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【ポケカ文化放送】あめ玉からダイスへ:ポケカダイス史

▼まえがき

ご存じのかたもいらっしゃると思いますが、僕うきにんとなにものかさん(+折々の老人ゲストたち)は、「ポケカ老人会」と称して、ポケカの歴史とか文化とかに関するいろいろ変な活動を行っています。
たとえば国会図書館に行って調べものしたり、
ツイキャスで「ポケモンカード文化放送」と題して、ポケカの歴史や文化に関する研究(?)報告をしたりしています。
今回のnoteは、直近の「ポケモンカード文化放送」報告と当日資料です。

▼5月28日放送:あめ玉からダイスへ

さる5月28日(木)深夜、
なにものかさんとツイキャスで「第5回ポケモンカード文化放送 ダメカンの歴史~あめ玉からダイスへ~」と題して、ポケカのダメカンとダイスに関する歴史について発表しました。
なにものかさんがダメカン側を、うきにんがダイス側を担当しています。
タイトルの理由は、なにものかさん担当の、ダメカンについての発表を聞いて(見て)頂ければわかるので、ここではあえて割愛します。
以下は、放送中でも予告しておいたとおり、うきにんの発表資料+補足になっています。

うきにんの資料のテーマは、「ポケカにおけるダイスは、どのような経緯で日本国内で普及していったか」
文章で語るのも野暮なので、とにかく、以下の当日資料を見てくださいとしか言えません。最初の結論と年表スライドだけ覚えてもらえれば、実際それで充分です。あとは個別事項の補足になっています。
さっそくですが、始めましょう。

▼当日資料

スライド1

スライド2

スライド3

スライド4

スライドは続きますが、ここまでが発表の要旨です。
1.海外(北米)では、ポケカ発売当初からすでにダイスを使っていた。
2.WCS2004が、国内ポケカでダイスが普及する大きな転換点に。
3.大型自主大会により、ダイスが一気に普及。

という3点が、今回の発表の結論になります。
名前に憶えのあるイベント名や商品名が出てきていると思います。

ここからは、上記年表の各できごとの説明スライドです。

スライド5

スライド6

スライド7

ここで一旦補足。
WCS2002は、実はダイスと直接の関係のない項目ですが、あえて今回足しました。なぜなら一般には、WCS2004こそ最初のポケカ世界大会である、と認識されているからです。
WCS2004はまとまった人数の日本人が初めて招待され、そして各部門を日本勢が制覇(マグマ団デッキ)したことで知られています。
WCS2004は、日本勢が初めて参加したWCS、というのは完全な事実です。が、実は2002年に、すでにポケカの世界大会が行われていたのです。
ここには日本勢は招待されていないので、日本で知られていないのも無理はありません。実は僕らポケカ老人会も、この事実は今回初めて知りました。
上記WCS2002に参加したプレイヤーのうち、現役の人はもういないのかもしれませんが、歴史的事実として、ここであえて資料として残しておきます。
(ちなみに2003年は、海外におけるポケカの各種運営および権利が、Wizards社からTPCiに移管された年です。そのゴタゴタもあり、2003年には世界大会は開催されなかったと推測されます。そしてTPCiに移管された翌年の2004年に、かのWCS2004が開催されるのです)
ここからは発表資料続きです。

スライド8

スライド9

スライド10

スライド11

ここで補足。ダイスが公式側によって製品化されていることから、2010年ごろには、海外公式にも、日本国内公式にも、プレイヤー間のダイス使用が認知されていたことがわかります。
それと時を同じくして、愛知の大型自主大会、金ギャラ杯が、特製ダイスの配布を始めます(金ギャラ杯自体は2009年から開催)。

日本国内での普及には、冒頭スライドにあるLCQ(=Last Chance Qualifier)というイベントが大きく関与しています。
これは当時、世界大会会場で行われていた直前予選大会なのですが、これに勝ち抜けば、翌日からの世界大会に出場できました。そのため、世界大会の権利を持っていなくても自費で遠征し、この直前予選に出場する日本人プレイヤーが多くいたのです。
これにより、海外ポケカの文化に触れるプレイヤーの数が一気に増加します。
そんな彼らが日本に戻り、地元の大型大会に出場する中で、ダイス文化も日本に持ち帰ってくる形になりました。そして100人近くが参加する自主大会でも、ダイス使用者が徐々に増えていき、最後には金ギャラ杯のように、大会側が特製ダイスを賞品として配布するまでになります。
ちなみに、このChessexというダイスメーカーは、かのBATTLE X ROADの特製ダイス製作の際にも使われるなど、実は知る人ぞ知る会社です。

ちなみに海外のProfessors Rewards Programについて、年度が2010(?)と疑問形になっているのは、第三者による写真から推測できるだけで、当時の資料、記録、レポートのたぐいが一切残っていない(見つからない)からです。
これはたかだかポケカの話ではありますが、できごとやデータを記録し、保存することの大切さは、活動のたびに常々実感しています。

さて、あとは一気に最後まで資料を見てしまいましょう。

スライド12

スライド13

スライド14

ここ最近の動きの中でも特筆すべきは、ポケカのダイス&マーカー専業の販売サイトであるTC Evolutionsと、そしてついに公式から登場したダメージ用ダイスでしょう。TC Evolutionsのダイスは非常にカッコいいので、ファンの方も多いと思います。
ところで、このふたつに共通するのは、材質が金属である、という点です。ちょうどこのあたりの年は、第3次ポケカブームと呼ばれ、社会人など、経済力のあるプレイヤーが激増した頃でした。金属製のスタイリッシュなダイスは、まさに彼らの嗜好にうってつけだったといえます。

最後にまとめ的に触れたのは、まさに現在進行形のトピックスであるオンラインポケカと、ダメカン/ダイスはどのように関わるのだろうということ。また、今後の公式からのグッズ展開はどうなっていくのだろうということでした。
このあたりはあえて結論は急がず、みなさんと一緒になりゆきを見守りたいと思っています。

▼所感とその後のトピックス

発表の終わりにツイキャスでコメントを拾っていて感じたことですが、特製ダイスや手作りダイスの増加を見ていると、
ダイスは単なる試合の道具ではなく、プレイマットやデッキケース同様、自分のポケモン愛の表現手段である、と強く思いました。

確かにダイスは、対戦の結果と直接に関わってしまう、少しデリケートな道具です。
それでも、自分の好きなダイスを使うことで、自分のテンションやモチベーションが高められるなら、僕はそれに越したことはない、と思います。特製ダイスや自分の好きなダイス、どんどん使うべきです。

ここからは、ツイキャスコメントや、ツイッター上での反応についていくつか触れたいと思います。

海外ポケカのルールにおけるダイスについて

これはツイキャスのコメントで指摘がありましたが、海外ポケカでは、ルールブックに、コイン代わりに用いる際のダイスについての記載があります。以下、引用とその翻訳です。

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5.6.2.2 ダイス
ダイスは、ポケモンTCGエリートトレーナーボックスで入手できる。しかしながら、立方体の形状をしており、なおかつそれぞれの面が同様の表面素材でできているのであれば、どのような6面ダイスもランダマイザー(コインの代わり)として使用できる。
ランダマイザーとして用いるダイスを選ぶ際には、以下に留意すべきである。
・ランダマイザーとして用いるダイスは、透明もしくは半透明であること。
・プレイ台の上でよく転がるよう、角が丸まっていること。
・双方のプレイヤーとジャッジがすぐに出た目を判別できるよう、大きさが適切であること(これは表面の文字記号も含む)。
・1もしくは6の面がカスタムされ特別な刻印になっているダイスは、そのプレイヤーが持っている特製ダイスがすべて同様の加工であり、かつ双方のプレイヤーが使用を認めた場合に限り、使うことができる。
・反対側の面同士の合計が7になっていること(例:1の反対側の面は6)。特別な刻印のある面は、反対側の面との合計が7になるような数字として扱う。

この中では、コイン代わりのダイスは透明もしくは半透明、という点が目を引きます。イカサマ用に特定の面が出やすいよう加工されたダイスというのは実際に存在しており、それを念頭に置いた項目であることは容易に推定できます。
とは言うものの、このルールが海外大会で(少なくとも中継で)適用された例は、僕は見聞きしたことがありません。みんなあんまり気にせず普通にダイスを振っています。日本国内での場合、公式大会では、お互いダイス、とならない場合にはコインを投げておくべきとは思いますが、普段の大会(少なくとも自主大会)ではダイスにそこまで目くじら立てなくても、とは個人的に思います。

自主制作ダイスについて

続けて2つ、ツイッターで見かけた凄いのをご紹介します。

前者のハムPさんのダイス、木製に見えますが、数字もカッコよく(デザインはzbさんとのこと)、使ってみたい!と思わせる見事なダイスです。ダメージが一目でわかるのが見事ですね。

そして後者、ハヤトさんのnote。これはとんでもない記事です(笑)。凄まじい熱量と情報量。ぜひ最後まで読んでみることをオススメします。

▼おわりに

今回は、国内ポケカにおけるダイスの普及に絞って資料を作成しました。そのため、目立つ出来事でもあえて取り上げていないものや、省略したものも多くあります。
また、資料の間違いや漏れは必ずあると思います。お気づきの点は、適宜ツイッター等で僕のアカウント宛てご指摘頂ければ。

ポケカ老人会の活動は、まだまだ続きます。調べるのに時間がかかりすぎるのがネックですが、調べたいネタはもちろんまだまだ存在しています。
また次回のポケモンカード文化放送にてお会いしましょう。それでは、素敵なダメカンライフを。

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