浮世絵の絵の具ー紅・補足ー

紅についての補足動画になります

以下は細工紅と本紅の製法上の違いの概要です

紅花餅を灰汁を使って搾り、その液に酸液を加えると赤の色素が結晶化します
そしてその余分な水気を切ったものが細工紅となります

本紅を作る場合は、その水気を切る前の赤の色素が結晶化している液体中に、麻や青苧からなる布を浸し染めつける、という工程が加わります

麻や青苧には「赤色素は定着するが黄色素は定着しない」という性質があるため、それらの布によってより純粋な赤の色素を液中から回収することが出来ます
(最初の液を作る過程で、黄色素は出来るだけ取り除かれますが、ある程度はどうしても残留してしまいます)

赤色素を染めつけたそれら布を一旦水洗いし(出来るだけ黄色素を流し去る)、そして灰汁の中に浸すことで、赤色素は溶解し布から離れます、そしてそこに酸液を加えると再結晶化するので、後は余分な水気を切れば純粋な赤色素からなる本紅を得ることが出来ます
化粧品・口紅にはこの本紅が使われていたそうです

明治以降の文献には、細工紅の製法においても、麻や青苧の布で色を回収する工程が含まれており、江戸時代以降、細工紅の精製が向上したことが伺えます

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