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閏日のこと。 PRESENT4229


2020年2月29日、ワンルームの賃貸アパートの部屋の隅で、僕は泣いた。
あくびと目薬以外で僕の目から涙が零れたのは、5年ぶりだった。

PRESENT4229というサービスを塩谷さん(@ciotan)のツイートで見つけたのがきっかけだった。


・・・

4年前に言ったことを叶えてる!すごい!
「お元気ですか?わたしです。」って書き出しがかっこよくて、
「三茶のおうちは〜まだここに住んでたりして!!」のところは、
「もしかして4年後のわたし」に対するどうしてるだろう!
みたいな期待感が伝わってきて
文章が瑞々しくて柔らかい、こんな文章書けるなんてかっこいい!!!

てか4年後に自分から手紙が届くとかかっこいい!ロマンチック!
自分の4年後ってどうなってるんだろう!
試しに書いてみよう。そう思い立ったのだった。

・・・

4年後、あなたとあなたの大切な人はどこで何をしているでしょうか?
いまを生きる「しるし」を未来に向けて残すことは出来ないか?
 それがこのPRESENT4229をつくった理由です。
どんどん不確かになっていく未来への灯火が消える前に、消えないように、
 4年後の未来にメッセージを送ってください。
4年後の幸せな未来でお待ちしています。           2020.02.29
(HPより抜粋)

ふわっとした気持ちで書き始めた手紙だったが、
書いてみると、僕には全くお手軽なものではなかった。

なぜなら、今を生きる「現在の自分」に向き合っていなかったからだ。
手紙を書こうとすればするほど、
今の自分の不甲斐なさや家族や関わってくれている人への感謝、4年後への不安…
いろんなものが湧き上がってくる。
いつもは見て見ぬ振りをする感情と向き合う、喜怒哀楽全部。
苦しくて、もどかしくて、ありがたくて。
気づいていなかったけれど、
すぐに僕の感情のうつわはキャパオーバーになった。

・・・

家族のみんなは元気ですか?今こちらはじいちゃんが手術をしたよ。結果は無事成功。今は大変そうだけど、そろそろ退院できるってさ。今度の週末に顔を見に行く予定!4年後もみんな元気だといいなあ。


じいちゃん手術無事終わってよかったなあ。。。なんて思いながら。
じいちゃんの前ではいつも通りヘラヘラしてたけど、
やっぱり内心不安だったんだなと気づいた。一旦手術が終わって、退院もできそうで安心していた。その感情に自分でも気づいていなかったことに驚いた。

ちなみに今の職場にまだいますか?楽しく働けてるかな?いや、場所はどこでもいいけれど、楽しく過ごせてますか?


進むのは本当にこの道でいいのか?4年後の僕はどう言う決断をしてる?ちなみに今の上司めっちゃ怖いぞ、、と書こうとした。
この1年が走馬灯のように脳内を駆け巡る。
確かに上司は、とても細かいし、厳しい。
でも、、すごく愛のある人で目をかけてくれているんじゃないか?とも思った。
今のしんどさと有り難さとその気持ちに応えられていない自分の情けなさ、ごちゃまぜになって涙になった。

4年後の自分はどんなだろう。どんな自分になっていたいかな。
今の自分は何を積み重ねられてるんだろう?何にもできていないかもしれない。このままで4年後どうなるんだろう。
今の自分に対する不安、悔しさ、無力感、怒り、いつもは直視することを避けているマグマのようなドロッとした感情と正面から向き合う。楽しい。苦しい。


・・・
 

なんとか書き終えた。

将来の自分に手紙を書くということは、今の自分を省みる必要があって、
無意識のうちに閉じていた感情の蓋を開けることになった。
その入れ物は、まるで決壊寸前のダムのようだった。
一度放出された感情は止まらなくて、涙も止まらなかった。


・・・

手紙を書いていて、自分の中にいろんな感情が渦巻いていることに気づいた。
「好きだ」「悔しい」「嬉しい」「ありがとう」とか
無意識のうちに見逃してしまう。その時は思ってても忘れてしまう。
「何も思わない日」なんてないはず。
「何にも積み重ねていない日」なんてないはず。
「何にもできなかった。」そう思う日も多分あるけど。
「意味のない1日」は多分なくて。
「今日はめっちゃ遊ぶ!」そう決めたならそれでいい。
「疲れた、もう休む・・・」そう決めたならそれでいい。
「ベッドから動けない。」そう決めたならそれでいい。
遊びたいときは思いっきり遊べばいい。休むときは思いっきり休めばいい。
僕らは自分で選んで、決めて、行動している。
自分の感情に向き合って、自分で決めたことなら誰にも止める権利はない。

どんな行動も、ほんの少し体調や感情は動いているはずで、
それを無視しないでほしい。
今の自分が、4年後の自分に絶対につながっているから。

今湧いた感情や思ってることを残すために今、書いている。
PRESENT4229から言葉を借りるなら、
”いまを生きる「しるし」”を残すために。
4年後の自分が今日のことを思い出せるように。

もし4年後の自分がこれを読んだら、どう思うだろう。
4年前も相変わらず文章だけはカッコつけてるなって思ってる?
それとも・・・

それは4年後のお楽しみにしておこうか。



4年後の僕へ、元気でいますか。 4年後の幸せな未来で会えるといいね。
24歳の僕より。


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