面影を求めることは幻想か
今週はビッグニュースがあった。
9月のハリコンになんとあのエドワード・ファーロングが来日予定だという。
行くしかない。
とりあえず飛行機だけ予約して足を確保し、あとは宿をどうするか……というところまできた。
なぜこれほどまでにエディが来ることで騒いでいるのかというと、ご多分に漏れず私も『ターミネーター2』で心を射抜かれたひとりだからである。
もともとターミネーターに美少年がいるとの情報は知っていたのだが、シリーズ自体きちんと観たことはなかったし、2作目のジョン・コナー役で出ていたというのも「よし、いっちょ観てみるか」となるまでわかっていなかった。
とりあえず先に1作目を観て、シュワちゃん演じるターミネーターが人類の脅威であったことを知る。
そして2作目、シュワちゃんはあらたな人類の脅威となったT-1000から救世主であるジョン・コナーを守るため現代にやってきた。
ここでめちゃ強くなっていたジョンの母であるサラ・コナーに驚く。
精神病院の個室で鍛えまくり、看守を圧倒して脱出しようと試みていたらシュワちゃんが登場、あとから息子も登場、さぞ混乱しただろうよ。
ここで私がジョンもといエディにハマった理由は、ドラゴンボールのトランクスと似ていたというのもあった。
小学3年生のとき、家にあった兄のドラゴンボールと姉のちびまる子ちゃんを読み漁った結果私はすっかりハマってしまい、どちらも何巻がどの話で、表紙の順番などを覚えてしまうほどのめりこんだ。ちなみにいまでも覚えている。
そこでセル編で登場したトランクスと未来のジョンの境遇が似ていること、少年ジョンとトランクスの髪型が似ていること、これぜっっっっっっったいトランクスがターミネーターから影響受けたやつじゃん!!!!
気づいてしまった私は嬉しくてたまらなくなり、ついでにエディの顔もいいときたもんだ。
ほかにはどんな作品に出ているんだ、とネットを漁りレンタルでも中古のディスクを買ってでも、観れる作品は全部観てやろうとディスクを集めはじめた。
私は収集癖があるため、手に入れられるものは手に入れないと気が済まないたちである。
そしてアマゾン、メルカリ、たまたまコーチャンフォーの1000円DVDコーナーで見つけたものなど、以下の作品を手に入れることができた。
『ターミネーター2』
『ブレイン・スキャン』
『リトル・オデッサ』
『グラスハープ』
『ペッカー』
『アメリカン・ヒストリーX』
ちなみに『ターミネーター2』は新品のBlu-rayで、本編の吹替が浪川大輔なのにインタビューの吹替がなぜか石田彰という、私からしてみればおいしいが謎構成だった。
しかし字幕で観る。エディがしゃべっているのを聞きたいから。
すこし脱線したが「エドワード・ファーロング」と検索すると作中のシーンがよく出てきていたのに、レンタルもないしどうしてもディスクが手に入れられなかったのが『判決前夜』だった。
メリル・ストリープとリーアム・ニーソンがエディの両親を演じている。
いつか手にしてみせるぞ、と意気込みながら集めたほかの作品は買ったらすぐに観たし、そのすべてがいい作品ではなかった。
というのも『ブレイン・スキャン』についてはあまり中身のない作品で、たいしておもしろくはなかった。
かえって『アメリカン・ヒストリーX』や『グラスハープ』はすごく好きな作品だし『リトル・オデッサ』もしんどくてよかった。
そういうわけで『判決前夜』はどんな作品なのか、観たいのに観られない、という手も足も出ない状態がつづいて1年ほど経ち、作品の存在も忘れかけていたころに奇跡がおこった。
姉の家に行ったときディズニープラスが観られるというので、どんな作品があるんだろう、と映画一覧をぼーっと眺めていると見たことのあるジャケットが。
『判決前夜』があったのだ。
私がどうしても観たかったこの作品、エディの顔がだいぶ“無”な感じでよかった。
リーアム・ニーソンが息子を守るために奔走し、家族が疲弊していく様子もまあしんどかった。
作中のエディの無気力、無表情、もうどうにでもなれと思わんばかりの態度、ハッピーエンドになれなさそうな雰囲気にひかれていた。
私が思う彼のよさは人間の負の部分を表現してくれるところだ。
映画などの創作において、人間はその作品の世界観、ファンタジーに触れることを娯楽としているが、その内容はけっして楽しいことや幸せなことだけではない。
人を元気づけるというメッセージ性を持った作品はそういう役割があるし、反対に社会的メッセージや問題を伝えたい作品は暗い内容のほうが多い。
しかし私たちはそれから目を背けてはいけないと思っている。
娯楽として触れて関心を持つ、というのが私の理想であるし、自分の目先のことだけでなく知らなかったことを知ってあらたな価値観があったということを理解するのが娯楽の役割のひとつであると思っている。
とくに数年前の私はエディに対して、そういう負の表現をしてくれるアイコンであると勝手に思っていた。
ここまで読んだあなた、ぜひ『アメリカン・ヒストリーX』と『グラスハープ』を観てくれたまえ。
ターミネーターに出演して以来、一世を風靡したと思ったら薬漬けになり、酒に溺れ、年もとったことであのころとはだいぶ見た目が変わってしまったエディだが、こうして来日を取り付けたのであれば生活も落ちついてきたのではないか、と思っている。
嘘か本当かわからないゴシップサイトで4年間薬も酒も絶ったとか書いてたし、去年は映画にも出演したらしいし……
とにかくいまは無事に日本に来てほしいと願うばかりである。
節約しなきゃな、またZINEでも作って旅費にあてるか。
追記
『ターミネーター2』でジョンが友だちと家の車庫からスピーカーを担いでバイクで出てくるところがけっこうツボなのだが、最近マウンテンバイクであえてスマホから音楽を流して走っているティーンたちを見るとどうしてもあの光景がよぎってしまうな。