見出し画像

ちいプロ第1クール2日目

NPO法人ヨリシロがこの夏、力を入れて取り組んでいる農村インターン「山あいのちいさなプロジェクト(以下『ちいプロ』)」の開催レポート。今回は第1クール2日目(8月8日)の様子をお届けする。

田舎の朝はラジオ体操から



小学校の夏休みでもある、今の時期。
ちいプロ2日目のスタートは地域の子どもたちと一緒にラジオ体操でスタートした。
眠い目をこすりつつ、子どもたちとともに体を動かす。僕も一緒に踊らせていただいた。

朝食はサンドイッチ

僕は一旦午後から使用するSUPの道具を取りに宿舎を離れたが、皆で協力し美味しそうなサンドイッチを作っていた。
「すごくおいしそうにできました!」とスマホの写真を見せて報告してくれたのはみのりちゃんだっけな。確かにおいしそう。

朝礼・ちいプロlogの共有

朝食のあとは、朝礼と前日のlogの共有である。
朝礼では2日目のスケジュールのほか、この日のメインの活動である、畑作業とSUPについて地域の置かれている状況などをレクチャーさせていただいた。楽しいだけではなく、地域の状況やここにくらしている方々の思いも感じてほしいからだ。

畑作業のお手伝い


トヨミさんに収穫の仕方を教わる


朝食を食べた後は宿舎のある「坂井集落」の生産者のおかあさん達の畑作業のお手伝いである(お手伝いというか、畑作業の体験をさせていただいた、という方が正確。)。
畑作業の前、正確には朝の朝礼のタイミングだが、参加者にはおおむね以下の内容をレクチャーさせていただいた。

活動地域は中山間地域に位置しており、有害鳥獣の被害が深刻だ。
坂井集落では電気柵を設置したり、サルを追い払うモンキードッグを飼育したりと、高齢化が進む中でも対策に力をいれている。
また、深刻なな有害鳥獣被害から、作付けそのものを諦めてしまう農家さんも少なくない地域の中で、坂井集落は、集落内に農産物直売所を立ち上げ、むらぐるみで運営している。

畑作業の体験に協力いただいたのは、坂井集落の農産物いちべえに野菜を出荷されてらっしゃる、トヨミさん、フサイさん、キミイさん・久雄さんご夫妻である。皆様、暑い中ご協力いただきありがとうございました。

事前のオンライン面談の中では、収穫作業等の農業体験に取り組んでみたい参加者が多かった。
それだけに、とても皆楽しそうに収穫を行っていた。
収穫できたのは、夏野菜!きゅうり、なす、枝豆、かぼちゃ、そうめんかぼちゃ、スイカ、などなどである。本当にたくさんのお野菜を収穫させていただいた。
活動前の朝礼で地域がおかれている状況をレクチャーしたこともあってか、参加者は地域のお母さんたちに猿害の状況や、やりがいなどについて積極的に話を聞いていた。

お母さん達に温かく迎え入れてもらう

フサイさんは、偶然立ち寄った僕らを暖かく迎え入れてくれた


活動中、地域のお母さんたちが、とても温かく参加者達を迎え入れてくれた。
フサイさんの畑には当初立ち寄る計画ではなかったが、偶然とおりがかった僕たちに声をかけてくれて、畑にお招きいただき「あれもとっていけ、これもとっていけ」とたくさんのお野菜を収穫させていただいた。そしてそのどれもが、とても実りが豊かで参加者達を驚かせた。

キミイさん・久夫さんご夫妻は、コロナ禍前まで、地元小学生の農家民泊を受け入れてくださっていた農家さんであり、当時を懐かしむようにいろいろなことを教えてくれた。


スイカは地面側が黄色くなったらとりごろであるとか、ツルがくるんとなって枯れ始めたタイミングが一番良いとか。
また、とれたてのスイカをその場で食べさせてもくれたり、訪れた僕たちの名前を憶えておきたいからと、一冊のノートを差し出してくださり、一人一人このノートに簡単な自己紹介を書かせていただいた。
地域の方たちと交流もでき、第1クールの中でも取り分け思い出深い一コマであった様に思う。

この最高の体験を陰で支えてくれたのが坂井集落の地域おこし協力隊椎谷さんだ。今回、収穫体験がしたい!という要望をもとに、各農家さんとつないでくれたのだ。おかげさまで参加者たちに最高の体験をさせることができました。ありがとうございました!!

参加者達はとってもいい顔をしていたし、畑で歓声が上がることも一度や二度ではなかった。
このあたりで、僕はちいプロ第1クールの手ごたえを感じ始める。

昼食は枝豆と夏野菜チャーハン


思いがけず、たくさんの夏野菜と良い思い出を宿舎に持って帰ることになり、チャーハンは「夏野菜チャーハン」へとグレードアップし、取れたての枝豆が添えられることになった(笑)。

お楽しみのSUP体験



午後はお楽しみの時間だ。「田舎で遊ぶ」という時間である。ただ、ここでも、地域の現状は頭に入れてもらっていた。内容は概ね以下のものである。

活動地域は胎内市の山間部であるため、高度経済成長期においても地域の若者は冬場は出稼ぎに出なければいけないといった状況にあった。ここで当時の黒川村がとった施策が「観光」である。
地域内に国立公園を有するなど自然が豊かであり、スキー場、ホテル等のリゾート施設が点在しており、現在も豊かな自然を生かし様々なアクティビティが楽しめる。

こうしたこともあってか、参加者たちはSUPの準備作業の時から熱心に話を聞き、SUPの膨らませ方から、着替え用のテント設営に至るまで、主体的に活動してくれた。




だが、ひとたび水の上に出ると皆童心に帰っていた(笑)。僕は普段から観光客相手にSUPの営業をやっていて、そこには小学生くらいの児童もたくさんやってくる。おもいきり楽しんで帰ってくれるのだが、ちいプロに参加している大学生たちは普段遊びに来る小学生たちよりも小学生だった(笑)
一つのSUPに5人で乗って落ちたり、パドルを使わず手でこぎ始めたり、SUPの上で押し相撲始めたり。川で泳いだり。替えのTシャツが無いと言っていたみずきちゃんも結局水を浴びることになっていた。

1日目のオリテンで「楽しむこと」と注文を付けていたのだがこれに150%応えてくれたと思う。

ちょっと寄り道

たっぷり遊んだあとはロイヤル胎内パークホテルに寄り道した。
みのりちゃんが、以前2週間ほどインターンをしていたためだ。ホテルのスタッフと再会を果たし、とても嬉しそうだった。ホテルのスタッフの皆さんも(普段お客様を相手にするときよりも(笑))とてもいい顔をしていた。
みのりちゃん、大学卒業したらロイヤル胎内パークホテルで働けばいいのに(笑)

ぬか釜でご飯たき

夕食のカレーに必要なものといえば「ご飯」である。
今回、このご飯をぬか釜で炊いてみた。こちらを指導してくださったのは、畑作業でもご尽力いただいた坂井集落の地域おこし協力隊椎谷さんである。
周囲に敷き詰められたもみ殻の中央部分に火口となる杉っ葉を入れて着火すると、煙突効果によってもみ殻から高温の燃焼ガスが噴出し、このガスに引火して高温の火力が発生する(見た感じ原理はそんな感じです。間違ってたらごめんなさい)。
地元坂井産コシヒカリがぬか釜でふっくらと炊き上がった。
炊飯ジャーに水を入れてスイッチ入れるのと比較すればかなり手間がかかるが、この手間が良いのだと感じた。

夕食はカレーと餃子

皆でワイワイ餃子を詰めた

この日は、夕食以降、僕はちいプロに帯同しなかった。同じ時間帯にどうしても外せない会議があったためだ。いや、会議が無くてもこの日は参加者だけで楽しんでもらおうと思っていた。
なのでこれ以降は参加者から聞いた話しである。
夕食は当初の計画どおり。カレーと餃子だ。
畑で収穫したものを使用し夏野菜カレーにグレードアップしている。
餃子は種をつくって皮に包み、コーディネータ-のけいなさんちから借りたホットプレートで焼く、といった具合だったようだ。参加者から送られてきた写真を見る限り作る工程もとても楽しそうだった。
ちなみにカレーは最終日の朝も食べるため多めにつくった。

花火そして、星空の下で眠る。


夕食を食べた後、参加者たちは花火をし、そして星空を堪能した様である。
ブルーシートを宿舎の外に持ち出し、そこに寝ころび星を眺めたのだとか。信じられないことに、そのまま皆でブルーシートの上で寝たとのことである。「普通によく寝れましたよ!」とはいくちゃんの談である。まじか。
なんにせよ、最高の夜になったことは間違いないようである。


2日目まとめ

ラジオ体操、畑作業と地域の方たちに温かく迎え入れられた参加者達。
僕は2日目の午前中の時点で「あぁ、何かみんなすごく楽しんでくれてるな」と思うようになった。
そして3日目の朝に星空の下でみんなで眠ったと聞き、ふと疑問がわいた。
何かは分からないけど、その何かが良い効果をもたらしているのではと。
天気さえ良ければ楽しんでもらえるとは思っていた。でもここまで楽しんでくれるとは予想していなかった。「この子たちをここまで楽しませているものは一体なんだろう」という疑問を3日目の朝に抱いたのである。

3日目に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?