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【翻訳2記事】ユンゲラーがポケモンカードに帰ってくる?

2020年はポケモンカードにとって、大きなニュースが非常に多かった年でした。
が、そんな年の暮に、またとんでもなく大きなニュースが飛び込んできました。ユンゲラー、ポケモンカードに復活。

ご存じの方も多いと思いますが、ユンゲラーは、名前の元となった超能力者、ユリ・ゲラー氏の訴えにより、長らくポケモンカードに登場できずにいました。
それが20年の時を超え、再び登場できるようになりそうだというのです。

「20年前に私がしたことについて、大変に申し訳なく感じている。子供たち、そして大人になった君たち、私はこの禁止を解除したいと思う。ユンゲラーのカードを復活させるのは、すべて任天堂に委ねたい」

この突然の出来事には背景があります。
数日前、TheGamerというサイトに、「ユンゲラーはなぜ20年間もポケモンカードにいないのか」という記事が掲載されました。
その記事への反響がユリ・ゲラーにも届き、今回の登場禁止解除となったようなのです。

今回は、その発端となった記事:
「ユンゲラーはなぜ20年間もポケモンカードにいないのか」
そして、同サイトから、その禁止解除を扱った記事:
「ユリ・ゲラー、ユンゲラーのカード化を許可」
それぞれの翻訳を、2本続けてお届けします。
記事の筆致、そして内容ともに、本当に面白い記事でした。ポケモンカードを昔からやっている方も、ユンゲラーの件について今回初めて知った方も、ぜひお読みください。

いつもながら、誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。

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【翻訳】ユンゲラーはなぜ20年間もポケモンカードにいないのか

https://www.thegamer.com/kadabra-pokemon-card/

ユンゲラーは2000年代初頭から、ポケモンカードには登場していない。それもすべて、スプーン曲げ超能力者、ユリ・ゲラーのおかげである。

ポケモンカードは、90年代後半に子供たちが狂ったように買いあさった趣味、では終わらなかった。ポケモンと名のついたものがほとんどそうであったのと同様、ポケモンカードもまた、そのクリエイターたちが想像していたよりも、遥かに大きなものへと進化していった。新しくカードを作ろうにも、今や1000種に近いポケモンがいる。あなたの好きなポケモンがしばらく登場できていないのも、それが理由の一端だ。

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しかしながら、ユンゲラーは事情が違う。第一世代から存在するこのエスパーポケモンは、2000年代初頭から、自身の名のつくカードを製作してもらえずにいる。それは、カード登場の待機列にいるからではない。このポケモンの元となった、現実世界の人物のためである。日本語では、このポケモンは「ユンゲラー」という。その名前は、そして手に持ったスプーンは、超能力者ユリ・ゲラーから取られている。

問題の発端は、ユリ・ゲラー自身というわけではあまりない。むしろ問題があるとすれば、この超能力者にちなんでユンゲラーと命名することを、ユリ・ゲラー自身に知らせなかったポケモン製作者たちのほうだ。これに納得できなかったユリ・ゲラーは、世紀の変わり目に、法的手段に出た。2000年、彼は、彼を下敷きにしたポケモンを製作したことに関し、任天堂に対して訴訟を起こした。そして同時に、このポケモンを、ポケモンカードで使用しないように要求した。それから20年経つが、この裁定はいまだ健在のようである。

ユンゲラーは、ケーシィとフーディンを繋ぐ進化の中間にいるポケモンである。そのためユリ・ゲラーの訴訟は、ポケモン一匹ではなく三匹にとって大きな問題となった。ケーシィとフーディンはどちらも問題ないはずだったが、ユンゲラーがいないことで、ポケモンカードに登場させることに困難が生じたのである。これまで長年に渡り、色々な試行錯誤が続けられてきた。

ケーシィがDP2の「湖の秘密」に収録されたとき、ポケモンカードの製作者は、フーディンへと一気に進化できるワザを持たせることで、この問題を回避した。そしてユンゲラーの進化系、フーディンに関しても、何年もの間、単発的な登場が続いている。だがフーディンが登場するときは常に、ユンゲラーから進化する必要のないたねポケモンとして登場してきた。フーディンはこのやり方で、ポケモンEX、またポケモンVとして登場した。言うまでもないが、この2020年において、ユンゲラーのカードを手に入れるのは極めて難しい。まあ、難しいといっても、かのつまらない、世界一レアなポケモンカード[訳注:ポケモンイラストレーター]ほどではないのだが。

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ここまでが、事の発端となった記事です。
そしてここからが、ユンゲラーのカード化が許可されることになる、という記事です。ユリ・ゲラー氏のコメントまで掲載されています。

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【翻訳】ユリ・ゲラー、ユンゲラーのカード化を許可

https://www.thegamer.com/uri-geller-nintendo-permission-kadabra-pokemon-cards/


20年に渡るユンゲラーの消失トリックは、超能力者ユリ・ゲラーの心変わりのおかげで終了する見込みである。ユリ・ゲラーは前回の話題に関し、非常に多くの電子メールを受け取ったようだ。結果としてユリ・ゲラーは、任天堂に連絡を取り、ユンゲラーのカードに対する彼の要求を取り下げたという。

TheGamerは元々、「ユンゲラーはなぜ20年間もポケモンカードにいないのか」という題で、このトピックスを掘り下げていた。このエスパーポケモンは、最初の公式カードセットでケーシィとフーディンという進化ラインとともに登場していた。また他のセットでも、たとえば「ロケット団」のわるいユンゲラーや、ジムリーダーシリーズのナツメのユンゲラーという、別の形で登場していた。しかしながら、その姿と、そして日本語の名前には問題があった。ユンゲラーというその名前の読みは、ユリ・ゲラーと極めて近い。またユンゲラーの特徴であるスプーンは、ユリ・ゲラーの、かの有名なスプーン曲げを連想させる。

この明らかな類似と、そしてまた、ゲームフリークがこのポケモンをデザインする際に、彼に問い合わせも、知らせもしなかったという事実は、ユリ・ゲラーにとって受け入れられるものではなかった。彼は2000年に任天堂に対し訴訟を起こし、また同時に、ユンゲラーを二度とポケモンカードに使わないよう要求した。今日にいたるまで、株式会社ポケモンは、この要求を尊重してきた。しかしながら、最近になってユンゲラーの登場禁止の背景が注目を集めるに至って、ユリ・ゲラーは任天堂に連絡を取り、許可を出すと決めたようである。

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TheGamerがユリ・ゲラーから受け取ったメールの中で、彼はこう書いている。「ユンゲラーが戻ってこれるように任天堂を許してやってほしい、という懇願のメールを、私は今も大量に受け取っている。そのため私は、任天堂のチェアマン宛てに手紙を送り、ユリ・ゲラー/ユンゲラーが世界中で復活できるように許可を出した」

彼はまた、彼の手紙を受け取ったのは「任天堂の担当者2名」だったと明かした。TheGamerは更なる連絡を試みており、返答を待っている次第である。

ポケモンカードは長きに渡って、ケーシィから直接フーディンに進化させたり、あるいはそのまま場に出せるような特別なフーディンのカードを産み出したりと、様々なパターンを試みてきた。
だがとうとう、ユンゲラーが戻ってくる。その姿を見るのが、今から楽しみである。

情報元:ユリ・ゲラー氏

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以上になります。お読みいただきありがとうございました。

翻訳すると分かりづらい(かえって分かりやすい?)のですが、ユンゲラーは英語でKadabraといい、ユリ・ゲラーとは全然関係のない名前になっています。記事で、「日本語の読みでは~」と解説が入っているのもそのためです。
(なので、ユンゲラーがユリ・ゲラーのせいで禁止、というできごと自体、日本人的にはわかりやすく、海外の人にとってはちょっとピンと来にくい事件なのですね)
ちなみにケーシィは英語でAbra、フーディンはAlakazamといいます。元ネタはもちろん呪文のアブラカダブラで、フーディンのほうも、英語の呪文表現の決まり文句です。

ご存じの通り、日本語では、ケーシィ・ユンゲラー・フーディンそれぞれ、実在の人物がネーミング元になっています。文中で言及されている通り、世界的ヒットになるとは誰も思っていなかった90年代当時のポケモン開発陣の(というより業界の?)、権利意識のユルさが招いた悲劇なのかもしれません。

余談ですが、先日、ポケモンカード文化祭を聴講し、世の中にはポケカ+@の超絶スキルを持った人が多くいるんだなあと改めて感心しました。
このユリ・ゲラー/ユンゲラー問題も、別々の方向から掘り下げれば、改めての発見がいろいろとあるのかもしれませんね。

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