sales Markerの成長は、私たちが掲げている「全ての人と企業が、既存の枠を越えて挑戦できる世界を創る」というパーパスに沿った行動をし続けた結果でもある、と思っています。

既存の枠にとらわれず新しい道を開拓し、できない理由を探すのではなく「どうやったらできるか」を考え抜く。
戦略や計画ももちろん重要ですが、何よりもこの挑戦の精神こそが、成功への鍵だったのかもしれません。


余談ですが、今年のインテントセールスカンファレンスは9月13日(金)に開催しますので、ご興味のある方はぜひお越しください!
インテントセールスを実践する企業様の講演や実例紹介をはじめ、さまざまなコミュニケーションの機会をご用意しています。

国内初「顧客起点」でおこなう新時代の営業手法「インテントセールス」を実現するSales Markerが主催するカンファレンスイベント

さいごに

日本には起業家が少ないとよく言われることがあります。

しかし、私はそうは思いません。

たくさんのビジネスパーソンが、自分たちの製品やサービスを通じ、世の中で困っている人を助けたり、多くの人を幸せにしたり、何かしらの価値を提供したいと考えているはずです。

実際に、私がハッカソンで出会った人々は、誰もがみんな情熱を持ち、挑戦したい、社会解題を解決したいと目を輝かせていました。
しかしその術がなく、志があっても断念せざるを得ない状況に涙を飲んでいる方も少なくないと思います。

私たちはこれまで、事業を通じてセールス領域における多くの悩みや課題を目にしてきました。

せっかく価値ある製品、サービスを持っていたとしても、それを欲している顧客を見つけられない、届けることができない。もしくは、膨大な業務に忙殺されて十分実現できないという問題があちこちで生じています。

属人的な成功事例に頼るがために再現性のないプロセス、非効率で大量の作業で浪費されていく貴重な労働時間、精神論が蔓延り心身共に疲弊していく営業担当者…

残念ながら、セールスの世界にはそうした課題がまだまだ根強く残っています。

インテントセールスはそうした課題を解決し、新しい時代のセールスを実現するものです。
そして、顧客に価値を届けたいと願う人々の挑戦を手助けできるものと確信しています。

まさかのカマキリから始まった今回の記事ですが、子供の頃に抱いたカマキリを救いたいという想いが、今ではビジネスの世界で多くの人々の挑戦を支えるプロダクトへとつながっていることがお分かりいただけたと思います。

そして、これからもその想いを忘れず、AIとインテントデータの力でビジネスの可能性を広げ、全ての人と企業が挑戦し続け、持続可能に成長できる世界の実現のため前進していきます。

長くなりましたが…
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!

インテントセールスについてもっと詳しく知りたい方は、本日8月29日(木)に発売した私の本をぜひ手に取っていただければと思います。
そこでは、インテントセールスについて深く掘り下げて体系的にまとめているので、ぜひセールス・マーケティング・経営に携わるすべての人、そして野望にチャレンジするすべての人に読んでいただきたいです。

『インテントセールス - 米国企業の6割が実践する興味関心データを活用して売上を伸ばし続けるための最先端モデル』
著者:株式会社Sales Marker 代表取締役CEO 小笠原 羽恭
出版社:翔泳社
発売日:2024年8月29日(木)
定価:1,980円(税込)  

皆さまと一緒に、インテントセールスを通じて新しいビジネスの未来を切り拓いていけることを心から楽しみにしています。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
採用も大募集中です!

Sales Marker CEO 小笠原 羽恭

採用情報


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