違和感の散歩

ときどき、朝の散歩に出かける。
起きたときの気分と天気で、行くかどうかを決める。

今朝は、目覚めが良く、天気も良い。
そこで、川沿いの遊歩道を目指すことにした。

川といっても、三面張りの小さな川で、
ブロック舗装の遊歩道が、人がやっとすれ違えるくらいの幅で続く。

朝とはいえ、遊歩道にたどり着いたときには、既に陽が高く、日差しが容赦なく照りつける。蝉の鳴き声が、より一層の暑さを感じさせ、早歩きの体に汗が滲む。

下流に向かって歩くことにした。

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しばらくすると、道沿いの草木が生い茂ってきた。遊歩道のブロック舗装の隙間から、至るところで雑草が伸び、両わきの植樹は成長しすぎて、狭い道幅を塞ぐ勢いだ。

どうも心地よさを感じない。夏草が繁茂する川沿いの道を歩いているのに、なぜが寂しくなってきた。

まるで、道なきジャングルに迷い込んだようだ。果たして、この先も道は続いているのだろうか。突如として、不安感に襲われる。

とりあえず、先に進むことにした。

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ふと、思う。

さっきまでは、誰かがつくってくれたこの道が、僕を安心させてくれていた。だけど、この先の見えないジャングルこそが本来の自然の姿なのではないか。

だとすれば、いつしか僕は人工的につくられた自然環境にのみ、心地良さや癒やしを感じ、ありのままの草木の自然には、違和感を感じるようになってしまったのだろうか。

めげずに進むことにした。

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もはや大冒険になった。遠くまで来て、立ち止まり、そして、気がついた。

ここは人の気配を全く感じない。人工物の上にいながら、管理されない自然と対峙すると、人の存在が消えてしまう。僕はどうやら、想像と異なる状況に違和感を感じ、不安を抱えていただけだったようだ。

果たして、昨今、不自然なことばかり起きてやいないか。想像できない状況に、違和感を感じてやいないか。わかっちゃいるけど、やっぱり、どこか寂しいし、不安だね。

帰りは、来た道を引き返すことなく、別の道で帰った。今日という日のはじまりだ。


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