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「妊娠しなくていい」と婦人科医に言われたけど子供が欲しい夢が諦められない

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という疾患をご存じでしょうか?

この疾患は女性の20~30人に1人の割合で見られるもので、男性ホルモンが過剰に作られてしまうせいで排卵しにくくなり、毎月1度は来るはずの月経が来づらくなるというものです。排卵されない未成熟な卵子は卵巣の中に留まり、超音波検査(エコー)で見てみると輪のごとく連なっているように見えることから、その状態を「ネックレスサイン」と呼びます。

症状としては上記の通り、男性ホルモンの過剰分泌・無月経(3ヵ月以上月経が来ない)・生理不順(25~38日以外の周期で月経が来る)・にきび・多毛・肥満などが出現します。

この疾患が原因で、私は不妊症と医師に診断されました。


目次

1 不妊と知ったきっかけ

2 子供が欲しいのに医師は……

3 不妊治療法

4 いざ治療!

5 妊娠にあたっての弊害

6 最後に


1 不妊と知ったきっかけ

幼いころから「結婚して子供を産んであたたかい家庭を作りたい」と考えていた私。それは幼心に抱いていた夢の1つでした。

しかし、無月経であることと月経前症候群(PMS)の症状が重いことから、相談のために思い切って婦人科を訪れたのがおよそ5年前のことです。子宮や卵巣の状態を確認するために、私は医師に言われるまま診察台に寝転びました。エコーで生殖器の確認をしてもらうと、医師は淡々とした声音で私に告げました。

「あなたは恐らく多嚢胞性卵巣症候群だね。ほとんど排卵してないと思うよ。まあ、将来不妊治療をしてもダメだったら、手術で卵巣に穴を開けて排卵させることも出来るから大丈夫」

なにが大丈夫なんだ。そう思いました。不妊治療が必要になるって、つまるところ私は不妊体質ってことでしょ? 軽々しく言ってくれた医師に少しの怒りを覚えました。ちなみに、その後血液検査をしたのですが、後日結果を聞きに行ったら「男性ホルモンが多く、女性ホルモンが常人の5分の1しかない」と言われ、私は正式に多嚢胞性卵巣症候群であると診断されました。

念のため言っておきますと、多嚢胞性卵巣症候群とは「疾患≒体質」であり、決して「病気」ではないという点がポイントです。高い確率で、程度はさておき割かし多くの女性に見られる疾患です。生理不順や無月経の症状がある方は、1度婦人科を受診してみてください。今すぐに妊娠を望んでいないなら治療のしようがありませんので、どうにか出来るわけではないのですが、ただ、自分の体のことを知っておくのは大切なことです。



2 子供が欲しいのに医師は……

さて、将来不妊症と診断されるかもしれない可能性を提示された当時の私ですが、やはり、幼いころから自分の子供が欲しいと考えていたため、相当なショックを受けました。家に帰ってからは少しですけど泣きました。それくらい、家庭を持つことへの憧れが強かったのです。

あれから5年経った今、私は結婚しています。しかし、結婚当初から子づくりをしているにも関わらず、妊活4か月目である今も妊娠はしていません

そもそも多嚢胞性卵巣症候群による無月経なので、排卵しない可能性が高いですから、自然妊娠はなかなかにハードルが高いのです。医師曰く、排卵がなくとも子宮内膜が厚くなり月経が来るということはあるそうなので、たまに月経が来たとしても、その月に排卵していたとは限りません。未成熟な卵子が卵巣にぎっしり詰まっていて、なおかつホルモンの関係で卵子が成熟しにくいために、無排卵が起こるのです。

でも、子供が欲しいという夢は諦められません。

そこで私は近所の産科・婦人科病院を受診したのですが、「卵巣に水が溜まっているように見えるので病気の可能性がある」と言われ、婦人科のある大学病院を紹介され、そこを受診することになりました。担当医は40手前くらいの女医さんだったのですが、エコーで診てもらうために診察台に寝転びました。しかし、女医さんは「しばらくほっといて様子見」としか言いませんでした。あれ? 病気の可能性があるっていわれたんだけどな……私はそう思いましたが、医師の判断ですからとりあえず信じてみることにしました。次に妊娠希望であることも伝えると、女医さんがとんでもない一言を発したのです。

「あなたは若いからさ、まだ妊娠しなくていいよ。特に治療もいらない」

最長10カ月も月経が来なかったことがあるほど酷い無月経であることも、妊活していてもまったく出来る気配がないことも、もちろん伝えました。けれど、女医さんはそう言い放ったのです。

若いから妊娠しなくてもいい? そんなのおかしいです。妊娠を希望するのに年齢なんて関係ありません。それに私は現在25歳ですから、言ってしまえば妊娠適齢期です。子供を産むなら体力的にも20代は適していると思います。そう考えているから、手遅れな年齢になる前にと婦人科を受診して相談しに来たのに……

とてもじゃありませんが、婦人科医が不妊症の患者に言っていい言葉ではありません。

私はふつふつと湧き出る怒りを抑えつつ、帰宅後その大学病院の患者専用相談窓口に電話をし、担当医の名前と信じられない発言を伝えたのですが、窓口の担当の方も絶句して謝り倒してきました。その人は悪くないので私としては別に謝ってもらわなくてもよかったのですが、もう2度とその病院を受診する気にはなれませんでしたので、無理矢理入れられた予約も当然キャンセルしました。

病院名と医師の名前を明かしたいところですが、プライバシーの侵害になるため、控えておきます。

もし妊娠を希望している方がこの記事を読んでいたら、酷い医師に当たった場合はすぐに転院することをおすすめします。



3 不妊治療法

自分が多嚢胞性卵巣症候群による不妊症だと知った私は、必死になってインターネットの海をさまよい治療法を調べました。その結果、わかった情報がこちらです。

排卵誘発剤

卵子を育成する、または排卵を促す薬を摂取するという治療法です。内服薬と注射薬の2種類があります。基本的に初めは内服薬で試します。

内服薬のパターンですと一般的に使用されているのは、クロミッドという薬(卵子を育成する効果があるもの)で、この薬の使用により約50%の人が正常に排卵します。しかしその効果はいいことばかりではなく、デメリットもあります。により沢山の卵子が成熟してしまい卵巣が腫れ上がってしまうケースもあり、これを卵巣過剰刺激症候群と言います。重症化すると血栓症・腎不全などを引き起こし入院が必要になることもあるというのが難点です。

一方、注射薬のパターンですと、一般的に使用されるのはオビドレルという薬(卵胞を刺激して排卵を促す効果があるもの)です。これはhCG注射と呼ばれています。hCGとは胎盤から分泌するホルモンで、成熟した卵子を排卵させる機能があり、黄体の維持・活性化をさせる効果があるものです。それを注射で投与することで、卵胞が刺激されるというわけです。注射薬の場合は内服薬よりも高い確率で排卵しますが、もちろんデメリットもあります。多胎妊娠率が約20%にも跳ね上がってしまうということです。内服薬の多胎妊娠率が2~5%ですので、それに比べたら相当な確率です。

多胎妊娠率が高まるとどうなるのか? 双子ちゃんは可愛いしむしろ嬉しい! なんて思う方もいるかもしれません。でも、多胎妊娠は必ずしも双子であるとは限りませんし、もしかしたら3つ子・4つ子・5つ子……なんてこともあり得ます。双子であっても、未熟児で生まれる可能性が通常の出産よりも確率が高いのに、それ以上ともなると……赤ちゃんが可哀想ですし、母体に危険が無いとも言い切れません。多胎妊娠は母子ともに危険が伴います。

腹腔鏡下卵巣多孔術

これは記事の前半で私が医師に言われた、卵巣に穴を開ける手術をして排卵を促すという方法です。腹腔鏡とは、おなかの数か所(へそと他数か所)に1センチほどの小さな切れ込みを入れて、おなかにガスを入れ膨らませた状態で小さなカメラを挿入し、合わせて小さな医療器具も入れておなかの中の手術をするというものです。(私は腹腔鏡手術の経験がありますが、傷痕が小さくても物凄く痛いんですよね……)

先述の注射薬、ゴナドトロピンを使用した場合の排卵確率に匹敵するほどの効果があります。なにせ、穴と言っても1つではなく多数の穴を開けるのですから。卵子も出ざるを得ないってもんです。ただ、ゴナドトロピン注射薬と違った点として、多胎妊娠のリスクが低いという点が挙げられます。手術ですので費用もかさみますが、それはいいことですよね。

この手術を行うことで自然排卵するようになったり、クロミッドの効果が跳ね上がったりするメリットがあります。しかし、効果は6カ月~1年くらいしか続きません。その後はまた、元の状態に戻ってしまうのが難点です。

これらが私の調べた情報の中で、多嚢胞性卵巣症候群による不妊治療として特に有益な情報でした。同じようにPCOSの方がこの記事を読んでくれていたら、ぜひ参考にしてほしいです。



4 いざ治療!

さて、じゃあどんな治療をするべきか?

考えましたが、いきなり手術の相談をしたって医師は許可をしないだろうし、まず内服薬からというのがオーソドックスな方法ですから、病院に行ってもそちらを勧められるでしょう。どうしたものか。しばし考えた末に、私は結論を出しました。

デメリット・危険性を承知で、なおかつ私の「赤ちゃんが欲しい」というエゴで、排卵誘発剤を飲み自己流でタイミングを取ることに決めたのです。

それでは、どのように排卵誘発剤を手に入れたのか? それは……

「お薬なび」でクロミッドを購入!

いやいや……海外輸入なので到着までとても時間がかかりましたよ。3週間以上かかりましたね。今の時代、インターネットの海外輸入サイトを使用すれば、個人でもお薬を購入出来ちゃうんですよね。以前、PMSが酷くて輸入サイトを利用してピルを購入した経験があったため、今回は特に抵抗も不安もなく購入の決意が出来ました。

まあ、普通は病院に行って診察してもらって薬を飲む、と言うのがベターなのでしょうけれど……つい最近、不妊治療で有名な大学病院で嫌な思いをしたばかりだったため、とてもじゃありませんが、婦人科に行きたいとは思えませんでした。3週間以上待って、やっと数日前手元に届いた念願の排卵誘発剤! 舞い上がりましたね。しかし排卵誘発剤は月経5日目から続けて5日間内服する薬ですから、無月経の私は月経が来ない限りは飲めません。非常に悔しいですし、もどかしいです。

諦めずに、次の月経を待つことにします。めげずに頑張ります。

あの女医さんが言った「妊娠しなくていい」という言葉。思い出すだけではらわたが煮えくり返ります。絶対妊娠して見返してやるという気持ちでいっぱいです。

もし子供が出来たら、健康に産んであげられるように妊娠中に努力して、愛煙家でありますが煙草もやめて、葉酸を摂って、無事産まれて来てくれたら大切に大切に育てるんです。過干渉親にも放置親にもなりません。頑張ったら褒めて、悪いことをしたら叱る。普通でいい親になりたいです。私は私の受けてきた仕打ちを子供に対し決して繰り返しません。

薬に頼る形にはなってしまったけれど、私は必ず人の親になってあたたかい家庭を作ります。それが夢の1つなので。



5 妊娠にあたっての弊害

妊活を始めたはいいものの、私にはちょっとばかり問題があります。

一生治ることはない持病が2つあるのです。

1つめは線維筋痛症という、精神的・身体的ストレスにより全身に激痛が走る病気です。以前勤めていた企業が残業150時間を超える程のブラックでしたので、身体的ストレスにより発症しました。現在はサインバルタという抗うつ薬をメインに、リリカという神経系に作用する薬も服用して治療しています。頓服として処方されているのはトラマールという、言わば麻薬のような、がん患者に使用する程の鎮痛薬です。それだけの薬を飲んでも、日と時間帯によりますが体の痛みは消えてくれません。副作用の強い薬を内服していますので、その症状にも苦しんでいます。

2つめは糖尿病です。私の家系は母も祖父も糖尿病を患っているという糖尿病家系で、医師には「確実に遺伝だね」と言われました。母も若くして働きすぎて生活リズムが崩れたことが理由で糖尿病になっております。私も似たようなものです。食生活に問題はありませんでしたが、生活リズムの乱れが原因だったのだと思います。あとは、線維筋痛症の治療薬の副作用に血糖値を上げるものがありますので、それも原因の1つだと思われます。今は朝に1回、24時間作用するインスリン注射を自己注射して血糖コントロールをしています。

この2つの病気が、私の妊活を邪魔しているのが現状ではあります。

というのも、線維筋痛症を罹患していますから、体が痛む状態で子育てが出来るのかという不安があります。それに、基本的に現在服用している薬は妊婦には処方NGとされているため、妊娠できても妊娠期間中は痛みが今よりもっと酷くなることが予想されるのです。無事に赤ちゃんが産まれてきてくれたとしても、私が無事に赤ちゃんを育てられるのか……そういった不安があります。

夫は積極的に私のやることなすことを手伝ってくれる優しい人なので、恐らく子育てにおいても協力はしてくれるでしょうが、夜はゆっくり眠ってほしいと考えていますから、出来る限り私が中心になって痛みに耐えつつ子育てする形にはなるのかな、と思います。

ただ、あるブログ記事を読んだことがあるのですが、鎮痛薬としても使用されるトリプタノールという三環形抗うつ薬を服用しながら、妊娠・出産した方がいると言うのです。リスクもあるようですが、線維筋痛症でも妊娠・出産は決して不可能ではないのだとわかっただけでも、少し安心しました。

また、糖尿病患者が妊娠した時、母体が妊娠中に高血糖状態だと、産まれてくる赤ちゃんが先天性奇形児になる可能性が高まったり、最悪の場合流産してしまう可能性があるのです。ただでさえ妊娠すると胎盤からでるホルモンの働きでインスリンの分泌が少なくなりますから、高血糖になりやすいというリスクはあるんですよね。

更に胎盤でインスリンを壊す酵素が生成されるので、妊娠していない時と比べてインスリンが効きにくい状態になり、より一層、血糖値が上がりやすくなるのです。母体の高血糖が赤ちゃんの膵臓を刺激して、インスリンを多く分泌させてしまい、生れた赤ちゃんが低血糖を起こす可能性もありますから、母子ともに危険と言えるのですよね。

しかし、一般に糖尿病患者の妊婦さんは婦人科のある総合病院で血糖コントロールしながら出産までサポートしてもらうと言うので、糖尿病でも妊娠・出産が決して不可能ではないと言うことがわかりました。

妊娠・出産するにあたり一生治らない持病という弊害はありますが、なんとか頑張って健康で可愛い赤ちゃんを産みたいと願うばかりです。




6 最後に

こんな記事を書いておいてなんですが……

私が夢の1つである妊娠・出産をするには、様々な難題が待ち受けていますが、特にネガティブには捉えていません。むしろ、健康体になって健康体の赤ちゃんを産んでやる! と意気込んでいるくらいです。

私自身の医療費も馬鹿になりませんし、助成金があるとはいえ出産には莫大な費用がかかります。お金の問題が待ち受けているのも事実です。

ですが、私は負けません。

不妊がなんだ。持病がなんだ。貧乏がなんだ。

努力をして報われないなんて、そんな理不尽、私は信じたくありません。出来る限りの努力をして、私は必ず夢を叶えて見せます。20年近く抱いていた、大切で尊い夢なのですから。

ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。

もし妊娠や出産に至ったら、その都度こうした記事を書いて報告したいと考えていますので、その際はまたよろしくお願いいたします。

がんばるぞ!

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