まちづくり会社中条中学校社のあゆみ。(前編)
この春から、地元中学生らとともに「まちづくり会社」をつくり、地元商店街の活性化に取り組んできた。
実在する会社ではなく、学校の授業の総合学習の一環として、自分たちを会社組織に見立てて取り組んでいるのである。
この会社による商品「本町通り商店街『まちあるき』」の本番が大盛況と言っていいなか無事11月21日(日)に終了し、あとは生徒たちの振り返りを残すのみとなったというこの段階で、ここまでの取組経過やその狙いなどについて私自身振り返ってみた。
興味がおありの方はお付き合いいただきたい。
中学生が会社?
まず、このことを語らねばなるまい。それには、この取組が始まった経緯を振り返ることが一番てっとり早い。
私の本業は胎内市役所の職員であるが、それとは別に、まちづくりの中間支援を主な事業としたNPO法人ヨリシロという会社を運営している。そのヨリシロの浮須に対し、さかのぼること半年前、中条中学校の社会科の先生からとあるご依頼をいただいた。
総合学習に伴走して欲しいというのだ。
学校に出向き、ヒアリングをしてみたところ、概ね以下の様なオーダーだった。
①半年程度継続的に取り組むプロジェクト型のもの
②学区内の地域に出向き、地域のことを学習できること
③SDGsの観点が欲しい(地域の課題解決)
④3年生120名全員が主体的に参加できること
①~③を実現させつつ、④を満たすことが何気にムズイ。120人。共通の目的に取り組むにしてはいささか人数が多い。
なにか工夫が必要だ、と考えた際に思いついたのが「会社」の体裁をとることだった。
学年全員120人1組~4組の各クラス内に「部署」を編成して手分けしつつ取り組むことで、生徒1人1人が自分の得意分野を活かして主体的に取り組めるのではないかと考えたのだった。
どんな会社?具体的に何するの?
かくして動き出すことが決まったまちづくり会社中条中学校「社」による商店街活性化プロジェクト。会社であるから「商売」をしなければならない。
商店街の活性化という目的のため、会社として、、、
どのような商売をするのか?
まずはこのことを決めねばならない。
この部分はスケジュールの都合上、今回は大人側で答えを用意させてもらった(来年も機会をいただけるならばぜひここから取り組んでいきたい!!)。
それが、冒頭にも記載がある商店街を舞台とした「まちあるき」である。
商店街を散策しながら、ガイドが歴史や見どころを解説する、というものである。
いざ、キックオフ!
何を売るのかを決めたら、社員全員を集めてキックオフをしなければならいない。
6月上旬、全員を体育館に集め、僕の方から社員達に今回のミッションを告げさせていただいた。
「まちあるきコース」を造成して、売りまくる。
これが今回、まちづくり会社中条中学校社に課したミッションである。
1組から4組の各クラスそれぞれが独自の商店街まちあるきコースを考え、それらが楽しめるまちあるきのイベントを開催し、これに大勢の方が参加してくれれば、商店街に賑わいが生まれ、お金が落ち、商店街が活性化する!というシナリオだ。
もちろん、中条中学校社は会社なのだから、
自分たちの会社もしっかりと利益を出す!
ということも念を押し課した。
ここから先は生徒たちに問いかけ、一緒に考えてもらった。
問いかけの内容は概ね以下のとおり。
Q.利益を出すには?
A.商品が売れなければならない
Q.商品が売れるには具体的にどうすればいい?
A.まちあるきにセットとなるお持ち帰りのお弁当をつける!(日本人の旅行やお出かけの目的は自然、温泉、グルメが不動の上位3個。本町商店街にあるものは?・・・割烹・料亭!)
Q.商品を売るために他にもできることはないか?
A.PRが必要だ!!
Q.具体的にどんなPRが必要?
A.「ホームページ・SNS」、「チラシ・ポスター」「プロモーションビデオ」
これらの問いかけに、(多少の誘導はあったにせよ)。社員達は以上の様に考えた。
「では、各クラス内に担当部署を設けそれらに全部取り組もうじゃないか!」
以上のやりとりを経て、会社としての取組事項が決まり、そのための部署が決定した。
まとめ。中条中学校社とは?
まちづくり会社中条中学校社のミッション
「まちあるき」イベントを開催し、商店街に賑わいを生み出す!
実施体制
1組から4組までそれぞれのクラス内に以下の部署を設け、クラス単位で1つずつ、計4つのまちあるきコースの造成・販売を実施する。
各部署とそれぞれの役割
ガイド課
まちあるきコースを考え、当日のガイドを担当する。
フードコーディネーター課
商店街の割烹・料亭とタッグを組み、まちあるきコースにセットとなるお持ち帰り弁当を考案する。
ウェブデザイン課
まちあるきのPR・販売ホームページを制作する。
フライヤー課
まちあるきを周知するチラシを制作する。
プロモーションビデオ制作課
まちあるきコースのPR動画を制作する。
フォトグラファー課
ウェブデザイン課、フライヤー課が使用する写真素材を撮影する。
メンターとテクノロジーでサポート
さて、キックオフを経て、以上の様なミッション・体制で中条中学校社が動き出していくわけだが、生徒はもちろん先生もこのような取組ははじめてである。
そこで、これらの各部署をサポートする各分野の地元専門家をメンターとして配置することにした。
加えてPV制作、WEBページ制作、フライヤー制作などのPR部隊には動画編集ソフト、WEBブラウザソフト、デザインソフトなどのアプリケーションソフトが必要である。これには、ギガスクール構想で一人一台与えられているchromebookをフル活用することにした。
「中条中学校社」という取組の裏(私自身の)目標
さて、私が学校に呼び出され、社会科の先生からいただいた4つのオーダーがあったかと思う。
①半年程度継続的に取り組むプロジェクト型のもの
②学区内の地域に出向き、地域のことを学習できること
③SDGsの観点が欲しい(地域の課題解決)
④3年生120名全員が主体的に参加できること
このオーダーに応えるべく、
「会社組織の体裁をとる」「活性化のための具体的ミッションを課す」「地元専門家をメンターとして配置する」「Chromebookをフル活用する」といった工夫をしたわけだが、このことで、以下の教育効果ももたらすことができるのではないかと考えた。これは誰にも頼まれていない。あくまで自分でプロジェクトに盛り込んだ目的だ。
ミッション達成のため必然的に能動的な学びがもたらされ、生徒の課題解決能力が向上する。
地元専門家の手ほどきを受けることで、学校での勉学での先に「地元にもかっこいい仕事がある!」という具体的イメージを育むことができ、キャリア形成が促進される。
ともすると使うことのみが目的化してしまうギガスクールl端末を実践的に使いこなし(本来的役割を与え)ICT教育を深化させる。
正直、教育分野は門外漢ではありつつも、世の中の教育の動きをはたから見ていて、「今必要な教育ってこんなことなんじゃないか!?」と抱いていた問題認識を詰め込んでみた。
さて、ここまで私があげてきたこのプロジェクトの目的のなかに、まちづくりに取り組んでいる方ならば「これ抜けてるんじゃない?」とお気づきになるかもしれない大事なことが抜けている。
実は、正直自信が持てず、敢えて狙いに行かなかったことが1点あった。
しかし、そんな私の自信の無さを中学生達は見事に良い意味で裏切り、このプロジェクトの大きな大きな成果となるのだが。それはまた後半で・・・。
生徒たちのチャレンジは後編で!
前置きが非常に長くなったが、振り返りをするためにはしっかりと目的が何だったのか明文化しておく必要があるのだ(笑)ご容赦いただけたらと思う。
後編(もしかしたら中編?)ではいよいよ生徒たちのチャレンジの様子をお届けしたいと思っているので楽しみにお待ちいただきたい。
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