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Vol.3 | 国産材の価格、知ってる?原木市場へ視察にいってきた。

こんにちは、浮羽森林組合です。

前回記事までは、ボクたちの自己紹介をさせていただきました。

今回は、社内で原木市場へ研修に出向く機会を得たので、
これを記事にしたいと思います。

実は、伐採するボクたちが原木市場へ出かける機会って案外、少ない。

原木を伐採し、出荷するボクたちが
・どのように立木を伐採して
・どのような長さ、状態で伐り出せば
・その原木により高い価値が生まれるか

ということを学ぶために
今回は、原木市場へ視察に伺いました。

本記事では、筆者が学んだこと、感じたことを
書き記したいと思います。


伐った木は、どこへ出荷するのか

ボクたち浮羽森林組合が原木を出荷する先は、
大まかにわけると2種類
(2種類の中にさらに数社に分かれますがそこは割愛)

原木市場と木材チップ工場です

それぞれを簡単に説明すると

原木市場は、寸法(3mや4m等)や品質(まっすぐもしくは曲がりなど)ごとに仕分けられた原木を製材業者などが競りを通して購入するところ

原木市場の様子

木材チップ工場は、原木をバイオマス発電用の原料として使用するために木材チップにするところ

です。

今回は、福岡県森林組合連合会が運営する原木市場(浮羽事業所)を
元所長であるS氏引率の元、視察へ伺いました。

競りが行われる市売りの前に室内にて
上記2つの売り先に何を基準に出荷するとよいか、
教鞭を執っていただきました。

それぞれ真剣に考えながら聞いてそうです。

国産材の価格とバイオマスへの出荷について

現在の木材価格の動向は、
全国において、

すぎ中丸太  15,100円/㎥
ひのき中丸太 20,700円/㎥

(それぞれ 径14.0㎝~22.0m、長さ3.65m~4.0m)
(木材流通統計調査 木材価格(令和5年5月)農林水産省大官房統計部、令和5年6月5日より抜粋、https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/mokuryu/kakaku/attach/pdf/index-17.pdf

で推移しています。

をある程度の金額を下回る原木は、
原木市場よりも木材チップ工場へ直送する方が、
出荷者としては、収益があがるそうです。

とはいえ、とはいえですよ?
じゃあその金額になる原木ってどういう原木なの?
径はどのくらい?節はどのくらい?曲がりはどのくらい?

といった疑問を元所長にご教授いただき、市売りを視察させていただきました。


市売りの様子、どなたかの雨男ぶりもあり、皆さん傘を差しながら競りに参加しています

個人的な感想としては、
・周囲の空気感を探り合いながら値札を入れる競りが面白そう
・大径木よりも柱材の方が㎥単価が高く、驚いた
・手間をかけて造材を行った原木が思ったより安値で入札されていて残念

といったところでしょうか。

売れた木≒製材業で好まれる木

今回の視察を通して、直径30㎝以上の大径木とよばれる大きな原木よりも

直径が14~16㎝程度の柱材の方が

高い値が付いていました。
現在の一般住宅にもっとも需要があるから高い値がつくそうです。

ところで、
国内の一般住宅において、国産材が使われる割合をご存知でしょうか。

林野庁が令和3年1月に公表している
「国産材製品の生産及び利用等」(https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/attach/pdf/210115si-13.pdf)によると、
平成29年度において、

一戸あたりの国産材使用割合は、約48%

そのうち、梁や桁など、大径木が使われる横架材においては、
国産材の利用はなんと約1割だそうです。



ほかにも、製材所に好まれる原木は、
・クセが少なく、素直でおとなしい木
・色については、芯が黒いものは好まれない
・一般材に関しては、年輪(林齢)はあまり関係ない

と、ここで疑問。
素直でおとなしいってなんぞや?!

表現がむずかしいところではありますが、
木は生き物なので、1本1本異なる形状をしています。

ここでいう素直でおとなしいというのは、
斜面に生えていた立木や一方から強い風などの影響を受けて成長した木にでるアテという部分がない。節や曲がりが少なく、製材する際に暴れない木をいうそうです。

この判断をできるかどうかが製材者が見極めるポイントの1つだそうです。
奥が深いですね。

まとめ

 今回は、立木を伐採する出荷者として原木市場を視察してきました。出荷者として、どのような原木が売れて、どのような木取り(原木をどの寸法でどの箇所を造材するか)をすればよいか考えるきっかけになり、大変勉強になりました。

一方で、大径木が売れにくい事実と背景を知り、今後は大径木の価値を創造できるかどうかが、組織として生き残れるかどうか。なのかなあと感じました。

別の機会で「大径木の価値を創造することを考える」という記事も書きたいなと思います。

今回の記事はここまで!

 おわりに、
福岡県森林組合連合会の皆様、競り参加者の皆様、
貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
厚く、御礼申し上げます。


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