『反省させると犯罪者になります』

なかなか衝撃的なタイトルだ。
人からオススメされなければ、私は読まなかったかもしれない。でも一度読み進めると、「なぜ反省させると犯罪者になるのか?」が丁寧に書き記してある。

著者は、長年刑務所での更正支援に携わってきた岡本 茂樹さんだ。自らの経験と実践を元にこちらの本を書かれた。

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ざっくりと本の内容を説明する。

問題行動を起こした人に対して、日本社会では「反省」を求めることが多い。謝罪という形であったり、反省文の提出という形であったり。しかしこの方法では、加害者が心の底から反省することはまず無い。それどころか、次の犯罪に繋がってしまう恐れがある。

なぜか?
加害者の問題行動の背景には、必ず抑圧された感情が存在する。幼い頃から自分の心を抑圧して抑圧して…それが一気に爆発すると、犯罪という結果として表れる。爆発の仕方は、犯罪・いじめ・心の病など様々だ。

抑圧された感情とは、往々にして親への不満であることが多い。兄弟や友人、また先生に対して噴出する場合もある。問題行動を起こした人が真に更生するためには、反省文の提出などではなく、この「抑圧された感情を解放すること」こそ重要だ、と岡本さんは言う。

安心して本音を出せる場所で、被害者や親に向けた手紙を書く。内容は相手に対して今率直に思っていることだ。相手への不満でも文句でも構わない。

・あなたが悪い!
・本当はこうしてほしかった。
・なぜもっと受け止めてくれなかったの?
・暴力をふるいやがって…

思いの丈を書き綴るうちに加害者は気付く。自分が深く傷付いていたことに。傷つけられていたことに。そうして初めて、自身もまた人を傷付けたという事実に気付くのだそうだ。ここから真の「反省」がスタートする。

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全然ざっくりじゃなかったな(反省)。

この本を読んで私は既視感を覚えた。
なぜなら、「抑圧された感情の解放→自分の傷に気付く→相手の存在に気付く」という過程は、私がインナーチャイルドセラピーでやったことそのものだからだ。

セラピーを受ける前の私は、自分が親への不満を抱えているなんて微塵も思っていなかった。
それが蓋を開けてみればまぁ出るわ出るわ。親への激しい怒り、悲しみ、期待。母への強い罪悪感。親だけじゃない。祖母や同級生の女の子に対する怒りも、ウワーーーーッッ!!!っと出てきた。

どんだけ溜めてたんだ。
どんだけ悲しかったんだ、私は。

30年越しに、やっと「私」と出会えたような気分。私は私であって私じゃなかった。親と、特に母と一体であろうとしていた。そして夫や娘にもそれを求めていた。「あなたたちも私の手足でいてよ!私は頑張って手足やってんだから」って。
セラピーを続けるうちに、それは不自然なことだとストンと胸に落ちた。私は私。母は母。父は父。夫は夫。娘は娘だって。夫や娘に私の手足であれと求める気持ちはすっかり消えていた。


感情を制御するのは大人だろうと難しい。まして子どもならなおさらだ。

そもそも感情の制御ってどういうことだろう?大人がそれを言う場合、「感情をグッとこらえなさい。我慢しなさい」になっていないか?
でもそれって危険だと、本を読み終えた今は思う。感情をこらえる(抑圧する)ならば、「こらえた分はどこかで出す」がセットでなきゃいけない。

例えば医療機関に従事する方が、患者さんやご家族の前で気持ちをぐっとこらえなきゃいけない場面はあるだろう。そんな場合もきっと同じだ。溜めすぎるといずれ爆発する。その前に、小出しに小出しに発散した方がいい。

学校や園から帰って来てギャイギャイ言う娘たちを見ていると、「ああ、子どもは本来こうやって発散するんだな」と思う。長女は唸り、次女は泣く。そうすることで自分の感情と葛藤しているらしい。

私が娘たちにできることは、彼女らが安心してギャイギャイ言えるように、私がギャイギャイすることだ。唸ったりはしないけどね。

こないだ2年ぶりに爆発したから、やっぱまだ溜め込みグセは残ってるなと感じる。なるべくモヤモヤを吐き出したり、ため息をついたり、相談したり、表情に出したりして、私は私の感情を抑圧せずにいようと思う。

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